伝えたかった、言葉たち。 山崎怜奈の「言葉のおすそわけ」第54回 「生活」

「生活」

日々、粛々と働いている。人の目があると動けるのに、帰ると何もできない。気力の次に体力が尽き、いつ寝落ちたのか毎日自覚がない。ほぼ気絶の状態から目が覚め、まどろみの中で出発時間を確認し、最短で準備を終わらせる。仕事を休む度胸がないので、今日一日を諦めたくなる気持ちを家を出るまでにグッと押し込み、数分遅れてでも現場に向かう。まだ大丈夫なのか結構ギリなのか、自分の調子が自分でも分からない。

スマホを持って帰っている、すなわち家に仕事を持って帰っているも同然なので、もはや家に帰るのも通勤みたいな心境になっている。たまに自炊することもあったが、最近は近所のスーパーが開いている時間に帰宅できる日が限られている。作れたとしても自分の味に飽きているし、誰かのレシピを見ている時点で調理工程をすべて見ているし、味見やなんやでワクワク感が圧倒的に不足する。最低限、入浴、睡眠、着替えのために渋々帰っているが、やらなきゃいけないことがないなら帰りたくない。何年も住んだからといってそこが安らげる場所になるとは限らない、これは気づきたくなかった事実である。

「仕事終わりとかに車でぴゅーっとどこかに行くのも、良い気分転換になるよ」。2年前に車を買った友人の言葉に感化されて、26歳こそは教習所に通おうと意気込んでいた。しかしここ数ヶ月のスケジュールを顧みる限り、仮免許にも到達できる気がしない。その先の本試験までどうにか突破し、晴れてドライバーデビューを果たしたとしても、今の自分なら出来心で不意に事故を起こしても何ら不思議ではない。自分が怪我するならまだしも、人に危害を与えてしまう事態だけは本当に避けなければならない。運転免許取得への道はまだまだ長そうだ。

背中は硬く、呼吸は浅くなる中で、働きたくても求められていなかった過去の自分だけが引き留めてくれている感じがある。そんな風に考えてしまう自分にも飽きており、何度目かの絶望を経て、今日も真夜中に外をほっつき歩いている。こんなことをしているうちに2024年の1/4が終わろうとしているという事実を、私はうまく受け入れられそうにない。これがあるから生き延びなくては的なイベントの予定を立てなくては。

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