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伝えたかった、言葉たち。 山崎怜奈の「言葉のおすそわけ」第50回

LEARN 2023.10.20

乃木坂46を卒業し、ラジオパーソナリティ、タレント、そして、ひとりの大人として新たな一歩を踏み出した山崎怜奈さんが、心にあたためていた小さな気づきや、覚えておきたいこと、ラジオでは伝えきれなかったエピソードなどを自由に綴ります。

photo : Chihiro Tagata styling : Satomi Urata hair&make : Hitomi Akiyama

「祖父のカメラ」

「じいの遺品整理してたらカメラが出てきたんだけど。怜奈いる?」ちょうど最近買ったばかりのフィルムカメラを車の助手席で構える私に、ルームミラー越しの父が尋ねる。「え、欲しい。どんなの?」「まだちゃんと見てないけど、レンズとか丸ごと出てきたから今度渡すよ」

後日、ミニ四駆が入っていそうな青い取っ手付きのプラスチックケースごと、発掘されたカメラを父から引き取った。中にはいくつかの脱酸素剤と、ビニール袋でぐるぐる巻きにされたカメラ本体1つと、同じく包装された望遠レンズらしきものが3つ、それから、革のケースに入った何かの計測ができるらしきものも出てきた。ビニール袋の口を閉じていた輪ゴムこそ古くなって少し引っ張っただけですぐにちぎれてしまったが、入っていたもの自体はどれも使用に伴うスレやキズなどもなく、経年の割には良い状態に見える。よっぽど丁寧に扱っていたのか、買ったけど活躍の場がほとんどなかったのか。祖父は孫である私には優しかったけれど、息子である父からすれば神経質で頑固な人に映っているので、祖父は高価なカメラだからこそ誰にも触らせていなかったのだと推測する。

とはいえこのまま何もせずに保管していては宝の持ち腐れ、まずは身近でカメラに詳しい人の元へ持っていって、どうすればいいのか聞いてみよう。私がラジオ番組のパーソナリティを担当しているTOKYO FM、とりわけ私の次のワイド番組のパーソナリティは、なんと4人全員カメラに詳しい。この日はたまたま木曜日だったので、まずは水木担当のハマ・オカモトさんと中川絵美里さんの元へ。前後の番組ということもあって、我々が自由に話せる時間は5分もない。それなのにオンエアぎりぎりまで、というかもはやハマさんたちの番組のオープニングに私が乱入する形をとってまで祖父の謎の置き土産を見てくれた。

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お二人によると、これはキヤノンの前身である「精機光学研究所」が、設立以来「ライカに追いつけ追い越せ」で製造を続けた過程に生まれたものだそう。バルナックライカを基に設計されたものだそうで、ハマさんが「これはもう(稲垣)吾郎さんが詳しいわ! 吾郎さんに聞いてみて!」と言うので、私はこの翌週に月火担当の吾郎さんの元を訪ねるのだった。(つづく)

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