〜今度はどの美術館へ?アートのいろは〜 東京都美術館「ムンク展」
2018.11.30

学芸員ラジオDJのDJAIKO62さんがおすすめする、今見ておくべきアートとは? 〜今度はどの美術館へ?アートのいろは〜 東京都美術館「ムンク展」

ラジオ番組で美術展を紹介するうちに美術館巡りの面白さに目覚めたという学芸員ラジオDJのDJAIKO62さん。コラム連載第9回は、東京都美術館で開催中のムンク展をご紹介します。「ムンクって叫びだけじゃないんだ!」と少々ミーハーな驚きが待っていますよ。

DJAIKO62 / ラジオDJ、ナレーター

「京都育ち、中学時代をアメリカで過ごす。現在は地元の"FM京都αステーション"でレギュラー番組を担当。東京と京都を週1で行き来しながらナレーターや映画・美術展ライター、MCとして活動中。学芸員DJとして、特別展の情報やアートをわかりやすく楽しむコツもお伝えしていきます。 TwitterInstagram

DJAIKO62
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ムンクの叫び、生で見ておきたくありませんか?

「ムンク=叫び」というくらい、画面のぐにゃっとゆがんだちょっと不気味ともいえる人物像が顔に手を当てている様子がパッと思い浮かびますよね。現在世界には4点「叫び」はあるそう。今回は〈オスロ市立ムンク美術館〉所蔵、厚紙にテンペラ・油彩で描かれた「叫び」が来日しています。

エドヴァルド・ムンク「叫び」(1910?)

こちらです!どうでしょう?自分の記憶の中にある「叫び」と比べると印象が少し違って見えるかもしれません。こんなにも暖色系で鮮やかだったかしら?手は頬にあてているのではなく両耳をふさいでいるんだ!など、見れば見るほど何の叫びなのか、苦しみや驚き、ひょっとしたら狂喜も秘めているかも。

セルフィーの走り。

ムンクは1916年頃からオスロ郊外のエーケリーに住まいを移し、一生を過ごすことになります。その約30年の間に多くの自画像を描きました。

エドヴァルド・ムンク「自画像、時計とベッドの間」(1940-1943) 

約30年という期間に多く描かれたという自画像の中でも一番印象に残ったのがこちら。「自画像、時計とベッドの間」(作品はすべて〈オスロ市立ムンク美術館所蔵〉 All Photographs©Munchmuseet)です。パッと見た感じは穏やかさを感じますが、ムンクの左右にある「針のない時計とベッド」はいずれも死の象徴だそう。壁いっぱいに飾られたお気に入りの自分の作品に囲まれたムンクはどんな気持ちなんだろう?と口を真一文字に閉じ、背筋を伸ばすムンクの姿から想像を巡らせます。

また、今で言う自撮り・セルフィーも!

エドヴァルド・ムンク「『メタボリズム』の前のセルフポートレート、エーケリー」(1931-1932)

これには驚きました。「『メタボリズム』の前のセルフポートレート、エーケリー」という作品で、長時間の露光によりぼかし効果を取り入れているそうです。セルフィーや自撮りはスマホからのものですが、目新しい技術としてカメラに興味を持ったのもあるでしょう、自分を撮ろうという着想は芸術家らしいなとも思いました。同時期に東京で開催されている特別展の作家で言うと、「ピエール・ボナール展」(〈国立新美術館〉・12月17日まで)やマルセル・デュシャンと「日本美術展」(〈東京国立博物館〉・12月9日まで)でも作家自身を被写体とした写真が多く見られました。

これもあれもムンク!

エドヴァルド・ムンク「青いエプロンをつけた二人の少女」(1904-1905年)

少女が二人、にっこりとほほ笑んでいるようにも見えますね。「青いエプロンをつけた二人の少女」という作品です。こんなにポップでカラフルなイメージのムンクってとても新鮮に映りました。

エドヴァルド・ムンク「幻影」(1892年) 

一方でこの「幻影」、暗さや不気味さが際立っていて、今回最も想像していた「ムンクそのもの」だと感じられました。

グッズ売り場は「叫び」だらけ。

※グッズは数量限定のため売り切れの場合があります。

動機はムンクの叫びを一目見ておく、で十分だと思います。でも「ムンクってこんな人生を送った作家なんだ」と理解を深めることもできますし、また、作風やトーンなど変遷を追うこともできます。一人の作家を丁寧に辿った特別展としては非常に重厚でした。

「ムンク展-共鳴する魂の叫び」開催概要

■会期:2018年10月27日(土)~2019年1月20日(日)
■休室日:月曜日、12月25日(火)、1月1日(火・祝)、15日(火)
※ただし、11月26日(月)、12月10日(月)、24日(月・休)、1月14日(月・祝)は開室
■開催時間:9:30〜17:30 ※金曜日は20:00まで(※入室は閉室の30分前まで。)
■会場:東京都美術館 企画展示室
■公式サイトはコチラから
チケット情報やアクセス、イベント他、詳細は公式サイトをご確認ください。

DJAIKO62

次回もDJAIKO62のアート探訪をお楽しみに。

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