京都中心部で22時閉店の喫茶店は貴重。古書店が生まれ変わった〈アスタルテ書茶房〉
京都中心部で22時閉店の喫茶店は貴重。古書店が生まれ変わった〈アスタルテ書茶房〉
FOOD 2025.09.08
昭和初期から喫茶文化が脈々と受け継がれる京都で、今注目したいのは、大切に守られてきた空間を次の世代へとつなぐ喫茶店。京都の歴史ある古書店〈アスタルテ書房〉が古書店兼カフェ・バー〈アスタルテ書茶房〉としてスタートしました。
photo_Yoshiko Watanabe text_Mako Yamato
ひそやかな古書店が、カフェの顔をまとってリボーン。

小説家・澁澤龍彥や画家・金子國義らともゆかりが深く、耽美文学専門として知られた個性派古書店〈アスタルテ書房〉。40年の歴史の幕を閉じたのちに、2025年3月からは古書店兼カフェ・バー〈アスタルテ書茶房〉として新たなページを刻み始めた。
ひっそりとしたマンションの一室。靴を脱いであがる、まるで書斎のようなスタイルは以前と同じ。本と向き合う時間を邪魔しない、かすかに流れる音楽も変わらない。蔵書の並ぶ書棚に違和感なく溶け込んだカウンターの姿に、ようやくここがカフェであると気付かされる。

店を営むのは、京都で2軒の深夜喫茶を営む西條豪さん。店名をつけた生田耕作の翻訳作品に学生時代に触れたこと、古書店で働いた経験などから、縁がつながった。

「ここにいると落ち着いて、いつの間にか一日が終わってしまう」と西條さん。時を忘れて過ごす贅沢さを手に入れたい。
【受け継いだもの】

「いわれは不明ですが、ゲストをもてなすときに使われていたであろう木のトレイも、譲り受けたもののひとつ」

澁澤龍彥が座っている古い写真が、店内にも残されているソファ。カフェの席として自由に過ごすことができる。
information
アスタルテ書茶房
京都市役所前
住所:京都府京都市中京区丸屋町332 御幸町ジュエリーハイツ202
TEL:075-252-8787
営業時間:14:00~22:00(21:30LO)
定休日:木休
席数:10席
〈深夜喫茶しんしんしん〉〈深夜喫茶/ホール 多聞〉に続く店舗。




















