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2018.10.05

まるでおとぎ話の小人の住処! 一般公開は1年に数回!長野県塩尻市にオープンした〈シャトー・ メルシャン 桔梗ヶ原ワイナリー〉へ。

ヨーロッパのおとぎ話に出てきそうな、小人の住処…。そんな佇まいのワイナリーが9月8日、長野県塩尻市に開設しました。小規模ながら、日本最高峰の赤ワイン作りの歴史を引き継ぎ、醸造家や地域住民の熱い思いを形にした最新鋭の醸造設備。ワインは大好きだけれど飲むと忘れてしまうため知識はゼロ、そんな筆者がオープンに先駆けて行われた内覧会にお邪魔してきました。

日本最高峰の赤ワインを生んだ桔梗ヶ原

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オープンしたのは、キリングループでワインを扱う「メルシャン」の〈シャ トー・メルシャン 桔梗ヶ原ワイナリー〉。建物は、「メルシャン」の前身「大黒葡萄酒」が80年前の1938年に開場したものの、その後約30年間眠っていた工場を再生したものです。現在、山梨県甲府市にもワイナリーを所有するメルシャン。なぜ今この桔梗ヶ原にワイナリーを新設したのか?それは、桔梗ヶ原が日本ワインを語る上で欠かせない土地だからです。

1989年、日本で初めて国際コンクールの大金賞を受賞した同社のワイン「シャトー・メルシャン信州桔梗ヶ原メルロー」は、その名の通り、この桔梗ヶ原の地で育まれたブドウで作られました。‟世界最高峰のワイン=ヨーロッパ産”とする価値観が当たり前だった時代に、日本ワインの品質を世界に知らしめたのです。桔梗ヶ原でのブドウ栽培は続いていたものの、より一層この地の個性を反映したワイン造りを行おうと、この度ワイナリーが開設されました。

半地下に広がる小さなワイナリー

敷地に足を踏み入れた瞬間、甘酸っぱい黒ブドウの芳醇な香りに驚きました。見ると、畑には 黒ブドウの実がたくさん!でも、畑の向こうにあるのは倉庫のような建物が2棟のみ。ワイナリーは…どこ?香りにトキめいた心がちょっと静まりました。

トンネルをくぐると、そこには…
トンネルをくぐると、そこには…

「頭上注意」の看板を見上げつつ、頭を下げてトンネルをくぐります。するとそこには、外観からは想像もつかない広さの真っ白なスペースが!!このワイナリーは、元の建物の造りを生かした半地下構造。今回は、このスペースで関係者が多数出席してのセレモニーが行われました。醸造家や ゲストのスピーチからは、このワイナリーのオープンが、メーカーだけでなく、原料ブドウの作り手でもある地元の人々の夢をも乗せた門出であることが伝わってきました。

柿崎ゆうじ監督
柿崎ゆうじ監督

また、セレモニーには桔梗ヶ原を舞台にした映画「ウスケボーイズ」の柿崎ゆうじ監督も出席。「桔梗ヶ原メルロー」を口にした際、その美味しさに感動して関連書籍を手にしたこと、〈メルシャン勝沼ワイナリー〉の工場長などを務め、「桔梗ヶ原メルロー」の発展に多大な功績を残した故・浅 井昭吾さんの思想に感銘を受けたことが映画を作るきっかけとなったことなどを明かしました。

渡辺大さん、橋爪功さん、安達祐実さんら出演の映画「ウスケボーイズ」は10月20日(土)全 国公開
渡辺大さん、橋爪功さん、安達祐実さんら出演の映画「ウスケボーイズ」は10月20日(土)全 国公開

ブドウへの愛情を随所に感じる施設を見学!

テイスティングコーナーでは試飲のほかワインなどの購入もできる
テイスティングコーナーでは試飲のほかワインなどの購入もできる

続いて行われたワイナリー見学では、スタッフの畑美歌さんが案内してくれました。2棟ある建屋は、醸造棟と樽庫に分かれています。醸造棟には入り口が2箇所。1つ目の入り口は、前述のトンネルに通じています。くぐると中にはテイスティングコーナーが。施設の一般公開日には、ここ で約10種のテイスティングが楽しめる他、ワインなどが購入可能。そして奥には醸造の作業スペースが広がり、小型ステンレスの発酵タンクがずらり。タンクの奥、1つ目の入り口と真反対にあ る2つ目の入り口は、なんとブドウ用の玄関で、その名も「レセプション」。丹精込めて作られたブドウを、ここで醸造棟に迎え入れるのですが、この時生きるのが半地下の構造です。ベルトコンベアに乗せたブドウを、重力に従って優しく移動させることができるのだそうです。愛情を感じますね。

案内してくれた畑さんと、ずらりと並ぶステンレスタンク
案内してくれた畑さんと、ずらりと並ぶステンレスタンク

もう1棟は、ワインをじっくりゆっくり育成する樽庫。足を踏み入れると、少しひんやりして います。半地下構造のおかげで、育成に適した一定の湿度・温度が保てるそうです。

歴史ある樽は重厚な面持ち
歴史ある樽は重厚な面持ち

出迎えてくれる大きな樽は、80年前の塩尻工場開場時から使用され、古くは明治時代のものも。 奥に見える現役の樽との共演は、歴史を感じさせてくれる光景です。

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外に広がる約10rの小さなブドウ畑、‟箱庭”ビンヤード。桔梗ヶ原の風土に合った品種を探るため、 メルロー、カベルネフラン、ピノグラなど5種類のブドウを試験栽培しています。「ワイナリーの将来を占う、知恵の源泉とも言える場所です」と畑さん。従来の枝を水平に伸ばす棚栽培とは異なり、枝を垂直に伸ばす垣根式栽培を行っているところもポイントです。

30年物の「桔梗ヶ原メルロー」
30年物の「桔梗ヶ原メルロー」

見学の最後に、30年物の「桔梗ヶ原メルロー」を頂きました。うっとりするほど芳醇な甘い香りと、 厚みのある味わいは、多くの人の長年の努力と愛情の結晶だと思うと、より美味しく感じました。

Hanako的ワイナリーの楽しみ方とは?

魅力満載の〈シャトー・メルシャン 桔梗ヶ原ワイナリー〉。残念ながら、作りに特化した施設のため、1年に数回しか一般公開されません。今年の6日間ある公開日はすでに予約で埋まっているとのこと。せっかく日本ワインのことをもっと勉強したいと思ったのに…と内心激しくがっかり。しかし、シニアソムリエ・神藤亜矢さんが耳寄りな情報をくれました!
「今年6月にリニュー アルしたばかりの〈シャトー・メルシャン 勝沼ワイナリー〉は、ワイン初心者の方をお迎えするのにぴっ たりの施設です」。実際、同社が行う見学ツアーの参加者の約3割が20代なのだとか。「勝沼でしっかりとワインの魅力に触れて頂き、来年辺り桔梗ヶ原でさらにディープな経験をしていただけたら。秋晴れの空の下、モモ狩りやブドウ狩りを楽しむ気軽さでワイナリーを訪れてもらえると嬉しいです」とのこと!

〈シャトー・メルシャン 桔梗ヶ原ワイナリー〉
◼︎住所:長野県塩尻市大字宗賀1298-80

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吉尾 夏紀 / フリーライター

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