言いたいコト、書きたいコトバ…混じり気ナシ! 言いたいコト、書きたいコトバ…混じり気ナシ! 弘中綾香の「純度100%」~第100回~
ひろなかあやか…勤務地、六本木。職業、アナウンサー。テレビという華やかな世界に身を置き、日々働きながら感じる喜怒哀楽の数々を、自分自身の言葉で書き綴る本連載。
photo : Yasutomo Sampei styling : Natsuki Takano(HITOME) hair&make : Miyuki Nakamura「100回」
この連載が今回で100回目を迎えた。おめでとうございます!!! まさかこんなに続くとは。でも、そうですよね。私が本を出したのが30歳の誕生日だから、その2年くらい前には連載をスタートさせていて。その間にはコロナ禍という大きな出来事があって、私は結婚なんかもしちゃって。なんだかんだ日々をやり過ごしているうちにあっという間に令和5年、私は32歳になった。改めて振り返ってみれば、「ああ、もうこんなところまで来たのか」という感じ。20代から30代に移り変わるときで、身を置く環境も自分の選ぶ未来も図らずも大きく変わった数年である。まさかこんな世界になるとは。まさか慣れ親しんだ苗字を変えるとは。隔週でコンスタントに1,200字程度の書き物をするというのは、「まさか尽くし」の毎日を支えてくれた習慣であったとも言える。
「書く」という作業は、私が仕事としているテレビや映像での「話す」仕事とは全く違う頭を使うものである。どちらも言葉を使い、自分の感情や伝えたい事柄を表すという方法や目的は一緒だけれども、そのスピードは段違いだ。「話す」ときは、口から出るままに言葉を吐き出していく。どうやって伝えるのが適切なのか考えながら話している。この場合「考える」と「話す」はほぼ時差がなく、口に出したあとで「ああ言えば良かった」とか「この方が分かりやすかった」とか思うこともよくある。とはいえこの仕事はそこにいる共演者とのテンポや瞬発力が大事なので、「あの~すみません」と発言を取り下げるわけにもいかず、一度自分の口から離れた言葉たちに対しては「あとは野となれ山となれ」精神で流れに身を任せるしかないのが、10年やって来た中で得た向き合い方でもある。会話は言葉のセッションなのだ。少々乱暴であっても、3分なり10分なりの時間の中で「伝わった!」と思う瞬間と「これが言いたかった!」という実感が持てれば、ヨシとされるものだと私は思う。そして、その場面を通して聞いて「ああ、こういうことが言いたかったのか」と受け手に思ってもらえれば御の字だ(今は番組中の発言が切り抜きやネット記事で取りざたされることが多く、テキスト化されてしまうのが非常に難しいところだけれど…)。
書き物はもっと深く向き合う。言葉を推敲して重ねていく。しかも一人で。伝えたいことにこの表現/アプローチが適しているのかどうか、頭で考えて何度も打ち直すという作業が必要になってくる。その作業から紡ぎ出された言葉は、より自分の感情に寄り添ってくれているような気がする。こちらは生み出すのには時間がかかるわけだけれど、受け手から1,200字を「読む」という時間と労力を頂戴するのだから、真摯に向き合わなければと思う。
ああ、編集部の皆さんに御礼を言う回にしたかったのに。真面目にあれこれ語ってしまった。まずこの企画を始めさせてくださった先代編集長と初代担当編集に感謝申し上げると共に、これまで付かず離れず(良い意味で)100回を感じさせない並走をしてくださった担当者の皆さんにいつもありがとうとお伝えしたいです。これからも細く長く続けていきたいので、読者の皆様、お付き合いどうぞよろしくお願いいたします。
【弘中のひとりごと】
こういうラフなヘアアレンジが自分でできる人になりたい…。
シャツ 11,550円、中に着たベスト 10,340円(共にレイ ビームス|レイ ビームス 新宿■03-5368-2191)/パンツ 47,300円(キャバン|キャバン 丸の内店■03-3286-5105)/ピアス 34,100円(バージュエリー|レイ ビームス 新宿■03-5368-2191)/ブレスレット 16,500円(アンセム フォー ザ センセズ|アマン■03-6805-0527)/サンダル 35,200円(ビューティフル・シューズ|ギャラリー・オブ・オーセンティック■03-5808-7515)
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