第26回 ボリュームたっぷりの朝ごはんを味わうなら 連載︰秘密の台湾
FOOD 2023.02.16
台北の朝は活気にあふれている。それはいたるところに 朝ごはん屋さんや朝市があり、早くからにぎわっているからだ。
外食文化が根強い台湾では、朝食専門店の「早餐店」がたくさん。その場でサクッと食べて行く人、出勤前にテイクアウトする人、ふらっと買いに来た近所の人…で早朝から行列が絶えないお店も多い。
台北市の南側、寧波西街に佇む〈大三元豆漿店〉もそのひとつ。
決してアクセスがいい場所ではないのに、40年間地元の人たちに愛されてきた。
このお店の人気の秘訣は、お客さんのほとんどが購入する、厚みのある生地で作られた「蛋餅」と、具だくさんの「韮菜盒」にある。蛋餅は生地を一度畳んでから発酵させることでフワフワな仕上がりになり、韮菜盒には、花蓮吉安産の「白頭韮菜」というこだわりの品種の新鮮なニラを使用し、加熱してもシャキシャキとした食感が味わえる。
こうしたひと工夫には、「お客さんにいい朝ごはんを届けたい」という2代目店主・李佩珊さんの想いがつまっている。さらに効率よく手作業を進めるため、昨年夏に店舗を改装。動線確保や周囲の雰囲気も考慮してシンプルな内装にこだわったそう。台湾の家庭でお父さんが家事をすると決まっている休日となると、家族の朝ごはんを買いにくるお父さんでごったがえすこの店。創業者である母から受け継がれた味と娘の想いが、今もたくさんの台北の人々の朝ごはんを支え続けているのだ。