山崎怜奈の「言葉のおすそわけ」第46回山崎怜奈の「言葉のおすそわけ」第46回

伝えたかった、言葉たち。 山崎怜奈の「言葉のおすそわけ」第46回

LEARN 2023.07.07

乃木坂46を卒業し、ラジオパーソナリティ、タレント、そして、ひとりの大人として新たな一歩を踏み出した山崎怜奈さんが、心にあたためていた小さな気づきや、覚えておきたいこと、ラジオでは伝えきれなかったエピソードなどを自由に綴ります。

photo : Chihiro Tagata styling : Chie Hosonuma hair&make : Ayumi Nakaitsu

「夏への所信表明」

夏は急に来る。秋はそっと来る、冬は気付いたら来ている、春だけは来たり戻ったりで落ち着きがない。よって春に着ようとしていた桜色のジャケットは出番がそこまで増えず、「頼むから気まぐれで寒くなるとかやめてくれ」と願いながらクリーニングに出した。

私にとって、夏はずっと「やりすごすもの」だった。太陽が一番高くのぼる時間にラジオブースに行ってしゃべる、この日々のルーティンは何も変わらないというのに、じめっとした空気が肌にまとわりつくだけで足が重く感じる。最近も「あつい」という脊髄反射的な感情で脳内が占拠されてしまって、日陰のないところを5分歩いただけで突然視界が揺らいだ。そう、私は夏になると生きるだけで体力を使いすぎてポンコツさが加速し、何もない道で急に転ぶのだ。日傘が前方に放り投げられ、反対の手で持っていたスマホの画面にヒビが入り、数分後には膝にアザができている。この3点セットは私の夏の風物詩と言っていいくらい毎年恒例なので、いつコケても擦りむかないように夏はジーパンをよくはいている。

だが今年の夏は道でうっかりコケている場合じゃない。自分がメインラジオパーソナリティ、いわゆる番組内における座長を務めている番組で、「ダレハナ夏祭り」なるものを開催することになった。コロナ初年度に始まった番組のリスナーと、初めて一堂に会するライブイベントだ。人前に立つのは仕事柄いくらか慣れているし、自分が普段の倍以上のテンションで意気揚々と振る舞っている姿を誰かに見られることに抵抗はない。単独座長も乃木坂46時代に経験したことはある。ただ当時はオンライン上での開催だったので、目の前にお客さんが座っている状態の会場を回したことはない。しかしものすごくドキドキする場面こそ良くも悪くも冷静に事を進めようとしてしまう性分の私は、生放送でイベント開催の発表をしたときも淡々としていたらしい。だから伝わってないかもしれないけれど、いっや緊張するに決まってるじゃないの!!!!!

顔を合わせたことのないリスナーと同じ空間で、ありのままの姿をお届けするのは、ちょっと小恥ずかしい気もする。しかしこういうときこそ服の力を借りて、いつもラジオブースでしゃべっているときより少し華やかな、それこそ今回の連載の写真のような出で立ちでいこうではないか。くるくるヘアに麦わら帽子を被り、赤いワンピースを着て青空を背負っている私は、普段の自分とはかけ離れすぎていて、撮影中まるで別の誰かを演じているみたいだった。そう言っているそばから本日の私服は上から下までオールブラックだけど、カラフルな装いが似合うかどうかは他人が決めるし、だいたいその「カラフルよりベーシックが似合う」という思い込みに自分から寄っていってるのだと思うので、この際だから夏祭りらしくドドンと派手にきめてしまおうか、と目論んでいる。

日程は8月11日(金・祝)。場所はTOKYO FMホールです。初回なので席数が少なく、抽選販売予約受付中です! ぜひお越しください!

サロペット 12,650円(フリーダ)、キャミソール 9,790円(ベースレンジ)、ハット 5,500円(キャセリーニ)、サンダル 10,450円(ソフィー×フリークスストア|全てスリークス ストア渋谷■03-6415-7728)/ネックレス 16,500円(フォークバイエヌ|UTS PR■03-6427-1030)/バッグ 9,900円(チャールズ&キース|チャールズ&キース ジャパン■http://charleskeith.jp/)

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