【大銀座】洋食屋さんの美しい空間。料理記者が選ぶ4軒

FOOD 2022.10.14

オムライスにハヤシライス、名作料理がある老舗洋食店。印象的なしつらえの店が多いのが大銀座ならではだ。おいしさと美しい空間についても、Pさんこと渡辺紀子さんに聞いてみた。

〈煉瓦亭〉銀座に根付くオリジナルメニューと、クロスの所以。

創業は明治28年。西洋料理がホテルや宮中のコース料理でしか食べられなかった当時、親しみのある木のテーブルにクロスを引き、アラカルトで気軽に注文できるようにもてなしたのが〈煉瓦亭〉。日本人の嗜好に合わせようとオリジナルメニューを開発した精神は、今も健在だ。ハムサンドは、ハムステーキをホットサンドで挟んだ形でリニューアルしたばかり。「一度は行くべき老舗中の老舗。昔から活躍するレジスターも必見」(渡辺さん、以下同)

住所:東京都中央区銀座3-5-16|地図
TEL:03-3561-3882 
営業時間:11:15~14:30LO、16:40~20:30LO
定休日:日休
席数:110席

〈銀之塔 〉和のしつらえで洋食を。和洋折衷のビーフシチュー。

元々は蔵だった店内は、金庫の鉄扉など当時の趣がそのまま残る。小上がりの畳部屋、和風の座敷部屋だがテーブルと椅子が並べられていたりと、階ごとに違うしつらえはまさに和洋折衷。メニューはシンプルに、ビーフシチューとグラタンのみ。歌舞伎役者の楽屋への出前の名残から、熱々の土鍋で提供している。箸でホロッと崩れる柔らかいお肉は、パンではなくご飯と香の物で。「小鉢、土鍋など和の器で洋食、というのも和みます」。

住所:東京都中央区銀座4-13-6|地図
TEL:03-3541-6395
営業時間:11:30~20:00(19:30LO)
定休日:年末年始休
席数:82席

〈南蛮 銀圓亭〉“正しい洋食”の伝統を、現代に引き継ぐ。

フラッと立ち寄りたくなる洋食店もあれば、居住まいを正してゆっくり贅沢に過ごしたい店もある。ここは後者を代表するような名店だ。まず、木目調の温かい店内に映えるテーブルセットの美しさに驚く。「季節を写したランチョンマットに癒されます」。懐石料理のようなオードブルから始まるコースがメインだが、そこに自分好みのアラカルトを組み合わせるのもいい。気取らない雰囲気が、至福のひとときを演出してくれる。

住所:東京都中央区銀座5-4-8 カリオカビル7F|地図
TEL:03-3573-1991
営業時間:11:30~14:00LO、17:30~21:00LO
定休日:日祝休
席数:50席

〈銀座 みかわや〉非日常空間でいただく、日本のフランス料理とおもてなし。

アイロンがかけられた白いクロスの上でいただくのは、フランス料理の真髄を受け継いだメニューばかり。「洋食というより、日本のフランス料理といったほうが正しいかもしれません。まずは琥珀色に輝くコンソメスープから」。赤い絨毯から2階へと続く螺旋階段、シャンデリアなどのインテリアまで。銀座の一等地らしく、隅々までおもてなしの心があふれる優雅な空間には、訪れた誰もがうっとりする。

住所:東京都中央区銀座4-7-12 銀座三越新館1F|地図>
TEL:03-3561-2006
営業時間:11:00~21:00(20:00LO)
定休日:無休
席数:42席(テラス8席)

Navigator…渡辺 “P”紀子

わたなべ・みちこ/愛媛県今治出身。 文化出版局を経て、フリーの料理記者に。料理本の企画・編集のほか 『CREA』『BRUTUS』『Hanako』でも執筆。

photo : Kenya Abe text : Ami Hanashima

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