弘中綾香の「純度100%」~第126回~ 国際女性デー弘中綾香の「純度100%」~第126回~ 国際女性デー

女性の現在地と、これから。国際女性デー特集 「国際女性デーに女子アナが思うこと」| 弘中綾香の「純度100%」~第126回~

LEARN 2025.03.07

ひろなかあやか…勤務地、六本木。職業、アナウンサー。テレビという華やかな世界に身を置き、日々働きながら感じる喜怒哀楽の数々を、自分自身の言葉で書き綴る本連載。

photo : Yasutomo Sampei styling : Chie Hosonuma hair&make : Akemi Kibe[PEACE MONKEY]

テレビっ子だった子ども時代、私は「女子アナ」が好きではなかった。朝の情報番組でお天気を教えてくれるお姉さん。寒そうな外から中継しているのに、ミニスカートをはいている。番組でほとんど喋らない進行役のお姉さん。番組を面白くしたり、出ている色んな芸能人と話すのはMCの男性だけ。隣でただニコニコしているのが仕事なのかな? それなら、いてもいなくてもいい気がするけど。

こんな風に、私がよくテレビを見ていた時代は今よりもっと「女子アナ」は女性性を押し出した職業だった気がする。もちろんその時代からキャスターとして報道番組等で活躍されている方はいらっしゃったけれど、いわゆる「女子アナ」というポジションはもっとキャピキャピしたイメージだったと思う。あの頃は社会全体がもっと「女性はこうあるべき」とか「女性は若くて可愛いのが一番」とか、そんなムードに満ちあふれていたような気がする。「女子アナ」はその最たるもの。いつも男性の次。引き立て役。存在意義は、華を添えること。30歳過ぎたらお役御免とか、大卒じゃなくて高卒でいいだろ、とか本当に言われていたらしい。いつの頃からか、時代の流れとともに潮目が変わり、「女子アナ」というのはもう公には使わない方がベターとされる言葉になってきている(女性アナウンサー、男性アナウンサーと言うように、という指導を受けている)。

弘中綾香の「純度100%」~第126回~ 国際女性デー

「女性だからこう扱われてもしょうがない。」という諦めや、もはやそんなことすらも感じない無意識に受ける差別から、「いや、違うんだ。」と思うことが初めの一歩だとするならば、その一歩はもう先輩方が踏み出してくれている。「衣装は自分で選ばせてください。」「私にも、もっと重要な仕事を任せてください。」求められている像を演じながらも、見えないところで声をあげていたに違いない。これは「女子アナ」のみならず、どの職種でも同じことが言えると思う。大きな気づき、そして意思表示があった。

弘中綾香の「純度100%」~第126回~ 国際女性デー
弘中綾香の「純度100%」~第126回~ 国際女性デー

次の世代の私が仕事上で意識してきたことといえば、「個人」で勝負をする、ということだと思う。「女性だから」「若いから」「華があるから」そういった理由で選ばれる人にならない。「女子アナならだれでもいい。」ではなく、「弘中綾香にやってもらいたい。」と思われる仕事をすることを大切にしてきた。台本に書かれていることだけ言うのは簡単だし、ラク。それだけでも、画面に出ていればチヤホヤされるかもしれない。でも、それだと昔私が好きじゃなかった「女子アナ」になってしまう。一言でもいいから、自分の言葉で何かを言おう。自分の頭で考えて動こう。自分がここにいる意味を作ろう、そう思って仕事をしている。女だの、何歳だの、職業がなんだの、それは自分の属性であって、それを超える個人の強さを持てば、その属性を超えられるのではないかと。心の中のリトル綾香に恥ずかしくない姿を見せるために、私は「女子アナ」を超えたいと思う。

弘中綾香の「純度100%」~第126回~ 国際女性デー

【弘中のひとりごと】
「春はピンクが着たくなりますねぇ~、ベビーピンクが好きです!」

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