LIFEHACK JOURNAL 暮らしを健やかにする知識とヒント[ 賃貸物件探し編 ]
働く女性に役立つ情報を月替わりで紹介。今月は「賃貸物件の探し方」について。“いい物件”といわれる条件や、実は見落としがちなポイントまで深掘りしていきます。
INTERVIEW ときには妥協することも大切!?初心者向け・物件探しの基本心得。
数ある物件情報の中から、理想の部屋を見つけ出すのは至難の業。物件探し初心者も入居してから後悔をしないために、専門家に部屋探し成功のヒントを教えてもらいます。
新生活を前に、ひとり暮らしや引っ越しを決める人が多い季節。〝失敗したくない〞と時間をかけて頭を悩ませるのが、物件探しだ。「初めてひとり暮らしを迎える人や、仕事・子育てをしながら自分のペースで見つけたい人ほど、動き出す時期はタイミングを見るのが重要です」と語るのは、中野由妃絵さん。不動産業界に長く従事し、自身で会社を設立・運営。初心者にもわかりやすい物件探しのコツをまとめたSNSは話題を呼び、大きな反響を得ている。
「おすすめは、閑散期と言われる6〜8月頃。繁忙期(1〜3月、9月)と比べて入居・退去する人が減るため、引越し業者も安く、家賃や初期費用などを下げる交渉がしやすくなります。反対に繁忙期は物件数が多く、選択肢の幅が広がるというメリットもありますが、やはり家賃相場は高めの設定。なにより、いい物件ほどすぐ埋まってしまうためスピード勝負で決めないといけないので、初心者にはなかなか判断が難しい時期なんです」
そもそも〝いい物件〞とは、どんな条件を指すのだろうか。「不動産業界では、人気要素が詰まっている物件のことをそう呼んでいます。現在は、1:家賃相場が安い2:部屋のグレードが高い3:使いやすい間取りであるといったところでしょうか。ここ数年、在宅ワークの普及など家での過ごし方にも変化がありました。通勤のことを考えた立地選びよりも、広さや間取り、設備など部屋のクオリティにこだわる人が増えている印象です」
自分の生活を見直し、まずは必要条件を整理。
新生活の始まりを前に、引っ越しを決める人が多い季節。〝失敗したくない〞と時間をかけて頭を悩ませるのが、物件探しだ。「初めてひとり暮らしをする人や、仕事・子育てをしながら自分のペースで物件を見つけたい人ほど、動き出す時期はタイミングを見るのが重要です」と語るのは、中野由妃絵さん。現在、不動産業界歴10年で、自身で会社を設立・運営。初心者にもわかりやすい物件探しのコツをまとめたSNSは話題を呼び、大きな反響を得ている。
「おすすめは、閑散期といわれる6〜8月頃。繁忙期(1〜3月、9月)と比べて入居・退去する人が減るため、引っ越し業者も安く、家賃や初期費用などを下げる交渉がしやすくなります。反対に繁忙期は物件数が多く、選択肢の幅が広がるというメリットもありますが、やはり家賃相場は高めの設定。なにより、いい物件ほどすぐ埋まってしまうためスピード勝負で決めないといけないので、初心者にはなかなか判断が難しい時期なんです」
そもそも〝いい物件〞とは、どんな条件を指すのだろうか。
「不動産業界では、人気要素が詰まっている物件のことをそう呼んでいます。現在は、①家賃相場が安い、②部屋のグレードが高い、③使いやすい間取りである、といったところでしょうか。ここ数年で、在宅ワークの普及など、家での過ごし方にも変化がありました。会社へ通いやすい場所や最寄駅の近さなど、
通勤のことを考えた立地選びよりも、広さや間取り、設備といった部屋のクオリティにこだわって、少しでも快適に暮らしたいと考えている人が増えている
印象です」
自分の生活を見直し、まずは必要条件を整理。
物件探しを始める前に、まずチェックしておきたいのは相場に合った家賃設定だ。
「家賃×3倍の月収(額面)があれば入居審査は概ね通りますが、4倍あるとより安心です。この相場をベースに、欲しい条件に優劣をつけて、取捨選択してい
きましょう。その時に大切なのは、ライフスタイルを見直しながら、自分に合った必要条件を整理していくことです。例えば、初めて賃貸物件を探す人で多い
リクエストのひとつが『独立洗面台』。これを入れるだけで約1・5万〜2万円家賃が上がるのですが、その事実を伝えると大体の人から『手を洗うだけだし、いらないかも…』みたいな気づきの声が出てくるんです。特に実家から初めて出る方は、あって当たり前だと思っているだけで実際使う頻度が少ない備はいっぱいあります。それなら潔く諦めて別の条件を入れる…と天秤にかけられるといいですね」
欲しい条件を増やすほど、家賃は上がるばかり。だが、見切りをつけながら自分の生活に合ったものをピックアップしていくことで、住み始めてからの満足度はより高くなりそうだ。
家具を取るか、家を取るか…。間取り選びにも工夫を。
優先順位をつけていくなかで、つい見落としがちになる点もいくつか挙げてもらった。
「特に賃貸から賃貸へ引っ越す人は、元々持っていた家具や家電のサイズが大きくて搬入できず、泣く泣く手放したというケースをよく耳にします。ダイニングテーブルやベッド、昨今ではドラム式洗濯機も多いですね。広さや間取りの優先順位が自分のなかで低かったとしても注意が必要です。これから新しく家具を買いそろえる人は、最低限置きたいものをリストアップして、不動産屋に事前に相談してみると、おすすめの間取りを提案してくれますよ。初心者の人は、間取り作成アプリを使って、広さのイメージを把握しておくといいと思います」
また、部屋の中以外で忘れずに確認しておきたいのは、周辺環境や、集合住宅の共用部分だ。
「例えば内見時に見ておきたいのは共用部の掲示板。ゴミ出しマナーや騒音に関する注意書きが多く張られていると、住人のマナーレベルが想定できます。そもそも内見にあまり時間を取られたくない人は、GoogleMapや地域によっては犯罪マップなどで、周辺の治安を事前に調べておくのも有効でしょう」
おとり物件を見分ける=不動産屋選びの参考に。
理想の物件を効率よく探すためには、不動産屋選びも重要になってくる。別の物件をすすめるために、架空の物件を故意に掲載して来店させる〝おとり広告〞というワードも聞くが、物件を探す側が事前に見極める方法はあるのだろうか。
「おとり広告の場合、例えば、〝あの物件、空室情報が出ているのに人が住んでいるかも〞などの情報特定を避けるため、物件名等の詳細が書かれていないパターンが多いです。また、不動産屋は基本的に同じ物件を取り扱っているので、〝この不動産屋の情報だけ家賃が5000円安い〞〝ほかが募集終了なのに募集中と表示されている〞などにも注意。違和感があったら複数社に問い合わせをしてみましょう」
話を聞くと物件探しに不安を覚えるが、満足できる物件に出合うため、気になるところを不動産屋に積極的に質問してほしい、と中野さんは語る。
「条件がいいはずなのに家賃相場より明らかに安い物件を紹介する際、いい不動産屋であれば、どうして安いのか、デメリットも含めて正直に話してくれるはず。デメリットを伝える=自分たちが不利になるかもしれない情報を渡すということなので、信頼性が高い会社だと判断できます。また、部屋探しをしていると『人気物件なので、急がないと埋まっちゃいますよ!』と声をかけられる場面がありますよね。繁忙期はこの言葉の通りのことも多いのですが、単に契約を決めたい担当者のトークの場合も。つい焦って決めてしまい、蓋を開けてみたら『初期費用を確認していなくて、高額だった』『契約以降、手続きの相談に乗ってくれない不動産屋だった』などの後悔の声を聞くこともあります。まずは自分のできる範囲で物件探しの条件整理・準備をしっかりしておきましょう。引っ越しを考えている約2カ月前から不動産屋に問い合わせて物件を検索し、並行して不動産屋選びをするのが理想的。寄り添って提案してくれるところに出合えれば、失敗するリスクも減らせて安心です」
CHECK LIST
家の基本条件は、こう決める。
広さ
置きたい家具から逆算する。特に実家からの引っ越しの場合、キッチンを入れてどのくらいの広さが必要か…? などイメージが湧きづらい。ベッド、テーブル、棚などが置ける広さかどうかをチェックする。
家賃
月収の1/4がベスト。1/3が基準。会社員の場合、月収(基本は額面)の1/3、無理のない生活を考えるなら1/4の相場だと安心。フリーランスは、収入証明ができるよう確定申告をしっかり管理しておこう。
設備
“それ、本当に要る?”を問い直して優先順位付け。「バス・トイレ別」「独立洗面台」などの条件は、それぞれ1.5万~2万円ほど家賃をアップさせる条件。使用頻度の少ないものは見切りをつけたり、天秤にかけることも大切だ。
周辺環境
ゴミ置き場、自転車置き場、共用部もチェック。駐輪場、ゴミ置き場など共用部分のチェックほか、隣のマンションの治安や騒音環境なども重要。Google Mapや犯罪情報マップで事前に周辺の情報収集をすると効率的。
意外な盲点!内見時のチェックポイント。
◻︎エアコンは残置物か?
◻︎自分のキャリアの携帯は通じる?
◻︎光コンセントは完備されている?
前の入居者が置いていったもの=「残置物」はオーナーの持ち物ではないため、エアコンなど高額家電の残置物は要注意。故障した場合は自己補償となる。また、半地下物件は電波が届きにくいので、携帯キャリアの電波チェックはマスト。アパートや古い物件の内見時は、インターネット環境の確認もしておこう。
DATA 住まいについてのアンケート。
現在進行形で賃貸暮らしをしている人は、どんな条件で探して、今の物件にどれくらい満足しているのか。気になるお部屋事情を、ハナコラボ パートナーにインタビュー。
質問1 いま住んでいる家に満足していますか?
「とても満足している」と回答したのは、わずか2割。大半の人は、やや不満な点がありつつ現状住めている、という結果に。
質問2 いま住んでいる家は住み始めて何年ほどですか?
質問3 家探しで大事にしているポイントは何ですか?
IDEAS 不動産屋さんはこう見極める。
信頼できるサイトや会社を見つけ出すことも成功の鍵。探し始めから実践したい、業者見極めのための2つのポイント。
IDEAS
同じ物件はいくつかの業者に問い合わせて比較する。
あまり知られていないが、実はどの不動産屋も扱っている物件はほぼ同じ。物件サイトに同じ物件情報が何件も出てくるのは、そのためだ。いくつかの業者に問い合わせて、“掲載終了”と言われるケースと、“その物件はまだ募集中ですよ”と言われるケースがある場合、信用できる業者は前者(後者はおとり広告の確率が高い)。
「すぐ決めたほうがいい」客観的な理由を聞く。
不動産屋へ相談に行くと、一度は耳にする「これはお得な物件だから、すぐ決めないと埋まっちゃいますよ!」というセリフ。繁忙期は言葉通りのケースもあるものの、「なぜお得なのか」を聞いてみて。「相場より家賃が安い」「相場より広い」「相場より設備が良い」…など、具体的な理由を教えてくれる不動産屋なら良心的。
CASE 気になる防犯チェックリスト。
特にひとり暮らしの場合は、防犯面も気になるところ。
どんな条件なら安全性が高いのか把握しておこう。
GOODS 引っ越し祝いのおしゃれアイデア。
新しい暮らしを迎える人へのお祝いに、喜ばれるプレゼント選びも欠かせないところ。掃除・洗濯/食まわりの2カテゴリーから、ハイセンスで使いやすいアイテムをそろえました。
styling_Ami Kanno
illustration_Eri Masco
text_Ami Hanashima