【東京】食通イチ押しの、ご褒美レストラン4選。
誕生日やアニバーサリーだけでなく、日々頑張る自分を讃える「ご褒美」に、とっておきのレストランに出かけよう。ドレスアップして積極的にハレの日を演出するのも楽しむコツ。いま、食通が薦める場所とは？
こいしはら・はるか／うどん、焼きそば、肉と、好きなものにはとことんハマる“偏愛系”ライター。『東京最高のレストラン』（ぴあ）には毎年寄稿。最新刊は『自分史上最多ごはん』（マガジンハウス）。
山口繭子
フードディレクター
やまぐち・まゆこ／『婦人画報』『ELLE gour
met』編集部（共にハースト婦人画報社）を経て独立。レストランやホテルシーンなど食とライフスタイルを中心とした執筆や編集業を続ける傍ら、飲食施設のディレクションも行う。
一日三食、ときにはそれ以上の回数で食事に向き合う、ライターの小石原はるかさん。今回はフードディレクターの山口繭子さんと「ご褒美レストラン」について語った。
小石原はるか（以下、小石原） 気分を上げてくれるレストランの「ご褒美」要素って、味はもちろん、インテリアやサービスマンの雰囲気などさまざま。
山口繭子（以下、山口） おめかしして行きたくなるお店がいいですよね。
小石原 予算を決めましょう。
山口 最近相場が上がってますからね。1万円台だとかなり限られてしまうので、一人2万円に収まるお店が理想かも。
小石原 あ、居酒屋でも〈創和堂〉のようなお店ならご褒美感があります。人気なのがよくわかりますね。高級レストランに行き慣れていない人には、ホテルのレストランがいいですね。私も若いときに経験しました。
創和堂
予約困難な居酒屋〈酒井商会〉の姉妹店として2020年に開業した、隠れ家的スポット。キッチンを囲むカウンターはライブ感満載で、九州食材を使った料理がいただける。ドリンクは日本酒、ナチュラルワイン、クラフトビールなど。
小石原 最近はホテルの開業ラッシュが続き、玉石混交ですね。
山口 〈フォーシーズンズホテル丸の内 東京〉の〈セザン〉は今年「アジアのベストレストラン」で1位になった注目店ですが、こちらは予算オーバー。予約を取るのも困難な店です。が、こちらの総料理長が監修するビストロ〈MAISONMARUNOUCHI〉もおすすめ。
小石原 同じクオリティでちょっと気軽な価格がうれしい！
〈 MAISONMARUNOUCHI 〉フレンチビストロ
見慣れた料理を一流がブラッシュアップ。
出身地イギリスからニューヨーク、パリ、香港と世界で腕を磨いてきたスターシェフ、ダニエル・カルバートさんにかかれば、フライドチキンもごちそうに。クリスピーな衣をまとう柔らかい身は、ジューシーそのもの。東京駅を見下ろすビューも特別感を演出。
手間をかけた下ごしらえで、しっとり柔らかくスパイシーに。
岩手県産の鶏肉をピクルス液に漬けた後、スパイス漬けに。揚げ油にはアヒルの脂を加え、コク深く。コーンブレッド添えで4,800円。
豊洲市場に週3〜4回通うシェフのパスタは、イカを麺に見立て、シソのオイルで彩り豊かにした「烏賊のタリアテッレ」4,000円。
旨みの強いチキンには、程よくシャープなシャンパーニュ「NV ヴーヴ クリコ ポンサルダン イエロー ラベル」グラス3,600円を。
MAISONMARUNOUCHI
フレンチビストロ
10,000円のセットがおすすめ。
住所：東京都千代田区丸の内1-11-1 パシフィックセンチュリープレイス フォーシーズンズホテル丸の内 東京7F
TEL：03-5222-5880
営業時間：7：00〜10：00、11：30〜16：15LO、アフタヌーンティー11：30〜18：00LO、17：00〜21：30LO
定休日：無休
席数：43席
山口 あとは〈キンプトン新宿東京〉にある〈86〉。バーだけど料理もおいしいんですよ。17階という高さから東京を見渡せて、テラスへ出られるのも楽しい。
〈 86〉バー
新宿の高層階で日常からエスケープ。
禁酒法時代のアメリカをテーマにするルーフトップバーは、実はフーディーにこそおすすめ。スパイシーヌードルやチキンウィングなどアジアの風を感じる料理は、どれも一捻りされ独創的。夕暮れからゆっくりと食事を楽しんだ後は、めく夜景に似合うカクテルを。
貝のだしをベースにしたスープに、卵、エビシュウマイ、キムチ、キクラゲのマリネ、豚バラ肉をトッピングした中華麺。2,800円。
エビのすり身を包んだチキンウィング2,500円（写真奥）、ジャガイモをミルフィーユ状にした「86フライドポテト」1,800円（写真手前）。
右から、香辛料と共に密輸された酒を表す「ヴェール オブ スパイス」2,300円、今日の気分で選ぶ「一旦落ち着きますか？」2,400円。
ホテルの最上階にエレベーターが着けば、そこは別世界。
住所：東京都新宿区西新宿3-4-7 キンプトン新宿東京17F
TEL：03-6258-1414
営業時間：18：00〜23：00（料理22：00LO、ドリンク22：30LO、金土、祝前日〜1：00、料理24：00LO、ドリンク24：30LO）
定休日：無休
席数：24席
小石原 ここはホテルだけど適度にカジュアルで入りやすくて。
山口 夜景はさながらマンハッタン。ぜひ『SATC』のキャリー気分でドレスアップを！
小石原 もはやコスプレ気分で。最近は中国料理もご褒美にぴったりだなぁと思っているのですが、お店を挙げるならどちらが良いでしょう？
山口 〈中国菜ARATA〉ですね。日本ワインに合わせて出してくれるのがいいなと思って。
小石原 あぁ、料理に安定感があって、間違いないですよね。
〈 中国菜ARATA 〉中国料理
厨房を取り囲む新時代の円卓で気軽に本格四川料理を堪能。
よく乾燥させたおこげはフワッと揚がり、だしをよく吸う。「鮑のおこげ」は「芙蓉」13,200円、「李白」（要予約）22,000円のコースで。
金華ハム、鴨手羽、白湯の3つのだしを合わせた店の要となる味を、季節のスープで楽しもう。写真はズッキーニとフカヒレのスープ。
石原 基本はコースですが、たまにアラカルトOKな日も。町のレストランというのも温かみがあって。となれば、私のおすすめは〈Ciotat〉。去年は6回も行ったお気に入りです。私的には奇跡のフレンチ。
山口 この内容では破格のお値段。すごいですね。
〈 Ciotat 〉フレンチ
良心的価格を実現する和やかな正統派レストラン。
食通の心を掴み続ける廣田駿シェフはワンオペで人件費を抑え、上質な味を提供。南仏伝統の豆の煮込みには、贅沢な海鮮がたっぷり。
食通の心を掴み続ける廣田駿シェフはワンオペで人件費を抑え、上質な味を提供。南仏伝統の豆の煮込みには、贅沢な海鮮がたっぷり。
料理好きの家庭に招かれたような店内や廣田シェフの人柄は穏やかの極み。サーブしてくれたのはマグロにラタトゥイユを添えた前菜。
小石原 プロヴァンス地方の三ツ星店〈ウストー・ド・ボーマニエール〉や新宿伊勢丹の〈ル サロン ジャック・ボリー〉で腕を磨いたというシェフです。
山口 なるほど、経歴でフレンチに夢中な様子が伝わります。
小石原 たとえば魚料理は、皮目はパリッ！と。芯まで熱が入っていつつ、身はとてもしっとり。
山口 ミキュイ（半生に仕上げること）にしたあと、丁寧に油をかけているんでしょうか。手間が感じられます。
小石原 パンは超人気店の〈パン・デ・フィロゾフ〉から仕入れていて、妥協がありません。
山口 パンがちゃんとしているレストランは信頼できますね。若いうちに、こういうフレンチを好きになってほしい。
小石原 本当に！ 老婆心ながら、切に思います。和食はおすすめありますか？ 予算に合うお店は少ないかもしれませんが。
山口 焼き鳥はいかがでしょう。あまりお作法も気にしなくていいし。〈焼鳥 嘉とう〉がおいしいですよ。
2016年のオープン直後からビブグルマンに選出され続ける奥久慈しゃも専門店。北千住の名店〈バードコート〉で焼き鳥の基礎から学んだ店主は元ウェブデザイナーと異色の経歴だ。コースのほか自家製レバーパテや焼売など一品料理も評判。
小石原 ロケーションもいいし、モダンでクリーンな内装も素敵。
山口 ご褒美レストランこそ、一人で行くのがいいかもしれません。一人だと食だけに向き合う没入体験ができます。
小石原 昔は一人客では肩身が狭いこともありましたが、最近はそんなことも減り。一人で噛み締めるご褒美もいいですね。
No. 1235
