「ぼんやり生きる」 | 弘中綾香の「純度100%」~第123回~
ひろなかあやか…勤務地、六本木。職業、アナウンサー。テレビという華やかな世界に身を置き、日々働きながら感じる喜怒哀楽の数々を、自分自身の言葉で書き綴る本連載。
photo : Yasutomo Sampei styling : Chie Hosonuma hair&make : Akemi Kibe[PEACE MONKEY]早いもので2024年が終わります。正直この一年はあんまり思い出がありません(笑)。スケジュール帳を開いてみたんですけど、これといって思い出せなくって。4月までは育休だったので、一日中娘と一緒で、初めての育児にてんやわんやだったからだと思います。とにかく仕事を覚えなくちゃ!といった感じで。とはいえ、実際のところ何が大変だったとかは全ておぼろげで、今となればなんか忙しかった、そんな気がするという程度。3時間ごとに授乳してたのとか、ホント?って思います。それ自分やれてました?って。実際やってたんですけどね。「喉元過ぎれば熱さを忘れる」とはその通り!って感じです。産後のホルモンがたがた期で、メンタルだってもっとぐちゃぐちゃだったはずなのに、全然覚えてない。もっとリアルに振り返れるものを残しておけばよかったなあ、と思います。目の前のことに必死で、明日のことすら考えられないような頭になってたから仕方ないんですけど。日常を紡ぐことだけで精一杯だったからね。本当にあっという間でした。
4月からは保育園が始まって、仕事にも復帰できて、本当に周りの環境に助けられました。保育園の先生方、シッターさん、家族、先輩ママの皆さん。会社でもいろんな面で配慮してもらっています。それまで私のモットーや生き方には「自立」とか「自走」という言葉があったんですけど、娘の誕生により、その考えがガラッと変わりました。先にあげた皆さん、そして大きくは「社会」に支えてもらえないと生きていけないので、今の私のモットーは「周りに感謝」です。
その一方で、今までの働き方を続けることが難しい自分へのもどかしさもずっと感じています。私の主戦場であるバラエティ番組の収録は夜から始まることが多く、スケジュールという面で、小さい子を持つ親にはなかなか厳しいものがあるのが現状です。保育園に娘が行っている平日8時から17時の間に始まって終わるのが理想の仕事だけれども、そういった仕事はレギュラー番組3つのうち1つだけ。ほかの2つは土曜日の朝から夜までと、平日17時スタート。これらの収録の時はシッターさんなり誰かに娘を見ていてもらわないと、私は働けない。経済的にもだし、自分の心情としても「そこまでして働く必要あるのかな?」とか「この状況で働くって、私のわがままなんじゃないか」って思ったりして、悩む時もあります。いろんな人の手を借りて、融通を利かせてもらってまでやることなんだろうかと。どっちつかずな気がして、自分のモチベーションを保つのが難しいですね。何も考えずにがむしゃらに進めば良かっただけの頃が懐かしいです。
そんな不完全燃焼感がぬぐえない一年だった2024年。2025年は完全燃焼に持っていきたい!という気合があるかと言われると、それもありません。全体的に気力が最近ありません(笑)。そういや最近欲しいものもない。物欲お化けだったのに。行きたいところもそんなにないし…。でも、今はそういう時期なのかなあと、自分をあまり追い込まずに、ぼんやり生きていきたいです。ぼんやり生きる、これが私の新年の抱負でいかがでしょうか。
【弘中のひとりごと】
なんだかんだ休みの方が忙しいですよね…。頑張って乗り切りましょう!
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