【京都】ライバルはケーキ!?古くから愛され続けるお赤飯の秘密とおすすめ店4選

【京都】ライバルはケーキ!?古くから愛され続けるお赤飯の秘密とおすすめ店4選
FOOD CULTURE
【京都】ライバルはケーキ!?古くから愛され続けるお赤飯の秘密とおすすめ店4選
FOOD 2025.09.22
神事やお祭りが多く、おもてなしの心を大切にする京都には独自の食文化がある。今回は和菓子店で手に入れる、普段づかいのごちそう、「お赤飯」を識者とともに深掘りします。
photo_Yoshiko Watanabe text_Mako Yamato
教えていただきました
鳴海力哉
〈鳴海餅本店〉広報担当

なるみ・りきや/明治8年創業の〈鳴海餅本店〉を、五代目の父・力之輔さんと共に切り盛り。学生時代には他府県出身の友人が赤飯をほとんど食べないことに驚いたというエピソードも。

1. 〈鳴海餅本店〉

鳴海餅本店のお赤飯
赤飯(400g) 1,286円

安心感のある味わい。大正13年に売り出された、大粒の丹波栗の新栗だけを使う栗赤飯は9月中旬からを予定。店では熱々を味わえる。

information
鳴海餅本店
鳴海餅本店
堀川下立売

住所:京都府京都市上京区下立売通堀川西入ル西橋詰町283
TEL:075-841-3080
営業時間:8:30~17:00 ※店内飲食9:30~16:00LO
定休日:月休(祝の場合は火休)
席数:10席

2. 〈嵯峨嘉〉

嵯峨嘉のお赤飯
赤飯(300g) 660円

昭和45年に創業し、二代目の島田嘉寛さんが営む。滋賀県甲賀・小佐治産の羽二重糯と、大粒の丹波大納言小豆をたっぷり使った赤飯は深い小豆の色が目を引く。もちもち感もひときわ。

information
嵯峨嘉
嵯峨嘉
嵯峨野

住所:京都府京都市右京区嵯峨広沢御所ノ内町35-15
TEL:075-872-5218
営業時間:8:00~19:00
定休日:水休

折詰は要予約

3. 〈たから餅老舗〉

たから餅老舗のお赤飯
赤飯(300g) 850円

京都府の現代の名工にも選ばれた、84歳の店主・坂上茂さんが全ての菓子を手がける。赤飯は滋賀羽二重糯と大粒の小豆を使用。「小豆が腹割れしないよう、食感は少し柔らかめに蒸しあげます」。

information
たから餅老舗
たから餅老舗
壬生

住所:京都府京都市中京区壬生馬場町20
TEL:075-821-0670
営業時間:8:00~18:00
定休日:不定休

折詰は要予約

4. 〈小松屋〉

小松屋のお赤飯
赤飯(500g) 1,560円

アーケードのある寺町通に、大正元年から店を構える老舗。江州米と丹波大納言小豆を使った赤飯は香り高く、口に残る小豆の余韻が上品。正倉院の校倉造を模した折箱も美しい。

information
小松屋
小松屋
寺町御池

住所:京都府京都市中京区寺町通御池下ル下本能寺前町514
TEL:075-231-7753
営業時間:9:00~17:00
定休日:月休

折詰は要予約

京都のお赤飯

ハレの日に欠かせないのはもちろん、ちょっとした手土産にしたり日々の食卓に登場したり。饅頭屋さん、餅屋さんの軒先には、普段づかいの和菓子とともに並ぶ赤飯の姿がある。京都の街で赤飯は、驚くほどポピュラーな存在。その理由を知りたくて訪ねたのは「ナルミの赤飯」で知られる〈鳴海餅本店〉。「京都はほかの街に比べてお祭りの多いことが、ひとつの理由かもしれません。寺社の神事に加えて、町内の行事ごと、出産やお食い初め、入学や卒業など人生の節目を祝う風習も大切にされています」と話してくれたのは鳴海力哉さん。古くから赤は邪気や厄を払う色とされてきた。「穢れを祓い、禍を避ける。そして祝う気持ちを込めて食べるのが赤飯なのです」。今では減ったとはいえ、まめに暮らせるようにとの思いを込め、商売繁盛を願って毎月1日に赤飯を食べる風習も受け継がれている。

では和菓子店で赤飯が作られるようになったのは、どんな経緯からだろう。「店のある西陣はお商売で忙しい家も多く、赤飯を炊く時間もなかったことでしょう。それならと、もち米や小豆を扱う餅屋に頼むようになったのでは」と鳴海さん。餅は餅屋。専門店に任せるのが賢明と考えたのは、いかにも京都らしく無駄のない話。

秋には三代目が考案した栗赤飯が登場し、多い日には1トンもの赤飯を炊くという〈鳴海餅本店〉。佐賀県産ヒヨクモチと丹波大納言小豆を使い、地下水を使って炊きあげる赤飯はもっちりとして、冷めても甘みが際立つ。店頭には茶碗一杯分200gの気軽なパックから、一升が入る折箱までが並び、注文ごとに温かい赤飯を詰めてもらうスタイル。そこからはハレの日もケの日も、どんなシーンにも寄り添いたいという気持ちが伝わってくる。「お祝いの場に欠かせないという意味でライバルはケーキ。先人が培ってきた文化を次の世代へ繋いでいけたら」と鳴海さん。赤飯を味わえば京都の暮らしに根ざす、食の文化を知るひとときに。

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