神社仏閣で知る、京都の四季。 TRAVEL 2022.11.05

京都滞在中、必ずひとつは訪れたい神社仏閣。庭園や境内を彩る草木や花をはじめ、祭事や神事も、季節によって見られるもの、体験できるものが異なります。今回は京都に移住した、モデル・本山順子さんに季節ごとにおすすめの神社仏閣を紹介してもらいました。

Navigator…モデル・本山順子さん

もとやま・じゅんこ/日本仏教検定1級を持つハナコラボパートナー。YouTube『じゅんことまいる!』ほか、Hanako.tokyoでコラム「迷子のお守り。」を連載中。
もとやま・じゅんこ/日本仏教検定1級を持つハナコラボパートナー。YouTube『じゅんことまいる!』ほか、Hanako.tokyoでコラム「迷子のお守り。」を連載中。

モデルの本山順子さんが京都に移住したのは約2年前。この地で暮らす中で感じたのは、人々の日常に、お寺や神社が自然に寄り添っているということ。
「京都の人々は〝清水さん〞〝貴船さん〞と、神社仏閣を〝さん〞付けで呼ぶんです。仰々しく崇あがめ奉るというよりは、ご近所さんのように親しんでいるのが、その呼び方に表れていると思います。スーパーの帰りに、散歩のついでに、〝ちょっと顔を見ていく〞感じで立ち寄る。そんな付き合い方に、私も少しずつ感化されています」
東京では日々の生活に忙殺され、気づいたら季節が移り変わっていた。そんなことも多かったというが、京都ではめぐる四季も神社仏閣が教えてくれるという。
「敷地内に咲く花や草木、流れる風、そして行事。神社仏閣が教えてくれる四季は、たくさん。何度も京都を訪れている人なら、次の旅ではその季節にしか楽しめないものをお目当てにプランニングしてみては?」

【春】柔らかな日差しに心浮き立つ季節。

青龍会

〈清水寺〉の青龍会
地域守護を祈願し青龍が清水寺境内と門前町を練る。「全長18メートルの青龍を中心に、ずらりと並ぶ行道はまるで映画を見ているよう。ワダエミ氏が手がけた装束デザインも素敵で、何度見てもかっこいい!」

住所:京都府京都市東山区清水1-294 
TEL:075-551-1234
毎年3月14日と15日、4月3日、9月14日と15日の14:00~

〈 平野神社 〉の魁桜

〈平野神社〉の魁桜
平安時代から貴族たちが愛でた早咲きの枝垂れ桜。「京都市内からバスに揺られること20~30分。985年に花山天皇が桜を手 植えされ、江戸時代から“平野の夜桜”として知られる桜のスポット。神門前の枝垂れ桜は、京都の桜の始まりを告げるといわれているそう」

住所:京都府京都市北区平野宮本町1 
TEL:075-461-4450 
3月中旬~下旬

【夏】少し足を延ばして出会う山の涼。

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〈貴船神社〉の七夕笹飾りライトアップ
情緒あふれる風情の中、“京の奥座敷”で夕涼み。「毎年、七夕の神事に合わせて、夜は笹飾りのライトアップが。昼とは異なる幽玄な境内で、短冊(※有料)に願い事を書く。そんなロマンティッ クな夜が過ごせます」

住所:京都府京都市左京区鞍馬貴船町180 
TEL:075-741 -2016 
例年、7月1日~8月15日、日の入りから20:00まで

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〈大原三千院〉の青もみじと苔の絨毯
思わず深呼吸したくなる、360度緑と青の世界。 「紅葉の名所としてもよく知られていますが、個人的には夏がおすすめ。 足元の鮮やかな苔と降り注ぐ青もみじは涼感たっぷり。〈往生極楽院〉の南側、弁天池の脇のかわいいお地蔵さんにも癒されます」

住所:京都府京都市左京区大原来迎院町540 
TEL:075-744-2531 6月~7月

【秋】五感に響く祭りのシーズン。

〈 由岐神社 〉の鞍馬の火祭

〈由岐神社〉の鞍馬の火祭
「サイレイ、サイリョウ」の声も勇ましい。「京都三大奇祭のひとつといわれる勇壮な火のお祭り。神社に続く鞍馬街道が松明(たいまつ)の炎で埋め尽くされるその光景は、圧巻。コロナ禍で中止が続いているので、今年の再開を願っています」

住所:京都府京都 市左京区鞍馬本町1073 
毎年10月22日の夜

〈 下鴨神社 〉の名月管絃祭

〈下鴨神社〉の名月管絃祭
月明かりの下、雅楽や舞を見ながらお月見を。「かがり火が焚かれた舞台で行われるのは、平安時代に貴族が楽しんだという舞や雅楽。その優美な世界にうっとり。斎庭に設けられた観月茶席(※有料)から、名月を楽しむことも可能」

住所:京都府京都市左京区下鴨泉川町59 
TEL:075-781-0010 
例年、中秋の名月の17:30~

【冬】厳かな気持ちで向き合う年末年始。

〈 知恩院 〉の除夜の鐘 試し撞き

〈知恩院〉の除夜の鐘 試し撞き
本番さながらに行われるダイナミックな鐘撞き。「除夜の鐘の本番前の練習として、なごやかな雰囲気で行われます。約70tという巨大な鐘を16人の僧侶が体全体を使って打ち鳴らす独特の撞き方は、ずっと見ていても飽きません」

住所:京都府京都市東山区林下町400 
TEL:075-531-2111 
例年、12月27日の14:00~

〈 京都ゑびす神社 〉の十日ゑびす大祭

〈京都ゑびす神社〉の十日ゑびす大祭
年明けは商売繁盛の縁起物、吉兆笹を求めて。「京都の飲食店でよく見かける小判や鯛などをつけた笹は、商売繁盛や 家運隆昌をもたらす縁起物なんだそう。新年の風物詩です」

住所:京都府京都市東山区大和大路通四条下ル小松町125 
TEL:075-525-0005 
例年、 1月8日~12日(福笹やその他の縁起物の授与は2月3日まで)

季節ごとにおすすめの神社仏閣と、その見どころをピックアップしてもらったのが「ほかにもたくさん、おすすめはあるんです!」ということで、これから迎える秋から順に教えてもらった。

「京都といえば紅葉だけに、秋はどこも混雑しますが、〈平安神宮〉は穴場。庭園だけで約1万坪と広大で、密にならずに紅葉を楽しめますよ。近くには〈京都市京セラ美術館〉や〈京都国立近代美術館〉もあり、芸術への造詣を深める秋旅なんていいかもしれません」

続いて、心が洗われるような澄んだ空気が美しい冬の京都なら?「少し足を延ばして、天橋立を訪れてみては。〝お伊勢さんのふるさと〞といわれる〈籠かご神じん社じゃ〉の神聖な空気がより際立ちますし、ブリとカニが最高においしいシーズンなので、食も楽しめます(笑)」

次は春。梅、桜といった花が見頃を迎えるけれど?「定番ですが、〈北野天満宮〉の梅苑はやはり圧巻。50種、約1500本の梅が咲き乱れる光景は、桜とはまた異なる可憐さに癒されます。つい、桜の開花にとらわれ、梅の時期を逃しがちなのですが、2月下旬から3月の初めに京都を訪れるなら、立ち寄ってほしいスポットです」

では、最後に夏のおすすめを。「1万株のあじさいが〝花浄土〞を思わせると人気のお寺、〈補ふ陀だ洛らく山さん華はな觀かん音のん寺じ〉。市内から約2時間と離れているので、小旅行気分も味わえますし、どこを切り取っても映えますよ」本山さんレコメンドの京都の神社仏閣は、連載中のHanako.tokyoで今後も紹介していく予定なので、訪れる前にぜひチェックを。

illustration : Maori Sakai text & edit : Yoshie Chokki

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