ニッポンのお茶のニューウェーブ。#4 土地に根付いた在来の味とは。お茶好きは在来茶を目指す。
お茶好きの心を掴むのが在来茶。生産量が少なく大変稀少なお茶だ。生産者たちの独自の感性や高い技術が光る一品を、お茶愛好家がセレクト。9月28日(水)発売Hanako1213号「新しいニッポンのお茶。」特集よりお届けします。
在来茶は、持続可能な未来へつなぐ!
〈マルヒ製茶〉の在来 ─ 春摘み煎茶 シングルオリジン一番茶
紅茶の名手であり、環境に配慮した土作りと栽培方法を貫く静岡・磐田の茶園。これは代々守り続けるやぶきたの古木の一番茶で作る贅沢な品。「在来種の個性が光るコクと力強さ。まずお茶の精度に感動」。50g 648円。
TEL:0538-38-0201
HP:https://www.maruhi-s.com/
Selector:藤森陽子 ライター
ふじもり・ようこ/コーヒー、紅茶、台湾茶をこよなく愛する嗜好系ライター。3年ほど前、納豆取材の際に在来大豆の魅力に辿り着いて以来、お茶も「在来種」ウォッチャーに。
品種改良された挿し木苗で育てる一般的なお茶に対し、種から育った(=実生)茶樹で作られるお茶が在来茶。「各地域に代々受け継がれてきた在来種は、その土地のテロワールがあり、SDGsや地産地消の広まりとともに再評価されています。お茶作りの名手がアプローチしたり、里山の継承のために次世代が販売活動をしたりと、ムーブメントが活発化しています」と、ライターの藤森陽子さん。ワインのように、在来茶ならではの生命力や奥深い味わいを楽しんで。
1.〈月ヶ瀬健康茶園〉の自然栽培茶 ほうじ茶在来
奈良・月ヶ瀬の豊かな土壌で育まれる自然栽培茶。赤土で育った在来種の刈下番茶(一番茶を摘んだ後に茎ごと刈った茶葉)を遠赤外線でゆっくり火入れ。「ミネラル感とふくよかな甘みが沁み入るよう」。200g 982円。
TEL:0743-92-0739
HP:https://www.tukicha.com/
2.〈五ヶ瀬緑製茶〉の萎凋釜炒り茶 華菜シリーズ 2022年 在来
日本が誇る釡炒り茶の名人・興梠洋一さんが、“花香”を生み出す独自の萎凋技術を釡炒りの製法に加えた「萎凋釡炒り茶」シリーズ。「萎凋により引き出された在来種の複雑な風味と華やかな香りがみごと!」。30g 648円。
HP:https://gokasemidori.stores.jp/
3.〈長野園〉の なつかし緑茶 在来種
和紅茶でも注目される茨城・猿島の茶園。多彩な品種を栽培する中、樹齢70年超の在来種も無化学肥料で育成、“昔ながらの緑茶のおいしさ”を表現。「口当たりまろやかで、明るくまっすぐな旨味。これぞ健やかな味!」。50g 594円。
HP:https://www.naganoen.com/
4.〈霊峰伊吹山 春日薬草店〉の伊吹在来茶
薬草の地として知られる岐阜・伊吹山麓。先祖代々薬草の行商を営んでいた一族による在来茶と薬草のブランド。「自然栽培で手摘み、手切りの伝統技法で作られる。アミノ酸が多いそうで、甘い余韻が続きます」。2.5g×12パック 1,944円。
HP:http://ibuki-herb.com/
5.〈楠森堂〉の実生在来茶 蔵出し煎茶 唐津七山・手漉和紙ギフトボックス入り
樹齢100年超の茶樹で在来茶のみを作る福岡・うきはの茶園。製茶後に築二百余年の土蔵で半年間熟成、カドの取れた味わいに。「古樹の成熟した風味と熟成によるまろやかさ。製茶の丹念さが伝わる」。手漉き和紙箱入り。40g 1,404円。
HP:https://kusumoridou.com/
6.〈ソットチャッカ〉の釜炒り茶
島根の清流の山里・かきのき村。写真家の七咲友梨さんがこの地に伝わるお茶を自ら作り、発信するプロジェクト。樹齢50〜100年の在来種を手摘みし、鉄釡で釡炒りに。「軽やかな飲み口で、森の景色が浮かぶ清涼感」。18g 1,944円。
Instagram:@sotto_chakka