喫茶YOUと、ブーム。 【小谷実由×平野紗季子】〈喫茶YOU〉の魅力を語る!かわいくて、おいしくて、心地よくて。
小谷実由さんと平野紗季子さんが愛してやまない〈喫茶YOU〉。いつしか店の前には行列ができるように。その魅力を引き出した二人に思いを語っていただいた。Hanako特別編集『喫茶店に恋して。[改訂版] 』よりお届け。
――お二人は〈YOU〉の熱烈なファンだと伺いました。オムライスは今日で何回目?
二人:わからないくらい(笑)。(テーブルに運ばれてくるなり、お皿を揺らして動画を撮り始める二人)
平野紗季子さん(以下、平野):このトロトロ感は写真では伝わらないので(笑)。
小谷実由さん(以下、小谷):「飲む」食べ物です。
――好きすぎて、グッズを自主制作してしまったと聞きましたが。
平野:初めて行ったときに、お店の入口のネオン管を見て、一目惚れしちゃって。
小谷:ブローチにしたらかわいいね、って盛り上がったんだよね。で、〈伊勢丹新宿店〉で紗季ちゃんがイベントをやるときに、作っちゃおう、って。それから〈YOU〉のママさんに話をしに何度も足を運んだり、お手紙を書いたり。ついにOKをいただいて、代官山の雑貨屋さん〈Aquvii〉とあれこれ話し合って、デザインを形にしていったんです。最終的にはブローチのほかに、クリームソーダカラーのハンカチと、オムライスを小脇に抱えるようなバッグも作りました。
平野:好きなお店は色々あるけれど、本当に惚れ込んでいないと、グッズまで作ろうとは思わない。ファンが推しのアイドルのTシャツを着ちゃう感覚と似てるのかも。フェティシズムに近いけれど、その根底にあるのは愛、っていうところが。
――なるほど、深いです。それにしても、どうしてそこまで〈YOU〉に惹かれるのですか?
平野:扉の先に何があるのか見てみたくなる感じ?店主の一存でなんとでもなっちゃう感、というか。それは銀座の喫茶店全般にいえることですが。私たちが学生の頃はカフェブームで、世の中は均一化されたお店で飽和状態だったから、新鮮で。コースターのデザインとか、個性が強すぎて我が道行ってる(笑)。
小谷:喫茶店に行くことが普通だった時代への憧れもあるのかも。私にとっては特別でも、少し前の世代の人たちには日常だったわけで。隣の席でドラマが繰り広げられてたりするのもいい(笑)。
平野:町を重層的に見られるのがおもしろいし、お客さんとお店の距離感も独特。いい意味で放っておいてくれる。〈YOU〉のママさんも、常連さんにも必要以上に踏み込まないように心がけてるそうなんです。
レトロ喫茶ブームの“火付け役”。
――でも決して冷たいわけじゃない。
平野:気にしてないようで、ちゃんと私たちを見てる。懐が深いんですよね。
小谷:みんながわざわざここにやってくるのは、お料理のおいしさはもちろん、そういう心意気を心地よく感じているからなんじゃないかな。
平野:あ、インスタ映えするってのも。オムライス、かわいいですもん。喫茶店でハシャいだりしないで、普通に座って新聞を読む、みたいなのが理想だけど、〈YOU〉では絶対無理(笑)。
小谷:もう、撮りまくって発信しまくっちゃう(笑)。ある意味ストイックなのかもね、私たち。
オムライスに次ぐ、隠れた人気メニューも。
Message
喫茶YOU ママ
小谷さん・平野さんのお二人がブローチやバッグなどの雑貨を作ってくださったあの後、実際にそれらを手にお店へと来てくれるお客さまの姿が多くありました。中には、「伊勢丹のイベントで買いました」とうれしそうな表情でグッズを見せてくれる方まで。なんだか、こちらまでうれしい気持ちになったのを覚えています。
小谷実由
私がYOUを知る前から、ずっとみんなが大好きなYOU。これからどんな流行や時代の変化が訪れても、撮影の時に見せていただいたオムライス作りの姿勢のようにスッと気持ちの良い筋の通ったお店なのだろうなと思います。あの撮影の時に言い忘れていましたが、私はレモンゼリーが好きです。
平野紗季子
ネオンサインもふるふるのオムライスも。これまでもこれからも大好きな喫茶店です。
〈喫茶YOU〉
歌舞伎座の横で40年余り。レトロかわいい世界観と看板メニューのオムライスで長年ハナコ読者の心を射止め続けてきた名店。ここ数年の人気は凄まじく、お昼時には行列が絶えない。
■東京都中央区銀座4-13-17
■03-6226-0482
■11:00~16:00LO 無休
■48席
Profile
小谷実由(おたに・みゆ)/ファッションモデル。喫茶店巡りはライフワークで、インスタ(@omiyuno)には訪れたお店の写真がたくさん。目印は#喫茶部。
平野紗季子(ひらの・さきこ)/フードエッセイスト。食にまつわる執筆業のほか、菓子ブランド「(NO)RAISIN SANDWICH」の代表を務めるなど活動は多岐にわたる。