京都の名建築を知るなら、美術館巡りを。 【京都】名建築×アートの融合を堪能!おすすめ美術館3選 LEARN 2018.09.15

京都の名建築を知るなら、美術館巡りを。京都出身画家が自身でデザインを手掛けた〈京都府立堂本印象美術館〉、祇園の伝統建築と草間彌生アートのコラボが楽しめる〈フォーエバー現代美術館〉、名画を再現した陶板画を野外で鑑賞できる、世界的名建築家が手掛けた〈京都府立 陶板名画の庭〉…ナビゲーター・平塚 桂さんのコメントとともに、Hanako『京都検定。』「Q. 名建築を時代別に知るには?」よりお届けします。

平塚 桂/編集者・ライター。京都大学で学んだ建築の知識をいかして、建築や不動産をテーマに『Casa BRUTUS』等様々な媒体で執筆。

1.〈京都府立堂本印象美術館〉/等持院

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美術館の流動的な造形をいかし、新設されたアプローチ。美術館前のバス停も新しくデザインされた。

京都出身の日本画家・堂本印象が、自身でデザインし、1966(昭和41)年に設立。仏画から聖マリアまで、印象による作品をはじめ、同時代や関連作家のアートが堪能できる。

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至るところに作家の作品が。こちらは堂本印象デザインの金工作品『奏でる女』。

「ステンドグラスや案内板など、そこかしこに堂本印象の手が加えられた贅沢な空間。1966年という時代に美術と建築がこれほど融合した空間を作ったことに驚きです」(平塚さん、以下同)。

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堂本印象のステンドグラス作品『蒐核(しゅうかく)』が印象的なロビー。休憩スペースもある。

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「ドアノブや手すりなど、細かい部分のデザインも堂本印象によるもので、見どころが尽きません」

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美術館の脇には自由に回遊できる庭があり、屋外展示を行うこともある。ベンチも堂本印象のデザイン。

今年改修リニューアルし、より心地よく過ごせる場所に。

〈京都府立堂本印象美術館〉
■京都府京都市北区平野上柳町26-3
■075-463-0007 
■9:30~17:00(16:30最終入館) 
■500円 
■月休(祝の場合は翌休)

2.〈フォーエバー現代美術館〉/祇園

国の登録有形文化財に指定されている〈祇園甲部歌舞練場〉内の、1913(大正2)年築「八坂倶楽部」に昨年オープン。伝統的な和の空間と、草間彌生作品とのコラボレーションが楽しめる。

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作品の中には撮影可能なものも。「草間彌生の野外作品『南瓜』は背景の建物との組み合わせが面白い」

「現存する最古の歌舞練場建築の一つ。つなぎ団子模様の格(ごう)天井や、松の絵が描かれた舞台など独特の意匠を備えています。かつてはひいき筋など特別な人しか入れなかった建物に、一般の人々がいつでも気軽に入れるのがうれしい」

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広々とした展示室「花の間」。奥の舞台には草間彌生の大作『私の魂を乗せてゆくボート』がある。

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作品『宇宙にとどけ、水玉かぼちゃ』。「草間彌生 永遠の南瓜展」(2019年2月28日まで)で鑑賞できる。

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美術館の中には所々、座禅コーナーがある。鯉が泳ぐ池のある日本庭園は、外に出て回遊することも可能。

〈フォーエバー現代美術館〉
■京都府京都市東山区祇園町南側570-2 
■075-532-0270
■10:00~18:00(17:30最終入館) 
■1,500円 
■無休 

3.〈京都府立 陶板名画の庭〉/北山

レオナルド・ダ・ヴィンチの『最後の晩餐』やモネの『睡蓮・朝』など言わずと知れた名画を再現した陶板画を、野外で鑑賞できる施設。

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1990 年に大阪で開催された「国際花と緑の博覧会」にて展示された名画モチーフの陶板画を移設。

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屋根がない美術館というのが最大のポイント。空の青さや風の流れを、全身で感じることができる。

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ルノワール『テラスにて』を再現した陶板画など、実際に見るのが難しい名画8点を近くで鑑賞できる。

鉄筋コンクリート造の建物の設計は、世界的に活躍する建築家・安藤忠雄が手がけた。

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歩道以外は水面で覆われている。「奥まで歩くと、小さな滝がいくつも流れていて、水音が心地いい」

「美術館をたくさん設計している安藤忠雄ですが、ほぼ外部空間というところが珍しい。美術館建築では難しい、立体的、ダイナミック、光や水をたくみに取り入れるという要素を、軽々とクリアした、開放的な空間です」

〈京都府立 陶板名画の庭〉
■京都府京都市左京区下鴨半木町
■075-724-2188
■9:00~17:00(16:30最終入園) 
■100円 
■無休 

Hanako『京都検定。』特集では、京都の建築を多数ご紹介しています。

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(Hanako1164号掲載/photo : Makoto Ito text : Ai Kiyabu)

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