できるだけ決まりをつくらずに、でもこだわりをもって、有機的に広がっていく。〈コンビニエンスストア高橋〉は、“コンビニ”のニュータイプ。

LEARN 2023.02.23

都営住宅の1階。昔ながらのリサイクルショップや電気屋さんの並びのなかにあって目を引くのは、カルダモンを頭にのせた女性の横顔のイラスト。ユニークさと自由を愛する店主の精神が、店のムードにそのまま現れているようです。さまざまな利用法、楽しみ方ができる〈コンビニエンスストア高橋〉は、幅広い層に支持されていました。

両極をいいバランスで併せ持つ街、練馬区春日町。

鎌倉の名店〈パラダイス アレイ ブレッドカンパニー〉などで修業を経た高橋さんのパンは、自然の酵母や麹を使ってつくられています。
鎌倉の名店〈パラダイス アレイ ブレッドカンパニー〉などで修業を経た高橋さんのパンは、自然の酵母や麹を使ってつくられています。

鎌倉の名店〈パラダイス アレイ ブレッドカンパニー〉などで修業を経た高橋さんのパンは、自然の酵母や麹を使ってつくられています。

〈コンビニエンスストア高橋〉がオープンしたのは2020年11月。「コロナ禍という状況は障壁ではなかった」とオーナーの高橋諒自さんは涼しげに言います。

「当初は勤めていたのですが、こういう不安定な世の中になったことで、自分でやるべきタイミングが来たんだな、と単純に思ったんです。それに、こういうときこそ街にコンビニがあったらいいじゃないか、チャンスなんじゃないかって」

高橋さんはこれまで、海外も含めてさまざまな場所で暮らしてきました。国内外問わず、そのときどきで自分のやりたいことができる場所に移動する生活だったので、エリア自体にはさほどこだわりはなかったのです。ですが、高橋さんの妻であるネイトさんの地元は練馬区平和台。ネイトさんの家族が暮らす、愛着のあるこの界隈で、高橋さん夫婦は住居を探すことにしました。

「庭のある平家を探していて見つかったのが、この近くだったんです。古い民家がわりと残っている地域で。それで、店をやるなら家の近くがいいと思っていたんですが、たまたま空き物件だったこの外観を見かけて、あ、ここ、いいなって」

犬が入店できるのも、決まりをなるべく設けないというコンセプトのあらわれのひとつでしょう。「他のお客さんがよければ、僕らは全然OKです」。
犬が入店できるのも、決まりをなるべく設けないというコンセプトのあらわれのひとつでしょう。「他のお客さんがよければ、僕らは全然OKです」。

というのも、店名だけは先に決めていた高橋さん。店名とこの物件の雰囲気がマッチしている、とピンときたのでした。

「それにこのあたりは、都心からさほど離れていないのに、けっこう田舎でもあって。住んでいる人たちもそう。地域に根ざした年配の人もいれば、都会で働いていて、そのエッセンスを地元に持って帰ってくる若者もいる。街が、その両面をもっているところがいいんですよね」

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