言いたいコト、書きたいコトバ…混じり気ナシ! 言いたいコト、書きたいコトバ…混じり気ナシ! 弘中綾香の「純度100%」~第95回~
ひろなかあやか…勤務地、六本木。職業、アナウンサー。テレビという華やかな世界に身を置き、日々働きながら感じる喜怒哀楽の数々を、自分自身の言葉で書き綴る本連載。
photo : Yasutomo Sampei styling : Natsuki Takano(HITOME) hair&make : Miyuki Nakamura「特技・後編」
特技の続き。う~ん、人より優れていて、明らかにみんなに「それは凄いね!」と言ってもらえるようなもの…。探しました。そして見つけました! 本を速く読むことです!!!!
一般的な単行本で、だいたい300ページくらいの本であれば、2時間くらいで読み切れる。ミステリーや新書で内容が難しかったり、登場人物が多かったりすると、もっと時間が必要になるけれども、反対に気軽に読めるものだったら1時間強で読み切ってしまうこともしばしば。でもここで断っておきたいのが、速読とは違うということ。ページをパラパラ開いてものすごい速さで読むアレとはまったく違う。ただ単に他の人より文章を読むのが速いというのが、分かりにくいけれども私の特技。
元を辿れば、これも中学受験時の遺産だと思う。国語のテストではだいたい説明文と物語の長文問題がいくつか出るのだけれど、その問題文をいかに速く読んで、問題に取り掛かれるかみたいなところがキモだと当時は思っていて(正答率が全てに決まっているが)、誰よりも早くページをめくることに躍起になっていたといってもいい。とはいえ問題に答えなくてはいけないから、大切なところだけ見つけて、そこだけを読むというのが身についてしまった。大切なところというのは説明文でいうと、逆接の接続詞が使われているような部分や、まとめの段落。物語でいうと、登場人物のセリフや心情を表している文など。これは、なんとなく数をこなしていくと「匂い」で分かってくる。出そうだなココ、的な。その読み方が染みついてしまったもんだから、話の筋ではなく、情景の描写とかシーンの説明などの重要じゃない文章(あくまでテスト的には)は自然と飛ばして、目が次に移ってしまう。そのクセが今なお抜けずに、特技にまで(一応)昇華しているということだ。
たしかに今でも本を読むときに、一字ずつ追うわけではなく、ざーっと段落に目を通して、無意識に読むべきか読まなくてもいいか判断していることが多い。私は「せっかち」かつ「ハラハラ・モヤモヤ・心理的ストレスを受けるのが嫌」な人間なので、結末が気になる本はとにかく一番後ろまで猛スピードで読んで、犯人やらトリックやら全て分かった上で(逸る自分の気持ちを一度落ち着かせてから)もう一度読み直すという手段を取る。あんまり褒められた読み方ではないけれど…。
限られた時間で沢山の本を読めるのは(特に図書館や、巷で増えている本屋さん兼カフェみたいなところでは)ありがたいことなのだけれど、ちょっと見方を変えるとものすごくコスパが悪いように思う。夫はとにかく本を読むのが遅くて、一日10ページくらいしか読み進められない。来る日も来る日も同じ本を噛み締めるように読んでいる。きっと本から気づくことも私より多いだろうし、だいたい800円くらいで3週間ほど楽しめるのだからオトクなような気がする。対する私は、読むのも速ければ内容を忘れるのも早く、昔読んだ本を気づかずにもう一回買ってしまうなんてこともしばしば。文庫本になると、あれ?これ1,500円払って単行本を買ってた…なんてことも。もちろん!本の価値は価格で決まるものではありませんが。もっと分かりやすい特技が欲しい…。乗馬がんばろっと。
【弘中のひとりごと】
甘酒をお湯で割ることにハマっています! 目覚めの一杯!
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