俳優・成宮寛貴さん「劇場で“おかえり”と思ってもらえたなら、それだけでこの8年間のすべてが報われる気がします」

俳優・成宮寛貴さん「劇場で“おかえり”と思ってもらえたなら、それだけでこの8年間のすべてが報われる気がします」
Interview「もっと知りたい、あの人のこと」
俳優・成宮寛貴さん「劇場で“おかえり”と思ってもらえたなら、それだけでこの8年間のすべてが報われる気がします」
CULTURE 2026.01.08
2025年、8年ぶりに俳優として戻った成宮寛貴さんが復帰後初めて選んだ舞台は、25年前に自身を芸能界へ導いた宮本亞門さんによるもの。その巡り合わせに背中を押されるように舞台『サド侯爵夫人』に挑む。
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成宮寛貴
俳優

なりみや・ひろき/1982年9月14日生まれ、東京都出身。2000年、宮本亞門演出の舞台『滅びかけた人類、その愛の本質とは…』でデビュー。その後、数多くのドラマや映画に出演。ABEMAオリジナルドラマ『死ぬほど愛して』で8年ぶりに俳優復帰を果たした。

怖さすら抱きしめたまま、その先へ手を伸ばしたい。

成宮寛貴
「劇場で“おかえり”と思ってもらえたなら、それだけでこの8年間のすべてが報われる気がします」

海辺でのジャズイベントに立ち寄った夏の日、偶然にも宮本亞門さんと再会した成宮寛貴さん。

「席に座ると目の前に亞門さんがいらっしゃって。『お久しぶりです』と挨拶して、その流れで『食事でも行こうか』と誘っていただいて。その席で今回の舞台の話が始まったんです。実際にオファーをいただいたときも、台本が開く前から、『挑戦するべきだ』と心は決まっていました。再会のタイミングも含めて、とても運命的だと感じたのでこの流れに身を委ねた」

人生の節目が訪れるとき、新しい扉の前には必ず誰かが立っていると成宮さんは語る。

「僕は自ら前に進むというより、大切な局面で誰かがそっと手を差し伸べてくださったり、気づきを与えてもらえる。今回も、役者の世界で再出発する準備が整った矢先で、亞門さんと再会しました。これは偶然ではなく〝導き〟だなと」

成宮寛貴

挑戦するのは、三島由紀夫原作の舞台『サド侯爵夫人』。

「日本国内のみならず、海外でも上演され続ける名作を、オールメール(全員男性)で上演する。古典の言葉は本当に難しくて、短く言える想いを20行にわたるセリフで熱量を持続したまましゃべる。その難解で奥深い美しさをしっかり届けたい。僕が演じるルネは、表面的には静かで穏やかだけど心の奥底では燃えているような女性。女性にしかない粘り強さや痛み、美しさを男性の体を通してどう表現できるのかが課題。失敗しながら探していくしかないし、亞門さんの目は鋭くて、嘘の芝居はすぐ見抜かれてしまいます。本番までにあえてたくさん転んでおきたい、壊される覚悟はできています」

語る決意とは裏腹に、表情は柔らかく明るい。そこには、積み重ねたキャリアだけでは生まれない清々しさが息づく。

「全てを引っくるめて、今の自分が芝居をしたらどうなるのだろう? と純粋な興味にワクワクしています。恥をかくことが怖くないと言ったら嘘になるけれど、踏み込むしかない。扉が開いた以上は」

記憶のなかの旅・食

「友人たちとの三重県の旅は、伊勢神宮への参拝と〈アマネム〉でのステイが目的。温泉に入りながら月を眺めたり、ゆっくりすることだけに集中できる静けさがあって、心を整える時間になりました。国内では酒蔵巡りやそば打ちなど体験ができる旅も好きです」

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舞台『サド侯爵夫人』
舞台『サド侯爵夫人』

悪徳の限りを尽くすサド侯爵の貞淑な妻・ルネ夫人と、ほか5人の登場人物たちを中心に展開される会話劇。

作:三島由紀夫
演出:宮本亞門
出演:成宮寛貴、東出昌大、三浦涼介、大鶴佐助、首藤康之、加藤雅也。

2026年1月8日、東京・紀伊國屋サザンシアター TAKASHIMAYAを皮切りに、大阪、愛知、福岡で上演。

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