植物療法士・村田美沙とライター・秦レンナの往復書簡 第二回：仕事への向き合い方と、体調の変化

レンナちゃん、こんにちは！お返事ありがとうね。今日は夏至。1年でもっとも陽の長い、最高の1日をどう過ごそうかなと考えているところ。6月に入ってから、日中は徐々に暑くなってきているけれど、できるだけ外に出て太陽を浴びたいと思って、自転車で京都を駆け巡っています。たまにカフェのテラス席や公園で仕事をしたり本を読んだりしているの。友人と会うときも川辺や公園に行ったりしているよ。

そうやってこの時期をなるべく外で過ごそうと思うのは、ヨーロッパへ薬草の旅をしたときに、現地で出会った友人たちと夏を楽しんだ思い出があるからかも。ヨーロッパは冬の日照時間が短いから春をとても楽しみにしているし、夏を楽しく過ごす意気込みが自分とは全然違ったの。自然を純粋に受け入れることができるって、素敵なことだよね。きっとその感覚は、自分と向き合うことやセルフケアにもいい影響があると思ってる。

と言いつつ……、ここ数日はちょっと心身の調子がよくなくて悩んでいるんだよね。理由もなく落ち込んでしまったり、感受性が高まりすぎてか、情報を受け止めきれなかったり。低容量ピルを休薬している最中で、ホルモンバランスの変化が影響しているのかもしれない。きっと気候やストレス、いろんな要因が関係しているから一概には言えないけれどね。こういうときに、ピルは魔法の薬じゃないと実感する。

こういう問題含め「女性の体」と向き合いながら仕事をすることは本当に難しいよね。レンナちゃんに聞かれた「お金を稼ぐことと、好きなことをやりたいという気持ちにどう折り合いをつけているか」について。今の仕事もこれまでの仕事もやりたいと思う気持ちに嘘がないのは確か。最初はお金のためにと受けた仕事であっても、目の前の仕事や人に愛情を持とうと思ったら「やりたいこと」に変化していくんだよね。

仕事に限らないかもしれないけれど、誰かにとってはつらいことが、私にとっては楽しいことだったりする。その逆もしかり。折り合いをつけようとするよりも、向き合い続けるほうがいいなって思う。レンナちゃんはどうですか？　フリーランスになって、仕事の仕方も最近変わっただろうから、考え方も変化していそうだね。お返事楽しみにしています。

美沙ちゃんお手紙ありがとう。本当に最近、陽が長くなったね。夕暮れに鴨川沿いでワイン飲むなんて最高だろうな。今度訪ねたときはぜひやりましょう。

美沙ちゃんの仕事の向き合い方、すごく素敵。どんな仕事も「やりたい」に変えられるなんて、すごいパワーだよ。そういう人と一緒に仕事すると、周りもハッピーだよね。私はといえば、フリーランスになっても、「やりたいことだけやってます」「好きなことだけやってます」とは言えないのが正直なところ。忙しい日々が続くと、仕事をいただけることの感謝の気持ちをふと忘れてしまいそうになって、いかんいかん！と思うの。

いつだったか、フリーランス編集者の友人が、仕事を受けるときにどんなことを大切にしているか教えてくれたことがあって。それは「金額に納得できるか」「自分が成長できるかどうか」「面白いか」、この３つのうち２つが当てはまるかどうか。すごく納得しちゃった。

お金のことって、口にしずらいし、それを理由に仕事をお断りするなんて、ものすごく勇気がいることだと思っていたけれど、いい仕事をしたいと思ったら、お金はものすごく大切なことで、堂々と交渉したり、それを理由にお断りしたりしてもいいんだなって、すごく参考になった。これが“折り合い”かどうかはわからないけど、私の今の仕事の指針にはなっているかも。でもさ、美沙ちゃんのいうように、折り合いをつけようとするよりも、向き合い続けることが大事だね。自分のやりたいこと、お金、生活、健康、将来。真剣に、真摯に、向き合い続けていきたい（だけど、力み過ぎずに！）。

私、原稿を書き出すと、毎日何時間もパソコンに向かいっぱなしになってしまうんだけど、その間、トイレに立ち上がるくらいで全く動かないし、ご飯もめちゃくちゃになっちゃうんだよね（グミだけで済ませちゃったり！）。それで当然のことながら、体調を崩して病院へ……ということをここ数年繰り返していて、いい加減そういう仕事のスタイルも変えないと、と思ってる。健康や美容に関わる仕事をしていながら、こんなんじゃダメだなあって。

前は大丈夫だったことが、そうではなくなっていると感じたとき、やっぱり年齢を感じることもある。美沙ちゃんも30歳を過ぎて、そんなことある？　私は体力や免疫が落ちてきたこと以外にも、シミだシワだ、白髪だ、不安なことを挙げればキリがない。でも、必ず歳はとっていくんだし、せっかくならそういうことも楽しみたいよね。美沙ちゃんの年齢を重ねることへの考え、聞きたいです。