文学界と音楽界、それぞれの芥川賞に輝いた九段理江さんと波立裕矢さん。サントリーホールが誇る世界最大級のオルガンの前で。文学界と音楽界、それぞれの芥川賞に輝いた九段理江さんと波立裕矢さん。サントリーホールが誇る世界最大級のオルガンの前で。

【九段理江×波立裕矢】「“生”の音がくれる、“生”きる力。」 | 今日、サントリーホールで。

LEARN 2024.07.26PR

「何か豊かなものに触れて気持ちを切り替えたい」。そんな日常の選択肢におすすめなのがコンサートホール。クラシックの生の音に触れる歓びについて、作家・九段理江さんと作曲家・波立裕矢さんの対談が実現。(PR/サントリーホール)

  • サントリーホールのオルガンは、オーストリアのリーガー社謹製。職人たちが1年がかりで手作業で作ったパイプをはるばる船で運び、半年かけて設置したのだとか。
    サントリーホールのオルガンは、オーストリアのリーガー社謹製。職人たちが1年がかりで手作業で作ったパイプをはるばる船で運び、半年かけて設置したのだとか。

    “生” の音がくれる、生きる力。

    実はこの二人、ある共通点が。九段さんは新進作家に贈られる芥川龍之介賞を受賞、波立さんは気鋭の作曲家に贈られる芥川也寸志サントリー作曲賞に輝いた、まさに“芥川賞”つながり。
    「音楽の世界にも芥川賞があることを知り、ぜひ波立さんとお話ししてみたいと思っていたので、今日はお会いできてうれしいです」「僕も光栄です」と喜ぶ二人のやりとりから、和やかに対談はスタートした。

    ちなみに九段さんは大の音楽好き。コンサートに足を運ぶようになったのはいつ頃からなのだろう?
    「実はこれまでコンサートに行く習慣はあまりなかったんですが縁あってサントリーホールに来る機会が増え、1月から月に1回、コンサートを聴きに来ています」

    普段はデジタル配信も活用しつつ、さまざまなジャンルの音楽を楽しんでいるという九段さん。コンサート鑑賞を重ねて、改めて気づいたことがあるという。
    「生の音楽に触れると、体を伴った感動が生まれることを実感します。というのも、芥川賞を受賞してからいろんな方からAIと人間の違いについてよく訊かれるんですが、AIには肉体がないんですよね。体を通して何かを感じることは人間だけが持ち得る豊かな体験で、そこで得た感動は長く持続する。コンサートが終わり、日常に戻ってもつくづく『素晴らしい時間だったな』とうれしくなります。また、普段はデジタル配信の音楽をながら聴きしているのですが、コンサートホールではスマホの電源を切って集中して聴くことで音の感じ方も違いますし、アンプを通して聴くライブの大音量とはまた違う。生の音に包まれる感覚はクラシックのコンサートならではだと思います」

    波立さんも九段さんの言葉に大きくうなずく。
    「やっぱりクラシック音楽の本分は生で聴くこと。オーケストラは総勢約80人という大所帯の人たちがこの時間のためだけに集まって演奏している。今の時代、経済的にこんなに非効率なことってなかなかない。この奇跡のような体験を多くの人に味わってほしいです」

    サントリーホールでのコンサートでまさにそのことを感じた、と九段さん。
    「先日、海外のアーティストをゲストに迎えた演奏会に伺ったんですが、その一回の公演のためだけに大勢の人たちが何十時間、何百時間という時間をかけて作り上げているということ、そして、自分はこの貴重な一回の出来事に立ち会っているんだと実感して心が震えました。それは家の中で聴く音楽とは全く違う体験。それでいうと、波立さんの音楽を聴く時も“立ち会っている感”を覚えます。波立さんは現代性を意識して作曲されていると思うんです。遠い昔に作られた作品を今の演奏スタイルで聴く喜びがあるのと同様に、同じ時代を生きている作曲家の音楽を聴ける喜びもある。そして、コンサート会場では初演奏に立ち会える機会もある。そういうことを知ると音楽の世界がさらに楽しいものになりますよね」

    それを聞いた波立さんは、こう答えてくれた。
    「現代性ももちろん大事ですが、私にとっては普遍性も同時に重要と考えています。現代を生きる作曲家としての感性が表出できたとしても、観客の方に伝わらないと意味がないですから。クラシック音楽になじみのない人が増えている中、この文化を途絶えさせてはいけないと、切実に感じています。クラシック音楽に興味のなかった友人と一緒にコンサートに行くと、必ず『こんなに楽しいなんて知らなかった!』と言ってくれるんです。人が労力をかけて、時間をかけてやっていることが面白くないわけがない。だから、もっと生の音に触れる歓びが伝わったらいいなと思います」

  • サントリーホール九段理江 波立裕矢

    そしてサントリーホールは初心者も玄人も一緒に楽しめる魅力があると続ける。
    「約2000人を収容する大ホールはヴィンヤード形式といってステージを囲むように客席が設計され、演奏者と一体となって臨場感あふれる音楽体験を共有できます。そして、どの席に座るかでそれぞれ全く違う体験ができる。例えば、ステージ後ろ側の席は正面で聴く時よりも音の聴こえ方のバランスが違って面白い。指揮者の表情も見えますし、演奏者の譜面も眺められるから『もうすぐ終わるな』とわかったり(笑)」

    「たしかに」と相槌を打つ九段さんにコンサートホールに足を運ぶようになって変化したことを聞いてみた。
    「定期的に生で音を聴いていると、自分は何をきれいと思い、何に感動する人間なのかということを再確認します。忙しい時ほどそういう時間を大切にしたい。意識しないと、淡々と日々が過ぎてしまうから。私は芥川賞を受賞してからあまりに忙しすぎて記憶がないんですが(笑)、手帳を見返すと、『この日はサントリーホールでこんなに美しい音楽を聴いたのだな』と思い出して、日々の生活や仕事の励みになります。そして、小説を書く時のモチベーションにもなる。生の音楽に触れた時の言葉にできない心の震えのようなもので頑張れることがあるんです。時々、“どうやったら小説が書けるんですか?”と訊かれますが、技術的なことは関係なくて、ただただ何かに感動するという経験が、自分の内なるクリエイティビティを発動させるきっかけになると思います」

“貴重な一回に立ち会っているんだと心が震えます”(九段さん)

“人が労力をかけ、時間をかけてやっていることは面白い”(波立さん)

波立さんが参加するコンサート、あります!

サントリーホール

1986年、「世界一美しい響き」をコンセプトに誕生。ヘルベルト・フォン・カラヤンら世界的指揮者や演奏家の助言を取り入れ造られた、日本を代表するコンサート専用ホール。●東京都港区赤坂1-13-1 ☎0570-55-0017(10:00~18:00※休館日、12/30~1/4を除く)

サントリーホール 九段理江 波立裕矢

photo_Hiroyuki Takenouchi text_Mariko Uramoto 九段さん・コットンブラウス68,200円、センタープレスのワイドパンツ70,400円(共にYOKO CHAN ☎03-6434-0454)