吹き抜けに現れた生命と物質、その境界にある曖昧なものが共存する世界。 彫刻家 名和晃平による『Metamorphosis Garden(変容の庭)』の展示が〈GINZA SIX〉でスタート。 LEARN 2021.04.22

2021年4月20日に開業4周年を迎え、大規模なリニューアルが行われる〈GINZA SIX〉。それに合わせて〈GINZA SIX〉の顔ともいえる中央吹き抜け部分のアートも新作が公開されました。作品を手掛けたのは日本を代表する彫刻家の名和晃平さんです。作品の背景やモチーフが持つ意味など、プレス向けレクチャーで聞くことができました。

コロナ禍の世にすべての生命のつながりを意識したアート。

Metamorphosis Garden
2021
mixed media 
dimensions variable
Installation view, “Kohei Nawa - Metamorphosis Garden“, Tokyo, Japan
Metamorphosis Garden
2021
mixed media
dimensions variable
Installation view, “Kohei Nawa - Metamorphosis Garden“, Tokyo, Japan

2017年のオープン以来〈GINZA SIX〉の顔として、訪れる人を魅了してきた中央吹き抜けのアート作品展示。今年4月から約1年に渡って展示されるのが『Metamorphosis Garden(変容の庭)』と名付けられたインスタレーションです。

手掛けたのは彫刻家の名和晃平さん。2018年にはパリのルーブル美術館のガラスのピラミッドで7カ月に渡る特別展示を成功させるなど、世界的に注目されるコンテンポラリーアーティストです。『Metamorphosis Garden(変容の庭)』は瀬戸内海にある犬島に展示されている名和さんのインスタレーション『Biota(Fauna/Flora)』の発展形として混沌から生じる新たな物語を表現しています。

名和さんは「この未曾有の事態で、すべての生命の細胞は繋がっていて一つであるということを改めて実感したことから、(生物相の意味を持つ)『Biota(Fauna/Flora)』を発展させて〈GINZA SIX〉に展示しようと考えました」と現在の社会情勢を背景にしてこの作品が生まれたことをお話しされました。

生命を象徴する複数のモチーフで、互いに補完し合う生態系を表現。

銀座 GINZA SIX

作品と相対したとき、いちばん目を引くのは中央にある神々しい鹿の姿。鹿は名和さんが手掛けた作品に繰り返し出てくるモチーフです。名和さんは「神の使いである神鹿は日本の美術によく登場していて、今回は生命という神秘的な存在を見守る象徴」と話します。

銀座 GINZA SIX

そして、これまでこの吹き抜けで展開されたアート作品とは少し異なる空間の使われ方をしていることにも気付きます。「4階フロアレベルと合わせて浮島を作ることで、目に見えない水面を感じさせたかった」と名和さん。確かに海に浮かぶ6つの白い島のようです。

銀座 GINZA SIX

アルミナという素材で覆われた渦状の島は、地球の海流が大きく6つあること、そして『古事記』に登場する「国生み神話」とも重ねられているのだとか。周囲の薄い水色のつるんとした物体は、マイクロビーズで覆われ、水滴や水を表現。細長く縦に伸びた作品“Ether(エーテル)”は、水の重力に抗いながら立ち上がろうとする植物などの生命の象徴です。動物と植物がお互いを補完し合いながら生態系を維持していることが表現されています。

イザナミとイザナギの伝説をテーマに生まれたARパフォーマンスにも期待。

銀座 GINZA SIX

この作品では5月上旬から振付家 ダミアン・ジャレさんとの共作によるARコンテンツの公開が予定されています。実在の彫刻作品にアプリをかざすと、リアルとARが融合したコンテンポラリーダンスのパフォーマンスを鑑賞することができます。ARのパフォーマンスはイザナミとイザナギの伝説をテーマにしたダンスを20万の点で表現して、さらにその点が彫刻の周囲で渦や鳥の群体など変化するというもの。

このARの体験を実現させるのは携帯電話会社の〈KDDI〉。ARのパフォーマンスはその20万の点ひと粒ひと粒に質感や影や反射などが表現され、彫刻とぴったり重なるようにするという技術的にもとてもチャレンジングな内容です。

銀座 GINZA SIX

構想から約1年かかって出来上がったというこの作品。これからさらに1年、見る側の気持ちや価値観も変わり、アートとARの融合もますます身近になっていくのかもしれません。

『Metamorphosis Garden(変容の庭)』
■~2022年4月30日(予定)
■東京都中央区銀座6-10-1 GINZA SIX2F中央吹き抜け
■AR鑑賞はGINZA SIX 4階、5階で5月上旬から開始予定
■03-6891-3390(GINZA SIX 総合インフォメーション 受付時間 10:30~20:30)
〈GINZA SIX〉公式サイト

ARプロジェクト企画・開発:KDDI株式会社 au Design project [ARTS & CULTURE PROGRAM]
ダンサー:湯浅永麻、大宮大奨
音楽:原摩利彦
プログラミング:白木 良
XRストリーミング技術提供、ソフトウェア開発:Mawari Inc.

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