Hanako編集部’s note. 正直めんどくさい、でもやっぱり手みやげっていい。|『Hanako』3月号特集「贈りたい、もらいたい、手みやげ」編集後記
2023年12月27日発売 Hanako「贈りたい、もらいたい、手みやげ」特集を担当した編集者が自由に記す、編集後記です。
人と会う機会の多い今の季節は、手みやげが活躍する!ということで1冊を通して手みやげを特集。紹介した品数は、150品以上。取材させていただいたみなさんの手みやげのお話を聞いていると、1品1品に物語がありました。
堀井美香さんがおすすめしてくれたのは、ジェーン・スーさんと収録中つまめる和菓子。
アイナ・ジ・エンドさんは、料理好きのアオイヤマダさんに老舗米店の新米を。
神田愛花さんは、自分が買ってよかったと思ったコーヒーメーカーをハライチ岩井さんに。
選び方も十人十色。誌面で紹介している手みやげは、食べ物なら美味しいことはもちろん、相手に贈るときに理由も語ることができる品々を厳選しています。
かくいうわたしは、母に手みやげを買っていくのが好きでした。
買ってきた手みやげを食べながら、最近起こった出来事を話します。
「今日のゼリーは、伊勢丹の地下で売っていて…」「このドーナツは最近新宿にオープンした店で買ったんだけど、すごい並んでたんだよ」
手みやげも話のネタにしながら、買ってきたおやつに手を伸ばします。
母は一口、二口、食べたら、あとはわたしにバトンタッチ。わたしが食べるのを嬉しそうに見つめていました。
母は長い間病院にいました。まだYouTubeもネットフリックスもSNSも盛んではない時代。
今考えると、退屈な閉鎖空間の中で手みやげは外の世界と繋ぐものになっていました。
だから、この特集を15年前にできていたら、もっと素敵な手みやげを母に贈れたのかもとも思ったり。
ぼる塾田辺さんがおすすめしてくれた〈エキュ〉のダックワーズ、甲斐みのりさんが教えてくれた〈服部製糖所〉の和三盆おはぎ、平野紗希子さんの一押し〈SISIRI〉の雪もちなんて、もっていったら、きっと喜んでくれていたはず。
秋元康さんが教えてくれた手みやげを持っていったら「秋元康さんのおすすめが食べられた!」なんて看護師さんに自慢してたかも。
「サプライズを贈ろう!」特集の〈メゾン・テリア〉の犬モチーフのカップケーキはきっと携帯電話で写真をいっぱい撮っただろうし、〈蜂の家〉の特大シュークリームなんて持っていったら大笑いしてくれたかもしれません。
わたしが母に買って持っていった手みやげは、帰る頃に「持って帰って食べてね」と渡してくれました。それは、母からわたしへの思いやりの手みやげ。だから、決して残念なことではありません。
正直手みやげってちょっとめんどくさい、と思うときもある。だけど、日本人の思いやりで生まれた文化だと思っています。
この1冊を読んでくださった方が、Hanakoを通して出会った手みやげを贈り、どこかで新たな物語が生まれている、って思ったらワクワクします。
大切なあの人に、これから仲良くなりたいあの人に、ぜひ手みやげを贈ってみてください。