ひと足早い春の訪れ。せりが主役の簡単レシピ3選|料理×器の組み合わせも提案。
うちだ・まみ/長崎県出身。シンプルで美しく、おいしい料理に定評があり。『私の家庭菓子』『内田真美の日々スープ』など著書多数。台湾や韓国の食や工芸、文化にも精通し、台湾の食のガイド本も好評。
春を告げる香り豊かなせり料理を、シックな絵唐津で彩って。
日本原産で、春の七草の一つに数えられるせり。1年の無病息災を願い1月7日に食べる七草粥のほか、きりたんぽなど鍋の具材としても親しまれる今が旬の野菜だ。
「茹でても炒めてもおいしいけれど、個人的に生のせりの爽やかな香りとシャキシャキ感が好きなんです」と内田真美さん。今回教えてくれたのは、せりの風味と食感が鍵となる3品。
「せりと豚肉のくわ焼きは、甘辛く焼いた豚肉と、さっと混ぜ合わせたせりのほろ苦さが相性がいい。せり豆腐の味付けは塩だけですが、熱々の油でせりとしょうがの香りをたたせています。せりと柿のみぞれ酢あえは、あえたてのシャッキリ感をぜひ味わって欲しいですね」
そんな内田家の冬の定番メニューを引き立てているのは、唐津の作家、丸田雄さんの器。
「もともと絵唐津が好きなのですが、丸田さんのグレイッシュな絵唐津はシックで素敵。温かみのある形も印象的です」
〈せりと豚肉のくわ焼き〉甘辛くほろ苦い味わいでご飯が進む。
材料(2人分)
豚肩ロース(ブロック) …200g
塩 …少々
せり …100g
植物油 …小さじ1
A
・酢 …大さじ1
・酒 …大さじ1
・はちみつ …大さじ1
・しょうゆ …大さじ1と1/2
粉山椒 …適宜
作り方
❶ 豚肉は、5㎜の厚さに切って軽く塩をふる。せりは根元を切り、5㎝幅にざく切りにする。
❷ Aはよく混ぜ合わせておく。フライパンを強火で熱し、熱くなったら強めの中火にし、植物油を入れて豚肉を並べ入れ、両面香ばしく焼く。火が通ったらAを一度に加え、強火にし照りが出るまで絡める。
❸火から下ろし、せりを加えざっと合わせる。皿に盛り付けて好みで粉山椒をかける。
〈せり豆腐〉熱した油をひとさじかけて、せりの香りがふわり。
材料(2人分)
豆腐 …1丁
せり …50g
しょうが …1片
塩 …少々
植物油 …大さじ1
作り方
❶ せりは根元を切り小口切りにする。しょうがは皮をむき細かいみじん切りにし、せりと合わせてよく混ぜておく。
❷豆腐はふつふつとした温度で茹でる。真ん中まで温まったら水気をよく切り、皿に盛り付ける。
❸ 豆腐の上面に塩をふり、1をたっぷりとのせ、塩をせりにもふる。植物油を小鍋に入れ煙が出るまで熱し、せりの上にジュっとかける。
〈せりと柿のみぞれ酢和え〉箸休めにぴったりのさっぱりと優しい味わい。
材料(2人分)
柿 …1個
大根おろし(軽く絞り 正味) …120g
せり …100g
A
・塩 …小さじ1/2
・酢 …大さじ1
・砂糖 …大さじ1と1/2
作り方
❶ 柿は皮をむき、3㎜ほどの厚さに切る。せりは根元を切り、サッと茹でて冷水にとり、水をよく切って3㎝ほどのざく切りにする。
❷ ボウルにAを入れて砂糖と塩が溶けるまで混ぜ、大根おろしを加えて混ぜ合わせる。
❸ 1の柿とせりを加え、ざっくりと混ぜ合わせる。
器のこと
1989年、佐賀県生まれ。2008年、大阪芸術大学に入学。2011年に益子にて明石庄作氏に師事。2015年には現代唐津の第一人者である父、丸田宗彦氏に師事。2019年に独立し、古唐津の地・黒牟田にて開窯。
[器の取扱店]
・Pond Gallery(東京)ほか
東京都中央区銀座7-3-13 1F 03-5794-4355 12:00〜17:00 個展期間中のみ営業
〈GALLERY一番館「唐津・karatsu」〉(佐賀)でも展開。今年5月に(石川)で企画展開催。
photo_Tetsuya Ito / recipe & styling_Mami Uchida / text_Kazuyo Nojiri / cooperation_UTUWA