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連載〈HOME SWEET HOME〉 食のプロのセンスをインテリアから学ぶ。 CASE30 宇藤えみ
おいしいものを作る人、おいしい場所をプロデュースする人‥‥‥。
食に関わるプロフェッショナルのセンスを、プライベート空間のインテリアから学びます。
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採光と風通しを第一に。大人も子供も心地よい家。
「子供を、自然豊かな環境で育てたい」という想いから、暮らし慣れた都心を離れて神奈川県の海辺の町へ。フルリノベーションした一軒家は、海景色と光、風がテーマの明るく開放的で清々しい空間だ。

全室オーシャンビュー!ホテルやリゾートマンションの広告コピーではなく、宇藤えみさんが3年前から暮らす神奈川県葉山町の自宅のことだ。リビングやダイニング、各寝室に加えて、キッチンやバスルームにも、海が見える西側に窓がある。
「夕日が海に沈む景色は、毎日違って見飽きることがなく。その美しさに引っ張られて、前は飲まなかったビールが好きになったほど」と笑う。夫と7歳の長男、2歳の長女との4人暮らし。小学校入学前まで東京で育った長男も、今では海での水遊びや虫採りが大好きだそうだ。
キッチンを中心に移り変わるシーンを楽しむ。

海沿いの丘の斜面に建つ一軒家を購入し、1年かけてフルリノベーションした。宇藤さんの一番のこだわりは、生活の核となり仕事の場としても活躍するキッチンだ。L字形の古いシステムを取り払い、I形のアイランドキッチンに。海側に小窓を、北側の天井下にも横長の窓を設けたことで、季節や天候、時間帯で異なる陰影がどんな装飾より贅沢な彩りになる。膨大な器は「クローゼットのような」引き出し式の収納にすべて収まるように設計した。二台目の冷蔵庫を入れても余裕のあるパントリーもあるから、大型の収納家具を置かずに済む。夫には「少しでも台所仕事の負担が減るように」と、食洗器の導入を強く薦められたが、その分のスペースとコストを収納と、心地よく過ごせるディテールに割いた。例えばキッチンの天板やシンクのステンレスの厚み。わずか数ミリの差が、タフなプロ仕様の雰囲気か、ナチュラルなインテリアと調和する繊細な表情を生むかの分かれ道で、宇藤さんは後者を選んだ。システムキッチンの外装は、室内の壁と同じラワン材にし、統一感を出した。
「夫は夫で、コンセントの位置にダウンライトの間隔と、それはもう細かいこだわりがあり。建築家さんは大変だったかと」と、笑いながら振り返る。難しい注文も一蹴せず、家族の目線で最適解を探ってくれたのは〈cobi.architects〉の小檜山尚秀さん。夫の友人という縁もあったが「ほかの人では今の家は完成しなかった」と、絶賛する。
自然を近くに感じながら季節に寄り添う暮らしを。

キッチン以外では、屋根裏部屋をつぶして天井を高くし、海と反対の東側にも窓を設けることも大事な希望だった。加えてリビングの窓も、一般的な規格のサッシから大きな一枚窓にし、丸っと収まる戸袋を設けて全開放できる仕様に。すべての部屋のドアを、天井と同じ高さに揃えたのも、廊下への採光性を高めつつ、視覚的にもすっきり、広がりのある空間にするためのひと工夫だ。
光と風が、家中を巡るように設計された家は、刻々の明るさがとにかく美しく、清々しく、自然との一体感も格別だ。テーブルや照明などの家具選びも「自然との調和」を前提に考えたが、基本は長く使い続けてきたものを生かしている。
「市場へ行けば旬の立派な野菜が安く、地魚も新鮮なものが手に入り、なんて贅沢なんだろうと。季節感や素材をいっそう大切に料理するようになりました」
初めから葉山を狙って家探しをしたわけではなく、出産を機に都内でマンションから緑に囲まれた一軒家へ引っ越し、次に郊外での生活を考え、縁あって出会ったのが今の物件だ。ファッションのスタイリストからスタートしたキャリアを、食を軸としたライフスタイル分野に転向させたのも、出産がきっかけだった。ライフステージに合わせて変わる「どう生きたいか」に正直に、しなやかに変化させてきた働き方と暮らし方の提案には、素敵だけれど気取ったところがみじんもない、自然体の宇藤さんの魅力が滲み出ている。


とびきりの鰹節ごと味わう毎日の味噌汁。
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毎日の味噌汁は、だしをとった削り節を濾さずに、そのまま具材として食べるのが宇藤さん流。「丁寧に作られた削り節ならえぐみもなく、食べて十分おいしい。時短になり食材も無駄にならない」と、宇藤さん。使い始めてから、友人の友人と知った鹿児島県〈金七商店〉の削り節「CLASSIC-BUSHI」を愛用。
ESSENTIAL OF -EMI UTO-
収納からディスプレーまで、こだわりの詰まったキッチン。
( CUPBOARD )
器の数、形から逆算した収納。
引き出し式の食器収納は、内部がさらに二段になっているなど器の数やサイズに合わせた設計に。「奥にしまったものは使わない」悩みが解消!
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( TEA )
体と気持ちを整えるお茶習慣。
産後に心身のバランスを調えたいと求めて以来、7年の習慣になっているお茶。茶番は福岡県糸島〈tea.suu〉のもの一筋。季節や気分に合う器で。
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( KITCHEN CORNER )
作業場以上のプライベート空間。
キッチンのカウンターバックは、グッドデザインな調理家電と一緒に好きな器や書籍などを並べたインテリアに。仕事の合い間も気持ちよく寛げる。
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