“私たちの未来にとって大切なことは何なのか”、豪華ゲスト4人と考えます。 SDGsについて楽しく学ぶ!「LUMINE CLASS ROOM」と「ハナコカレッジ」が特別コラボ講座を実施
気持ちのいいライフスタイルのヒントが見つかるカルチャースクール「LUMINE CLASS ROOM」が、Hanakoの学びプログラム「ハナコカレッジ」とコラボ!「SDGs入門」と題して、アップサイクル、食、カルチャー、女性の働き方の各テーマにゲストを迎えて学ぶ特別講座を実施しました。今回は、当日のライブ配信の模様をレポートします。
【1限目】アップサイクル(講師:eriさん)
アップサイクルとは、不要だと思うものの形状や特徴などを活かしつつ、新しいアイディアを加えることで、別のものに生まれ変わらせること。〈DEPT Company〉代表・eriさんは、ファッションに携わる立場から環境のためになにができるのか、個人や会社の取り組みを発信している。
「私の会社では、“ものづくり=新しいもの生み出すこと”“古着=古いものを循環させていくこと”の2つの立場から見ることができます。数年前、古着を買い付けにいくと、着なくなった膨大な量のファストファッションの服が山積みにされていて。繊維産業が地球に与えているダメージを勉強するようになってからは、ファッション業界も意識を変えていかなければと思うようになりました」(eriさん)。
そんな経験から、会社や店舗運営において、すべての行動に可能な限り地球環境への負担をかけないという理念のもと、「DEPT THIRD-HAND PROJECT」をスタート。古着を洗うときは専用の洗濯ネットでマイクロプラスチックの流出を防いだり、商品の包装資材は環境負荷の低い素材のものを使用したり、本社や店舗の電力を再生エネルギーにシフトするなど、お客様の目に見えないところまで環境に配慮した取り組みを続けている。また、自身のSNSでは生活に取り入れられることを紹介。
「家の掃除は、ほたての貝殻を天日干しして洗浄し、高温で焼き上げた『ほたてパウダー』がおすすめ。ホタテパウダー1袋で200〜300本のスプレーが作れるのでコスパもよく、環境のことを考えて買うのを避けたいハードプラスチックを減らすことができます」(eriさん)。
最後に、eriさんにとって“いい暮らし”とは?
「ものを選ぶ、買うなど、行動ひとつひとつに責任をもつこと。やってはいけないことがわかると、自身の行動が直接的にいまの地球環境に関わっていると自覚をもって過ごすことができます」(eriさん)。
■eriさん
1983年ニューヨーク生まれ、東京育ち。〈DEPT Company〉代表/デザイナー/アクティビスト。’97年、立花ハジメと「LowPowers」でデビュー。’04年に自身のブランド「mother」をスタートし、’15年、父親が創業した日本のヴィンテージショップの先駆けであった「DEPT」を再スタート。その後、テーブルウェアブランド「TOWA CERAMICS」、輸入雑貨店〈DONADONA TOKYO〉などを手がけ、またVEGANカフェ〈明天好好〉のプロデュース。NY在住の文筆家・佐久間裕美子と社会問題をメインテーマにPodcast“もしもし世界”の配信を始めるなど、ファッションの枠を超え活動している。また最近では可能な限り環境負荷のかからない自身のライフスタイルや企業としてのあり方をSNSを通し発信し、気候変動・繊維産業の問題を主軸にアクティビストとしてさまざまなアクションを行なっている。 Instagram:@e_r_i_e_r_i
eriさん特別講座の動画はこちらから
【2限目】食(講師:小代智紀さん)
自身が経営するデザートブランド〈shodai bio nature〉では、オーガニックを中心としたお菓子を販売するなど、人工的な着色料や化学的な香料、食材を極力排除するという調理哲学をもつパティシエ・小代智紀さん。
「子供のアトピー性皮膚炎に悩んでいたことがきっかけで、遺伝子組み換えの食物や当時仕事でつくっていたスイーツに疑問をもつようになって。そのままの環境では実現できないと思い、自分の会社をつくりました」(小代さん)。
消費者にとって、いきなりオーガニック食材のみの生活はむずかしい。初心者でも日常的に取り入れられるコツは、加工食品をやめること。
「無理に制限をしてしまうと、普段の生活にストレスがかかってしまいます。出汁をとってみたり、ファーマーズマーケットや道の駅で新鮮なオーガニック野菜を買ってみたり。できなかったら“まあいいや、明日やろう”くらいの精神でいるのが長続きする秘訣だと思います。コロナ禍で家にいる時間が増えたいまこそ、ぜひ料理をつくってほしい。自分のためにつくるごはんは1番の幸福につながりますし、飲食店が通常営業できないいま、大量に余ってしまった食材も消費できます」(小代さん)。
最後に、小代さんにとって“いい暮らし”とは?
「自然がつくったものを愛おしむこと。ビニール製のパッケージを使うことはあっても、どうしたら使わなくていいか考えることが大切だと思います」(小代さん)。
■小代智紀さん
パティシエ。レストラン プロヴァンス修行後、渡仏し料理研修をする。帰国後、葉山〈ラ・マーレ・ド・チャヤ〉にて熊谷喜八に師事し、シェフ・ド・パティシエに抜擢。1988年に再渡仏し、レストラン〈パテスリーアクス〉にてシェフ・ド・パティシエに。その後、故郷である九州の〈シーホーク ホテル&リゾート〉にてシェフ・ド・パティシエに就任。2003年には〈ARDEUR〉を開店する。退任後の2012年6月、自身のデザートブランド〈shodai bio nature〉を開店するなど、現在6店舗を展開。
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【3限目】カルチャー(講師:志村昌美さん)
数多くの映画に関する記事を執筆しているライター・志村昌美さんは、初心者でもすんなり入りやすくて楽しめる、SDGsに関する作品を2つのテーマにそって紹介してくれました。
「1つ目のテーマ『女性のエンパワーメント関連作品』では、人生の先輩の生き方を見て学んだり共感したり、背中を押してもらえるような作品を。2つ目のテーマは、『貧困や環境、教育問題関連作品』。日本のような豊かな国にいると、自分の生活にいっぱいいっぱいで他の国に意識がいかないことがあります。映画を通して、地球の裏側のリアルを観ていただけたらと思い選びました」(志村さん)。
女性のエンパワーメント関連のおすすめ作品は、『RBG 最強の85才』や『おしえて!ドクター・ルース』などのドキュメンタリーから、日常生活で感じている“女性だからこその生きづらさ”がリアルに描かれている『82年生まれ、キム・ジヨン』。一方、貧困や環境、教育問題関連作品のおすすめは、貧困に苦しむ子供たちの姿が描かれている『風をつかまえた少年』と『存在のない子供たち』、自然を愛する夫婦がオーガニック農場を作り上げるまでを描いたドキュメンタリー『ビッグ・リトル・ファーム 理想の暮らしのつくり方』。
「以前、女性監督に“仕事において、女性ならではの大変なことは?”と質問したところ、世の中は女性の平等などいろいろ言われていますが、やはり現場で辛い経験をしたり、男性だったらこんなことされなかったかもという声が。自分が変わることも大事ですが、社会の環境自体も変わっていくことが大切なのだと思います」(志村さん)。
最後に、志村さんにとって“いい暮らし”とは?
「この1年間、コロナ禍になり自分の暮らしを見返してみて、心の豊かさは必要だなと。私は女性の心とカラダのライフスタイルに関する執筆もしているのですが、心療内科の先生に『いまはカラダだけではなく、心の健康を維持するのがむずかしい時代だ」と教えてもらったことがあったんです。心の健康を保つには家族や友人の存在も大きいですが、カルチャーやエンターテイメントから栄養をもらうのも大切。日本は芸術に対する支援がおくれている部分もあるので、みんなで絶やさないように支えつつ、心の栄養をとり、いい暮らしにつなげていけたらいいなと思います」(志村さん)。
■志村昌美さん
ライター。大学卒業後、イタリア留学を経て映画宣伝会社に就職。その後、ワーキングホリデーでイギリスへ渡ったことをきっかけに、ライターに転向。海外のエンタメ情報などを発信するようになる。帰国後、本格的にライターとしての活動をスタートさせ、現在はインタビューや映画評などを中心にWEBや雑誌で執筆中。そのほか、女性のライフスタイルに関するWebサイトなどにも携わっている。
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【4限目】女性の働き方(講師:haru.さん)
編集者、プロデューサーとして活躍する〈株式会社HUG〉代表のharu.さん。活動のきっかけとなった学生時代から現在まで、自身の働き方についてお話を伺いました。
「ドイツの高校に通っていた頃は言葉が通じず、自己紹介の意味を込めてZINEをつくり始めました。大学進学後、ものづくりを通して、1人では見られない世界を他の人と共有したいと思いスタートしたのが雑誌『HIGH(er)magazine』です。モットーである“自分たちに正直でいること”は、仕事を始めてからも変わりません。資金調達のためにクラウドファウンディングをしてみたり、企画や編集、撮影など一連の作業はすべて自分たちでやってみたり。雑誌づくりのモノマネから始まったため、大学生ならではの失敗やトラブルはたくさん経験しましたね」(haru.さん)。
haru.さんが紙にこだわる理由は、ものに対する信頼感があるから。
「以前、古本市でたまたま見つけた雑誌『STUDIO VOICE』にとても感銘を受けて、自分の雑誌づくりにも影響を受けたんです。そのときの空気感や雑誌がどんな木箱に入ってたかまで覚えているんですよ。そういうものとの出会いってWeb上ではできないこと。見つけてしまったら後戻りできない感覚は、ものでしかできないと思います」(haru.さん)。
大学時代は半年に1回刊行していた『HIGH(er)magazine』ですが、会社を立ち上げてから約2年はつくっていないんだとか。
「目の前にあるタスクをこなすことに必死で、つくりたいものがなくなってしまったんです。そんなとき、誰かのために自分が行動しようとする考え方をやめたら、本当に心で欲することがわかってきて。結局、人って簡単に変わらないんですよね。もっと自分のために生きていいんだと思うようになったら、再び雑誌がつくりたくなりました」(haru.さん)。
〈株式会社HUG〉の由来は、ヨーゼフ・ボイスの言葉から。「みんなアーティストである」とは、誰しもが作品をつくるということではなく、個人の言葉や行動が集合して社会はつくられているということ。「個人が社会を彫刻していく1人であるということを少し意識して」というharu.さん。
「自分の言葉のパワーにもう少し自覚的になれればいいなと思います。例えば、私は『奥さん』という言葉が嫌いなのですが、『パートナー』と言い方を変えるだけでコミュニティーの雰囲気がぱっと変わる。共通言語についてもう少し考えてみることが大切ですし、私自身も会社を経営するうえで意識していること。会社を大きくすることより、そこにいる人たちが安心して暮らしていける場所をつくっていくほうが重要です」。
最後に、haru.さんにとって“いい暮らし”とは?
「毎晩お風呂に入れて、ルームシェアしている友人と一緒に朝ごはんを食べたりすることかな。あと、みなさんにおすすめしたいのが早朝の散歩。無心で歩くだけで1日がぐっとよくなります」(haru.さん)
■haru.さん
編集者、プロデューサー。東京藝術大学在学中、同世代のアーティストたちと創刊したインディペンデント雑誌『HIGH(er)magazine』の編集長に。多様なブランドとのタイアップコンテンツ制作を行ったのち、2019年に〈株式会社HUG〉を設立。取締役としてコンテンツプロデュースとアーティストマネジメントの事業を展開し、新しい価値を届けるというミッションに取り組む。
haru.さん特別講座の動画はこちらから