【元獣医師監修】チューリップは絶対にだめ。猫と花のある暮らしを楽しむために知っておきたいこと

【元獣医師監修】チューリップは絶対にだめ。猫と花のある暮らしを楽しむために知っておきたいこと
【元獣医師監修】チューリップは絶対にだめ。猫と花のある暮らしを楽しむために知っておきたいこと
LEARN 2025.12.19
実は、生花店で一般的に流通している植物の多くが、猫にとって“毒”!? 猫の安全性を考えながら、花のある暮らしを楽しむ方法を教えてもらいました。

※撮影は監視のもと、猫の安全を確保したうえで行われています。実際はすべて猫が届かない場所に飾ることをおすすめします。

photo_Nobuki Kawaharazaki styling_Kaori Yamamoto text & edit_Kana Umehara   model_Noso
教えていただきました
庄野 舞
(〈ネコハナ〉代表)

しょうの・まい/獣医師を経て、猫にとって安全性の高い花のみを届けるギフトサービス〈ネコハナ〉設立。今回の撮影で使用した生花、ドライフラワーはすべて〈ネコハナ〉のもの。ネコハナギフト4,800円〜。https://nekohana.jp/

「猫は肉食動物であることから、肝臓の機能が人や犬とは異なります。そのため、多くの植物が猫にとって〝毒〟になる可能性があります」と、獣医師で、猫に安全性の高い花を届ける〈ネコハナ〉の庄野舞先生は言う。

「現在、毒性があるとされる品種は700種以上、グレーのものも合わせると数えきれない数の植物がNG。とはいえ、猫オーナーになったら花を飾ってはいけないということではありません。安全性の高いものを理解して、選択をしてもらえたら」

〈ネコハナ〉でギフトブーケやドライフラワーにしている花の品種は、アメリカ動物虐待防止協会(ASPCA)が定める猫に毒性のない植物リストに選ばれているもの。また、花の生産環境にも目を配り、完全無農薬または低農薬栽培のものを厳選する。

「人は観賞用の花を食べることはないので、日本で流通している花には農薬の基準がないんです。でも、猫たちは口に入れたり、花器の水を飲んだりしてしまう…。無農薬のものを選べるならそれがベストですが、置き場所や花器を見直して、猫が届かない場所に置いたり、倒れにくくしたりするなどの工夫も大切です。すべてがNGなのではなく、花やハーブにも安全性が高いものがある。それをきちんと理解して、猫と花のある暮らしを楽しんでもらいたいです」

Q. 猫の暮らす部屋に花を飾ってもいいですか?

ANSWER:猫が危険な植物種は700種以上。多くの植物がNGと考えたほうがよい一方で、安全性が高いとされる品種もあるので、飾るなら、その中から選ぶべき。また、猫がうっかり口にする可能性も考え、無農薬や低農薬のものを選んでおくとさらに安心です。

TIPS: 連結型の花器を選べば安定感あり。

猫と花のある暮らし
左から、Setsuko Cat ピッチャー68,200円(Astier de Villatte|Astier de Villatte伊勢丹新宿 03-3352-1111)/Serena Cat フラワーホルダー225,390円(Astier de Villatte)、四月の花器50,600円(Tsé&Tsé Associées|共にFEELSEEN 03-6260-6335)

Q. ドライフラワーは飾っても大丈夫?

ANSWER:花粉が飛び散る心配がなく水も要らないドライは飾る場所を比較的選べますが、生花と同じ考え方で品種や薬剤の使用をチェックしましょう。誤飲の可能性があるので、着色してあるものやラメなどの装飾がついているものは選ばないほうがベター。

TIPS:壁掛けの花器はできるだけ届かない高さに。

猫と花のある暮らし
左から、PIKE Wall Brass Vase 2,860円(LAND Lifestyle shop 042-349-6955)/Kjeldahl flask 18,700円(Hender Scheme|CIBONE 03-6712-5301)

Q. 花器はどういうものがいい?

ANSWER:猫の通る場所に置く場合、花器を倒して水を飲んだり、ケガをしたりしないように配慮を。連結型や横長のタイプは安定感あり。ポリカーボネート製の花器も割れる心配が少なくおすすめ。花器の裏に、貼ってはがせる粘着テープを貼り、固定するのも手。

TIPS:横長の花器は壁際に沿って置く。

猫と花のある暮らし
左から、ティアドロ3,520円(ホワイエ 03-6404-6506)/ピーシーフルート1,210円(CLAY 0721-53-1965)/一輪挿しスリム2,730円(ホワイエ)/ジェミニ880円(植木鉢と花瓶の専門店onajimi 052-758-5432)/猫に花瓶〜猫が遊んでも倒れない花瓶〜49,500円(ネコハナ×secca|ネコハナ 03-6681-3354

Q. 安全性の高い品種を教えてください。

ANSWER:今回紹介する5種のほか、ひまわりやキク科のハルシャギク、ヤグルマギクなども安全性が高い。しっかり覚えておき、花選びに役立てて。

猫と花のある暮らし
左上から時計まわりに、猫の花瓶6,600円(i10 emito0120@gmail.com)/MINI VASE TWO TONE 2,200円(amabro 03-5725-1210)/MINE ORE 11,550円(CASICA 03-6457-0826)/JICON花瓶3,080円(道具屋 nobori @douguya_nobori)/Pixy フラワーベース1,810円(てんとてん 06-6252-1886)
安全性の高い品種5種

A【ケイトウ】ヒユ科 / ケイトウ属
トサカケイトウ、羽毛ケイトウなど多種あるがいずれもOK。同じヒユ科のアマランサスも◎。

B【キンギョソウ】オオバコ科 / キンギョソウ属
金魚のような花の形が特徴。食用花としても用いられるが、猫は口にしないよう、飾る場所に配慮を。

D【バラ】バラ科 / バラ属
切り花であれば安全性が高いが、トゲには注意が必要。また、香りが強いので苦手な猫もいるかも。

E【ワレモコウ】バラ科 / ワレモコウ属
バラ科の多年草で初秋から晩秋にかけて赤褐色の花穂をつける。漢方薬にも用いられ、毒性はない。

F【ヒャクニチソウ】キク科 / ヒャクニチソウ属(ジニア属)
暑さに強く初夏から晩秋まで花を楽しめる。キク科のカレンデュラ、アスター、ガーベラなども毒性はない。

TIPS:キク科は種類によっては毒性があるので要注意。

Q. ハーブを育ててもいいですか?

ANSWER:食用として販売されるハーブの苗は農薬を使っていないものを見つけやすい。ただし、香りの強いハーブは、猫によっては好き嫌いが分かれるかも。

猫と花のある暮らし
左から、One Pots Alminium 4,620円(MIYAKE HIROYUKI|CIBONE 03-6712-5301)/イオニアシリンダー白SS 990円、スヴェア20W 2,860円、松帆グレイS 990円(全てCASICA 03-6457-0826)
おすすめのハーブ4種

A【ローズマリー】シソ科 / マンネンロウ属(ロスマリヌス属)
食べても健康に問題はないが、猫が嫌うハーブとしても有名。香りが苦手な猫もいるので様子をみること。

B【タイム】シソ科 / イブキジャコウソウ属
肉や魚料理の臭み消しやハーブティーに用いられる。こちらも香りに好き嫌いあり、苦手な猫も多い。

C【バジル】シソ科 / メボウキ属
様々な料理に活用できる人気のイタリアンハーブ。猫が食べても基本的に問題ないが、食べすぎには注意。

D【フェンネル】セリ科 / ウイキョウ属
消化促進や抗炎症効果があり薬草としても知られる。同じセリ科のディルも、猫が食べても問題はない。

TIPS:ハーブも精油は猫NG。香りの好みも配慮してあげたい。

知っておきたい、猫NGの花リスト。

花や葉を食べたり、花粉に触れたりすると嘔吐や下痢といった中毒症状を引き起こす代表的な花の品種は必ず知っておこう。ただし、このリストのものだけを避ければOKということではなく、グレーのものもほかに多数あることを忘れずに。うっかり猫が口にして、具合が悪そうなど心配な場合は、どの品種であっても、すぐにかかりつけ医に相談を。

絶対NG!

①【ユリ】ユリ科 / ユリ属
花、葉、茎、花粉、そして花器内の水など、すべての部分が有毒。ごく少量でも中毒を起こし、急性腎不全で死に至る危険がある。家に持ち込まないこと。

②【チューリップ】ユリ科 / チューリップ属
ユリ科のチューリップも同様に重度の中毒を引き起こす。花、茎、葉、そして特に球根に有毒物質があるとされる。ヒヤシンス、ムスカリなども同様に注意を。

気をつけて!
よく見かけるけれど、選ばない方がいいもの。

①【カーネーション】ナデシコ科 / ナデシコ属
カーネーションに含まれるサポニンは、猫が触れるだけで皮膚に炎症を起こす可能性があるとされ、食べると中毒症状を起こすことも。

②【スイセン】ヒガンバナ科 / スイセン属
スイセンにはアルカロイドという毒性成分が含まれ、人間にとっても有毒。猫は誤飲により、嘔吐、下痢、呼吸困難になることもある。

③【ポインセチア】トウダイグサ科 / トウダイグサ属(ユーフォルビア属)
葉や茎に含まれるフォルボールという成分により嘔吐や下痢に。また口の中がただれてしまうことも。樹液は腫れやかゆみの原因にも。

④【アジサイ】アジサイ科 / アジサイ属
葉、茎、つぼみ、根など多くの部分に毒性があり、少量でも嘔吐や体調不良に。大量摂取すると呼吸困難を引き起こし死に至る場合も。

⑤【カスミソウ】ナデシコ科 / カスミソウ属(ギプソフィラ属)
カーネーションと同じナデシコ科で、触れることで皮膚炎を引き起こし、誤飲により嘔吐や下痢にも。ドライフラワーでも危険。

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