スナック男の人生劇場　第3回 荒木町の名物マスター！スナック〈ドリフト〉の石井育雄マスター

ホテルのバーテンダーとして水商売の世界に入ったのが15歳。それから銀座でカラオケに出会って、歌う人の楽しい様を見て感動して、店を始めたのが、41年前の27歳の時。当時、200曲からスタートして、今は1 万何千曲でしょ。昔はソピックっていって、ソノシートの上を針が回るだけのシステムで、キーを変えられたらノーベル賞モノだね、なんて話してたんだから。

この仕事はね、何十年やっても1 年生ですよ。だって今日初めて会う人にとって、私が何年、水商売や日舞をやってたって関係ないし。毎日が勉強ですよ。

何十年も前から来てくれているお客さんへの、自分にとって最低限のおもてなしは、自分がなるべく変わらずにいることですね。そりゃ歳は取りますよ。でも、面影がなくならないようには気をつけています。若い方はもちろん、80歳になって元気な方からもエネルギーをもらいますね。彼らはひとつ何かを乗り越えていて。私ももう少しで乗り越えられそうなんですけどね。それって何かひとつの欲を捨てることで。

でも、私には残念ながらまだ少し色気があるのよね。女の子もね、シンプルが一番だけど、自分の個性を知っておしゃれをすることは絶対に大事よ。自分が綺麗でなくて幸せでいられない人は、他人にも優しくできないでしょ。おしゃれが下手な人はだいたい恋も下手よね。

天乃屋の「歌舞伎揚」大型サイズをガブッ。「おせんべい好きですよ。でも、甘いモノも好きだから太るのよね～」

〈ドリフト〉
マスター自らが生けている花も見事。
■東京都新宿区荒木町9
■03-3357-7538
■19：00～2：00　日月火祝休　
■33席　喫煙／飲み放題5,000円。

（Hanako1126号掲載／photo : Akiko Mizuno text : Asuka Ochi）