「推し活」の真骨頂!麒麟・川島明が語る有馬記念のおもしろさ
ファンが出走馬を決める。特別な馬しか出走できない有馬記念
10代前半で競馬に目覚め、高校生の時には仲間たちのために競馬新聞を自ら作って回し読みをしていたほどの生粋のファンである川島明さんにとっても、有馬記念は特別なレースという。年末の超多忙の中でもどうにか時間をつくって、千鳥のノブさんやナイツの土屋伸之さんら、芸人仲間と集まるのが恒例行事で、本番1週間前からはグループLINEでの予想がずっと止まらない。
「月曜から土曜までに本命を7頭くらい変えるんですよ、絶対に答えはもう出ているのに」と、ギリギリまで予想を楽しんでいるという。では有馬記念の何がそれほどまでに特別なのか、川島さんに解説してもらった。
「何せドラマチックなんです。有馬記念のコースは2500メートルと通常のレースよりも距離が長く、しかも中山競馬場には日本一高低差の大きい坂がある。速いだけでは勝てないんですね。最後の馬力が必要で、波乱が起きることもある。決してエリートが必ず勝つレースではないんです。例えば芸人にとってのM-1グランプリは、競馬における日本ダービーに近いと思うんですね。漫才師はM-1に向けて頑張っているけれど、向き不向きがあるから、人間はおもろいけれど勝てない人たちがいる。有馬記念は、M-1王者も、存在がおもろい芸人も、どちらにもチャンスがあるレースと言えるかもしれない。有馬記念は、オールスター戦なんです。人気、実力を兼ね備えた馬しか出ることができないレースですから」
有馬記念の出走馬はファン投票によって選ばれ、昨年の投票数は、なんと502万票強。川島さんが語るように、一年の総決算として有馬記念がある。

最初は「推し馬」を見つけることから。麒麟・川島明が競馬にハマったきっかけ

もう30年以上、有馬記念の観戦を続けている川島さんには、いくつかの思い出深いレースがある。第58回、2013年の有馬記念は、暮れの中山競馬場に足を運び、オルフェーヴルの最後の勇姿を目に焼き付けた。
「引退レースということで、千鳥のノブと二人で観に行ったんですが、もうとんでもない数のファンがいましたね。オルフェーヴルは、一筋縄ではいかない馬なんです。レースが終わった後にすぐに引退式が行われたけれど、なかなか会場に出てこない。あっという間に日が暮れて真っ暗になった会場に、ものすごい数のフラッシュが光ったんです。オルフェーヴルの金色の馬体が輝きながら歩いてくる。筋肉ムキムキでまだ走れるだろうっていう仕上がりで、まるで馬が引退したくないって拒んでいるようで、圧倒的に美しかったことを覚えています」

もう一つ、深く思い出に残っているレースが、川島さんの「初恋の馬」であるヒシアマゾンが出走した第39回の有馬記念だ。競馬にのめり込むきっかけの一頭となったヒシアマゾンが、三冠馬であるナリタブライアンに挑んだレースだった。
「僕は本当に運が良かったんですが、ナリタブライアンとヒシアマゾンという、三冠馬と横綱がいっぺんに生まれたような年に競馬を始めたんです。この2頭が、故障やスランプもありつつ、その後の競馬界を引っ張っていくんですね。圧倒的に主役になれる2頭と出会えたことは、競馬人生でもっとも幸運なことかもしれない」
実家近くの京都競馬場で、初めてパドックでヒシアマゾンを観た際に、アマゾンの名の通り荒々しい姿だったのが印象的だったという。今でもヒシアマゾンがプリントされたTシャツを大切に着ているほど思い入れは深い。有馬記念でナリタブライアンと競り合うことができたのも、ヒシアマゾンだからこそ。他を圧倒する2頭のレースは、往年の名勝負として刻まれている。好きな馬を見つけることは、競馬の世界へと足を踏み入れる最良の方法と言える。
まさに推し活。何度観ても心躍る往年の名レース
競馬初心者さんにピッタリ! 有馬記念で競馬デビューしてみよう

「有馬記念は、年末ジャンボ感があるから、一年の締めくくりとして楽しく勝負するには最高です」と川島さん。初めて競馬に挑戦する人にとっても、最適のレースという。
「有馬記念から入るのはめちゃくちゃいいと思いますね。中国の歴史を知らなくても漫画『キングダム』が面白いように、過去の歴史を知らなくても、有馬記念は最高ですから。競馬は、ずっと続いている大河ドラマのようなものなんです。
今年の有馬記念にはどんな出走馬が揃うのか、今から楽しみです。予想が止まらないですがどう転んでもドラマが生まれるでしょうね」
「生きている限り、競馬をやめるなんてない」と笑う川島さん。一年の頑張りを労らいながら、競馬が繋いでくれた友と盃を交わす。その幸福を味わうことのできる有馬記念がもうすぐやってくる。
12月28日、中山競馬場にて開催。出走馬はファンからの投票によって選ばれる。現地での観戦には事前にチケットの申し込みが必要となる。当日のレース前後には、さまざまなイベントが用意されている。今年のプレゼンターはJRA年間プロモーションキャラクターの長澤まさみさんで、トークショーも行われる予定。
かわしま・あきら/1979年京都府出身。お笑いコンビ・麒麟のボケ担当。実家近くに京都競馬場があったことから競馬に興味を持ち始める。第38回のトウカイテイオーの復活劇から有馬記念の観戦を始め、以降30年以上、競馬ファンであり続けている。月曜~金曜8時から『ラヴィット!』で司会を務める。













