この家の猫になりたい。奄美の“猫の楽園ハウス”
ネルさん(13歳/♂)、ミルさん(8歳/♂)、シルクさん(2歳/♀)、さなえさん(2歳/♀)、ムニエルさん(2ヶ月/♀)、シイラさん(2ヶ月/♀)
考え得るかぎりの“猫の居場所”を取り入れる。

麻縄をぐるぐると巻き付けた柱を軽快に走り上がって、その先の棚板へ飛び移るとトトトと屋根裏へ消える猫チャン。壁に開けた猫穴からひょこっと連れ立って出てくるきょうだいの子猫チャン。かと思えば土間下の空間で物言いたげに香箱座りしている猫チャン……!! 猫好きならば悶絶するような光景が同時多発的に起き続けるこの家は、小椋崇弘さんと結さんの夫妻と6歳になる朱峯ちゃんの住まい。元々複数の猫と暮らしていたこと、動物病院で働く結さんの仕事柄、猫をはじめとする保護動物を一時受け入れる期間があることから、動物たちと無理なく同居できる住まいが欲しかったそう。緑深い山とその間を抜ける小川、近くには海と、自然に恵まれた集落に購入した土地に、奄美拠点の建築家・小野良輔さんの設計でこちらの家を建てた。

塗料にベンガラを混ぜた濃赤の壁と、三角のとんがり屋根が印象的な一軒は、通常は玄関などにある土間を、家の中央部分に引き込んだ正方形のプラン。この土間を取り囲むようにリビングダイニングを、壁やドアを隔てて水回りや寝室を配している。面白いのは、20坪弱の正方形の空間の上部外周と屋根の間に、天井の低いロフト空間を設けていること。人間にとっては物置としても活用できるこの空間は、猫たちにとっては格好の居場所。壁に複数設けたキャットウォークや、リビングダイニングの柱や梁など、“猫なら行ける”ロフトへの動線がたっぷりと用意されていて、今は6匹いる小椋家の猫たちが、自由自在に闊歩する。
人間には20坪、猫たちにはロフトも含め30坪の家。たくさんの居場所を気ままに選びながら誰もが居心地よく暮らしている。
猫と人間が居心地よく共存する一軒。

土間スペースをぐるりと囲むような平屋に、広々としたロフトがつくつくり。
※猫の年齢などの情報は、2025年10月時点のものです。

















