言いたいコト、書きたいコトバ…混じり気ナシ！ 言いたいコト、書きたいコトバ…混じり気ナシ！ 弘中綾香の「純度100%」～第97回～

｢ロンハー」

半年以上前になるが、自局のとある番組に出演したときのこと。久しぶりの出演だったのだけれど、この番組は細かいところまで気が回っていてさすがだなあ、と改めて感心してしまった。

私が驚いたのは番組の内容どうこうではなく（いや、もちろん内容もものすごく練られているし、出演者の皆さんはいかなる状況になっても面白いし、出来上がったものはいつも素晴らしいものだけれども）、裏で働くスタッフの動き方・配慮の仕方がほかの番組とは違うな、と思ったのだ。

この日は芸人さんが大勢出演される運動会企画の撮影だった。運動会ということで、収録は都内から2、3時間かかる大きなグラウンドを借りて行うことになり、集合時間がめちゃくちゃ早い。六本木に朝５時くらいに集合して、出演者みんなで大型バスに乗り、会場まで向かう。当然まだ外は暗い。バスの中には飲み物も朝ごはんも用意してくれているけれど、座った瞬間に夢の中である。３時間ほど揺られて会場に着くと、もうそこでは沢山のスタッフが慌ただしく準備をしている。絶対に私よりも寝ていないだろうに、眠そうな人は一人もいない。

一方、私はまだ半分寝ている頭で支度をしに、楽屋に向かう。公共の施設をお借りしているので、いわゆるロッカールームが今日の楽屋である。出先のロケで楽屋がないというのは珍しいことではない。バックヤードや会議室など色んなところを借りて、準備させてもらう。まあ、着替えられるところがあればいいや、くらいに思いながらドアを開けると、ハンガーラックはあるわ、姿見はあるわ、たっぷりお湯が入った電気ポットはあるわ、お菓子も揃ってるわ、何一つ不自由のない完璧な控室がすでにそこに出来ている。飲み物にいたっては、インスタントのスープからお味噌汁、お茶、コーヒーまでホテルばりに揃えられている。この時点で、「今日は違う…！」と思う。審判風のスーツを着て番組に出るのだけれど、そのスーツもサイズ違いで２着置いてある。朝晩は冷え込むので、寒さ対策の保温インナーの上下、ベンチコート、使い捨てカイロもしっかり。大人数のロケで、ただでさえ準備も運搬も大変なのに、隅々まで色んなことを考えて用意してくれているのだなあと思うと、なんだか言われるがままバスに乗って、手ぶらでここまでやって来た自分が恥ずかしくなる思いである。

楽屋まわりのことだけでなく、収録の前にはトレーナーの先生がついて準備体操をして、しっかりケガ予防をしてから収録を始めるなど、出演者のことをすごく大事に考えてくれていると思う場面が沢山あった。収録が始まってからも、適宜温かい飲み物を持ってきてくれたり、お昼ごはんに温かいケータリングが用意されていたり…。そういった雑用をやってくれるADさんたちまでしっかり指示が行き届いて、ここまで完璧にフォローが出来ているのは正直あまりほかでは見かけないことである。もっと番組の内容面の準備でいっぱいいっぱいだったりして（収録開始ギリギリまでカンペを作っていたり、収録で使うモノの用意をしていたり）こうしたことまで気が回らないのが普通である。

人間ゲンキンなもので、相手に大切にされると、こちらもその気持ちに応えられるように一生懸命やろうと頑張る。そうすると内容のクオリティも高くなるし、出演者に愛される／ここで頑張りたいと思える番組になる／長く続く番組になる。人員が豊富なのか、それともマネジメントがしっかりしているのか、とにかく優秀なスタッフが多いのか…、色々な要因はあると思うけど、あまりのチームワークの良さに頭が下がる思いだった。バタバタしてせわしない現場も、それはそれでギリギリまでまとまらなかった文化祭のようで楽しいのだけれど、久しぶりにお邪魔させていただいた『ロンドンハーツ』、さすがでした。

【弘中のひとりごと】
早くこういう薄着が出来る季節になってほしい～！

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