天王洲 TERRADA ART AWARD 2021ファイナリスト展
2021.12.16

国内外1346組が参加した現代アートアウォード。ファイナリスト5組による作品展示。 新しいアートタウン天王洲で『TERRADA ART AWARD 2021 ファイナリスト展』開催。

アートタウンに変貌を遂げた天王洲で、現代アートアウォード『TERRADA ART AWARD 2021』のファイナリストによる展覧会『TERRADA ART AWARD 2021 ファイナリスト展』が12月23日まで開かれています。国内外1346組の応募から選ばれた5組のアーティストの作品を最終選考委員のコメントを添えてご紹介します。

優れた才能を見出す『TERRADA ART AWARD 2021』。

前列はファイナリスト5名。左から川内理香子さん、スクリプカリウ落合安奈さん、久保ガエタンさん、山内祥太さん、持田敦子さん。後列は最終審査員の皆さん。左から、鷲田めるろさん、真鍋大度さん、金島隆弘さん、片岡真実さん。

Photo by Haruo Wanibe
前列はファイナリスト5名。左から川内理香子さん、スクリプカリウ落合安奈さん、久保ガエタンさん、山内祥太さん、持田敦子さん。後列は最終審査員の皆さん。左から、鷲田めるろさん、真鍋大度さん、金島隆弘さん、片岡真実さん。 Photo by Haruo Wanibe

『TERRADA ART AWARD 2021』は世界のアートシーンで優れた才能を見出し、新進アーティストの支援を目的に設立された現代美術のアウォードです。国内外1346組のアーティストが応募した中から、2回の選考を経て、8月に5名のファイナリストが選出されました。

そのファイナリスト5組の作品展示が『TERRADA ART AWARD 2021 ファイナリスト展』を見ることができます。5組は今回未発表の新作を含む作品を発表しています。

最終審査員は、片岡真実さん、金島隆弘さん、寺瀬由紀さん、真鍋大度さん、鷲田めるろさんがつとめ、展覧会初日の12月10日に最終審査員から各ファイナリストに賞が贈られました。

今後の活躍にも注目したいファイナリストたち。

持田敦子『Steps』。
持田敦子『Steps』。

持田敦子さんの作品『Steps』は、工事現場で仮設的に使われるパイプや木材を使った階段をいくつも組み上げた作品です。通常ならばどこか目指す場所にいくための階段は、カーブを描きながら空間全体に行き渡らせられて立体の迷路のようにも見えます。

天王洲 TERRADA ART AWARD 2021ファイナリスト展

持田さんの作品は森美術館館長で国際芸術祭『あいち2022』の芸術監督も務める片岡真実さんによって、片岡真実賞を受賞しました。

片岡さんは「行き先がない階段を作ることによって、先行きの不確実性、ぐるぐる回って、どこにいくか分からないような、今の気分を象徴しているように思えました。長らく自宅にいて、フィジカルな動きができなかった中で、こうした展示の具体的な体験ができるスケール感とダイナミックさを感じた」とコメントしました。

山内祥太『舞姫』の一場面。
山内祥太『舞姫』の一場面。

山内祥太さんの作品は『舞姫』というタイトルで、人間とテクノロジーの恋愛模様をパフォーマンス・インスタレーションとして描き出すというものです。センサーをつけたパフォーマーは、さらにセンサー付きのゴムのスーツを着用。その動きに合わせて、スクリーンのゴリラも動きます。

山内祥太『舞姫』の一場面。
山内祥太『舞姫』の一場面。

この作品はACKプログラムディレクターで京都芸術大学客員教授の金島隆弘さんから金島隆弘賞が贈られました。

「山内さんはデジタルネイティブといわれる世代だが、テクノロジーに対して冷静で客観的に向き合っている。テクノロジーと、パフォーマーという人の要素、人間が持つ複雑な『好き』という感情などを組み合わせながら、絶妙なバランスで作品を立ち上げているところに心を奪われた」と金島さんは評価しました。

6つの作品から成る川内理香子の展示。
6つの作品から成る川内理香子の展示。

川内理香子さんは、展示ブースにピンク色の床を敷き詰め、油彩やネオン管、針金などを使った6つの作品で展示を構成しています。油彩のペインティングは、内と外の境目のなさが暗喩される神話がモチーフとなっていて、ネオン管や針金を使った作品とともに様々な線のあり方を一堂に展示しています。

川内理香子『walking』。
川内理香子『walking』。

川内さんの展示には、アートインテリジェンスグローバル ファウンディングパートナーの寺瀬由紀さんから寺瀬由紀賞を贈られました。

寺瀬さんは香港からコメントを寄せ、「川内から紡ぎ出される線の集合体が、ダイアログを持つ術を見つけたことで、今後どのような展開を見せるのか、ますます楽しみである」と川内さんの今後の活躍に期待を示しました。

久保ガエタンの展示。
久保ガエタンの展示。

久保ガエタンさんの展示は、3つの作品で構成されています。天王洲という地名が昔、漁師が牛頭天王の面を引き上げたことに由来することや、18世紀に鯨が打ち上げられたと伝わること、自身の母方のルーツであるフランスなど、いくつもの要素を、映像や音、シーソーのように動く装置、そして会場近くの海中に沈めたスピーカーから流れているスペクトログラムと鯨の鳴き声、そして海中マイクで拾った海の中の音など多様な展開に繋げています。

久保ガエタンの展示。
久保ガエタンの展示。

久保さんの展示には、Rhizomatiksファウンダーで、アーティスト、 DJとして活躍する真鍋大度さんから真鍋大度賞が贈られました。

真鍋さんは「物語は展示空間内外に設置されたさまざまな装置に分解、展開されることによって、 鑑賞者はさまざまな視点で作品を鑑賞し、関係性を読み解くことが要求されるが、複雑なネットワークが作り出す高次元の情報を身体が認知できる状態に低次元化し、鑑賞可能な作品に変換した点は見事」と評価しています。

スクリプカリウ落合安奈『骨を、うめる – one’s final home』の一場面。
スクリプカリウ落合安奈『骨を、うめる – one’s final home』の一場面。

スクリプカリウ落合安奈さんの作品は『骨を、うめる – one’s final home』。ベトナムのホイアンで始まったビデオインスタレーション作品3部作の最終章と位置付けられています。

江戸時代にホイアンで亡くなった長崎県平戸出身の日本人を葬った墓と出会ったことから生まれた作品で、入り口には写真、内部に入ると揺れるカーテンに海が映し出され、そして向かい合うもうひとつの映像にはホイアンと平戸でのリサーチがドキュメンタリーのように映し出されます。

スクリプカリウ落合安奈『骨を、うめる – one’s final home』の一部。
スクリプカリウ落合安奈『骨を、うめる – one’s final home』の一部。

落合さんの作品には、十和田市現代美術館 館長の鷲田めるろさんから鷲田めるろ賞が贈られました。鷲田さんは「人と人を分断しつつもつなぐ海という境界線をテーマにした映像インスタレーション。(中略)自らのアイデンティティを問うことを起点としながら、 普遍的なテーマに昇華している」と評価しています。

賞金100万円のオーディエンス賞は誰の手に?

Photo by Haruo Wanibe
Photo by Haruo Wanibe

今回ファイナリストに選ばれた5名は、1988年から1992年生まれのHanako読者と近い年齢層の人たちばかり。今回の受賞を機にますますの活躍が期待されます。

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審査員賞はすでに決まりましたが、実はオーディエンス賞の投票が12月31日までインターネット上で実施されます。オーディエンス賞は賞金100万円が贈られることになっているので、投票への参加も目的にして展覧会を訪れてみると、作品を見る目も変わってくるかもしれませんね。

『TERRADA ART AWARD 2021 ファイナリスト展』
■東京都品川区東品川2-6-10 寺田倉庫 G3-6F
■〜2021年12月23日(木)
■11:00〜19:00(最終入館 18:30)
■入場無料・日時指定予約制
予約サイト


■オーディエンス賞オンライン投票 2021年12月18日(土)〜12月31日(金)(予定)
※公式サイトより投票可能

■公式サイト

野崎さおり
野崎さおり / フリーライター

「おいしいと楽しいに貪欲なフリーライター。郷土料理や外国の料理へも興味は尽きません。趣味は現代アート鑑賞とパン屋さん巡り。」

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