言いたいコト、書きたいコトバ…混じり気ナシ！ 言いたいコト、書きたいコトバ…混じり気ナシ！ 弘中綾香の「純度100%」～第93回～

｢ベビーシッター・後編」

その大型商業施設は歩いて5分ほどの距離なのだが、二人と一緒に歩くと３倍くらい時間と労力がかかるような気がする。持っていく荷物が多いし、外は危ないので手を繋がないといけない。ハンドバッグで来たことを玄関を出てすぐに後悔した。右で姪と手を繋ぎ、左でバッグを持つともう両手が塞がってしまうから。リュックか肩掛けじゃないとダメだ。なんとか到着すると、そこからは勝手知ったるという感じで二人がなんでも案内してくれる。自由に遊べるエリアに到着すると、本当に少子化か？というくらい子どもがわんさかいて、なんというかエネルギーが満ちあふれている状態。わけもなく走り回り、はしゃぎ、笑う。ものすごく自由で、好きなように動いているのを見て、「これが子どもかあ…。すごいなあ…」となんだかちょっと圧倒されて2、3歩ばかり後ろに下がってしまう(笑)。同じように連れて・連れられてきているお母さんやお父さんと、「そちらも大変ですね」というような無言のアイコンタクト＆お辞儀をしつつ、興奮状態の二人を解き放った。

存分に冬空の下で遊ばせた後、フードコートでハンバーグが食べたい（かなり細かく要求してくる）というリクエストに応えてフードコートに行くも、こちらも親子連れでパンク状態。本当にこの国は少子化なのだろうか。というか、ほかの場所には子連れで行きづらくて、快適な場所に集まり過ぎているのかもしれない。気楽は気楽なのだけれども、混雑具合が度を越えている。店内は満席なので、テラス席に甘んじて、なんとかランチにありつけた。子ども用の食器やフォークをもらうという頭がないから、三人で何度も取りに行ったり、ハンバーグを食べやすく切ったり、手を拭いたり…、あっちこっちへ気を回さないといけない。あっという間に私のハンバーグは食べごろを失って冷えてしまった。６歳の甥は大人用の一人前サイズをペロリと平らげる。あんなにちいさかったのに。頼もしい限りだ。

そのあと「あやちゃんに買ってもらいたいものあるよ」という一言で、おもちゃ屋さんへ。クリスマスプレゼントとして、欲しいものをひとつずつ買ってあげた。甥には子ども用の将棋盤、姪にはボールすくいのスーパーボールとタモのセット。セールだったので姪には可愛いお洋服も買ってあげた。ピンクのふわふわのスカートが付いたスパッツと、薄い紫にこれまたふわふわとキラキラの飾りが付いたニット。私もこういう服が大好きだった。喜んでくれるのはうれしいのだけれど、色々買い込んでしまった荷物を片手で持たなくてはいけない帰路は辛かった。家に戻って、おやつを食べ、買ったばかりの将棋盤を広げていると（甥は私よりも将棋を理解している）、仕事を早く切り上げてきた姉が帰宅。ずいぶん叔母に懐いてくれたとはいえ、なんだかんだ二人ともものすごく安心した顔をしている。さあ臨時ベビーシッターの役割はここまで。三人に見送られ、自分の家へ帰った。

たった数時間見ていただけなのに、なぜかドッと疲れた。痛む後頭部をクッションへ預けながら、24時間365日母を休まない姉を心から尊敬した。

【弘中のひとりごと】
エクスペクト・パトローナム！（ハリー・ポッターを通ってるか否かで世代がわかる時代ですね）

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