5回くらい、泣きながら作りました。
冒頭から、湿っぽい話で恐縮です。
昨年、愛猫が虹の橋を渡りました。ししまる、女の子、推定15歳。
出身は、中国・上海(の、名もなき公園)。野良犬にいじめられていたところを、近所に住む、猫好きお婆さんに偶然救出されて、突然約30匹の猫たちと一緒に、猫屋敷に住むことになった彼女。でも彼女、猫だけど、めっぽう猫嫌い。30匹の猫たちと一切関わりたくないから、タンスの上の、隅のほうで、いつも1匹だけで孤高に過ごしていました。その姿を見たお婆さん、「なんて独立心が強い、カッコイイ猫なんだ!」と勝手にプラスに捉え、彼女に「HERO」という名を与えました。ヒーローって!

そこへ、保護猫の情報を得て、のこのこやってきたのが、当時上海に暮らしていた、猫好き日本人のIさん(=私)。30匹が一斉に「アタシを連れて帰っておくれ〜♡」と媚びを売ってくる中、1匹だけ「アタイのほうを見るんじゃねえ!!」と背中を向けていたHEROなる名前のオラオラ猫が、どうしても気になってしまった。そうして、好奇心から、このHEROを迎えることにした。HEROは、この猫屋敷を去るとき、命の恩人であるはずのお婆さんさえも、強烈猫パンチで流血させてしまう、そんなゲンキンな猫でした(お婆さん、お元気ですか…)。

さて、そんなオラオラ猫・HEROを迎えた私ですが、HEROという名前はさすがに壮大すぎるので、そこに「し」をつけて「HEROし=ひろし」としてみました。女の子なのに、ひろし。ひろしは、私と上海で4年間一緒に暮らして、途中、なんとなく顔が「忍者ハットリくん」の獅子丸(犬だけど!)に似ているという理由で、「ししまる」と改名させられ、その後、なんと飛行機に乗って、海を越えて国を越えて日本に到着し(三半規管、大丈夫そ?)、のどかな奈良の実家で、私の両親と共に贅沢すぎる余生をエンジョイしましたとさ……という、まさにシンデレラストーリーな経歴を持つ猫なんです。上海の野良猫、犬にいじめられてたら、結果、海を越える、の巻。

さて、ししまるはその後、奈良の実家で9年間も余生をエンジョイして(その間ももちろん誰にも懐かず、ずっとオラオラ。やっぱHEROって名前のままでも良かったか…)、昨年3月に虹の橋を渡ったのですが、昔、勢いで作ったししまるのシールが、3カ月前にふと、私のバッグからピロっと1枚だけ出てきたんです! もうだいぶ昔になくなったと思っていたシールが! それがちょうど、Hanakoの猫特集の企画が決まった、まさにその日だったので、なんだか鳥肌が立ちました。「猫特集、せいぜい頑張って作りなよ!」という彼女なりのエールにも感じて。

…そんなこんなで、のっけから、個人的に「泣ける」スタートだった、今回の猫特集の制作。制作を進めていく中で、泣けるポイントがあちこちにありまして…!
例えば、ロングコートダディ堂前透さんと、ミキ亜生さんの、猫溺愛芸人トーク。終始爆笑の楽しい対談だったのですが、亜生さんの言った「(愛猫が)常にギンギンの目つきで僕を睨みます。こっちはめっちゃお世話しているのに、全然僕に依存していない。それを『なんでや?』ってなりながら追いかけてる感じがたまらないですね」という、片思い的コメント。これまさに、私とししまるの関係やーん!!(号泣)
…危なかったです。取材中に泣くとこでした。いや、泣いてました、私。

あとは…「シニア猫と暮らす」の企画も、涙腺がやばかったですね。獣医さんが寄稿してくださったコメント、「飼い主が最期まで楽しく振り回されながら近くにいてあげる。それが猫にとってなによりの幸せだと知っておいてください」。…なんて素敵な言葉なんでしょう! これを書いている今、また泣けてきたわ〜
最後に、今回初めての試みとして実施した「#ハニャコ大賞2025」。皆さんの愛猫へのコメントを読みながら(全部読みましたよ!ご応募、本当にありがとうございました!)、それぞれの愛をひしひしと感じて、涙を抑えられなかったのですが、特に素敵だなと思った投稿について。

上写真の真ん中のご応募写真(帽子をかぶってお誕生日の格好をしている白黒猫さん)は、21歳のご長寿猫・サンさん(インスタグラム @kotto.cafe.kiki)。投稿のコメントには、譲渡当時の様子が詳しく書かれていて、「保護してくださった方の連絡先がわからなくなってしまい、でも、こんなに幸せに元気で長生きしてることを、なんらかの形でお知らせできればと思い応募しました」と書かれていました。そして、「また来年も22歳のお誕生日が祝えますように、変わらず大切にお育てしようと思います。どんな子猫ちゃんより、サンちゃんが可愛くて大好きです」と。
…心がじわ〜っと温かくなって、同時に目頭も思わず熱くなる応募投稿。譲渡した方に届くといいですね、きっと届きますよ! そして来年も、素敵なお誕生日になりますように。
Hanako猫特集を作りながら、5回くらい…いやもっと泣きましたが、それ以上に、懐かしい愛猫の思い出が甦ったり、かわいすぎる猫たちに悶絶したり、おもしろ行動に突っ込んだり。涙以上に、幸せいっぱい。やっぱり、猫がいれば、幸せ♡
たくさんの人にこの幸せが届きますように。あと、虹の橋の向こうの、ししまるさんにも。

いぬい・じゅんこ/本誌編集担当。猫好きをアピールしていたら、Hanako猫特集の担当になれました。ありがとう、全ての猫! ちなみに編集長が、猫好きを超越した、もはや猫変態(猫の尻の臭いをかぐのが好きとかなんとか…)なので、途中、自分の猫好き度合いが足りていないのではないか…と不安になりましたが、編集長がおかしいだけでした(多分)。あと、上海在住時代の私の猫ライフのエッセイが、まだぎりぎりネット上に残ってましたので、良かったらご笑覧ください。




















