「登場人物はみんな身勝手。だからこの映画は愛おしい。」俳優・菅田将暉
photo_Yuka Uesawa / styling_Chie Ninomiya / hair & make_AZUMA(M-rep by MONDO artist-group)/ text_Marie Takada
profile
すだ・まさき/1993年生まれ、大阪府出身。2013 年『共喰い』で日本アカデミー賞新人俳優賞を受賞。2017年『キセキ あの日のソビト』の劇中バンドでCDデビュー後、ソロでの歌手活動も開始する。『君たちはどう生きるか』では声優も務めた。
「登場人物はみんな身勝手。だからこの映画は愛おしい。」
東北出身の脚本家・宮藤官九郎と映画監督・岸善幸がタッグを組んだ「移住エンターテインメント」で、主演を務める。
「宮藤さんの描くセリフで印象に残っているのは、池脇千鶴さん演じる仁美が言う『年寄りはイメージで生きてるんだよ』って言葉。田舎特有の雰囲気をイジりつつ、決して誰も傷つけない。ユーモアのセンスが最高だなって。台本読んでて笑っちゃいました。僕が演じる晋作も軽やかで調子がいいんだけど、自分の軸をきちんと持って、その熱意でまわりを少しずつ動かして行く。そのバランスが絶妙なんですよね。さすがに晋作は、フットワークが軽すぎですけどね。僕なら、いくら釣りが好きでも馴染みのない土地にすぐには移住できないですもん(笑)」
本作は、コメディでありながらもコロナ、震災復興、そして空き家問題など、現代が抱える社会問題にも向き合っている。だからこそ観る者の心を動かす。
「撮影に協力してくれた漁師さんが『震災時は海の底がほぼ見えるくらいに波が引いて、まるで地獄みたいだった。こんな経験するのはもう俺らだけでいい。子どもたちには絶対に味わって欲しくない』と、切実な想いを話してくれたのには胸を打たれました。物語が終わっても、問題は終わりにはならない。家族も生活も続いて行くんだという、この映画のメッセージと共鳴するような、素晴らしい経験でしたね」
この映画のもう一つの魅力は三陸地方で愛される地元の料理がたくさん登場すること。
「撮影以来、魚を捌くことにハマっちゃって、ネットで新鮮な魚を取り寄せては、自分で捌いて友人や家族にふるまってます」
記憶のなかの旅・食
『サンセット・サンライズ』の撮影で食べたものはすべておいしかったです。特に夢中になったのは、「地元で消費されるから東京では食べられないモウカノホシ」といわれるネズミザメの刺身。レバ刺しみたいな味がたまらない!
楡周平の同名小説が原作。都会から三陸地方にお試し移住してきたサラリーマンが、震災、復興、過疎化、そしてコロナ禍などに向き合いながら、自分らしい「幸せのカタチ」を見つける移住エンターテインメント。出演:菅田将暉、井上真央、中村雅俊ほか
配給:ワーナー・ブラザーズ映画
2025年1月17日TOHOシネマズ 日比谷ほか全国絵ロードショー ©2024「サンセット・サンライズ」製作委員会
コート165,000円、シャツ129,000円、パンツ153,000円、ブーツ146,000円(全てLEMAIRE|EDSTRÖM OFFICE 03-6427-5901)