未来のためにお金を味方に。 「とりあえず銀行にお金を、の時代は終わりました」投資家・藤野英人さんに聞く、お金との上手な付き合い方。 LEARN 2021.08.03

「たとえ自分で稼いでいるわけでなくても、誰もがお金と無関係ではない」と話すのは、投資家の藤野英人さん。まず知っておきたいお金のことをプロに聞きました。7月28日(水)発売 Hanako1199号「ときめくスイーツ大賞」よりお届けします。

「とりあえず銀行にお金を、の時代は終わりました」

投資家・藤野英人さん

お金と生活は切っても切り離せないものなのに、その存在について深く考えたことがあるという人は意外と少ないかもしれない。“稀代の投資家”として知られ『14歳の自分に伝えたい「お金の話」』の著者でもある藤野英人さんに、私たちが、これからお金とどうやって向き合っていくべきなのかを聞いてみた。「まずお伝えしたいのは、自分の収入で生活をしていない人でも、なにかしらの形で世の中の経済活動に参加をしているということ。

『14歳の自分に伝えたい「お金の話」』自身の経験をもとに「思春期のころからお金との上手な付き合い方を知る」藤野英人/ことの大切さを書いた一冊。お金の本質や投資とはなにか、経済サイクルの仕組みについて、わかりやすく描かれている。(小社刊)
『14歳の自分に伝えたい「お金の話」』自身の経験をもとに「思春期のころからお金との上手な付き合い方を知る」藤野英人/ことの大切さを書いた一冊。お金の本質や投資とはなにか、経済サイクルの仕組みについて、わかりやすく描かれている。(小社刊)

今回、本のタイトルに“14歳”という言葉を使ったのは、もやもやとした気持ちを抱えながら生きていた当時の自分が、お金との向き合い方や仕組みを知っていれば、将来に対する漠然とした不安から抜け出せる一助になったかもしれないと思ったからです」日本人は、子どもの頃から金銭教育を受けている外国人に比べてお金の知識と判断力が低い傾向にあるといわれている。最近でこそ、若い世代で投資を始める人も増えているが、この潮流に関して藤野さんは、人生の早い段階からお金に関心を持ち、向き合うのは大切なこと、と話す。

「日本人は長いあいだ、銀行の預金やいわゆるタンス貯金など、現金を手元に貯めるのを主としてきました。それは子どもの頃から、働いてお金を好きに使うよりも、堅実に貯蓄をすることのほうが清くて正しい、と知らず知らずのうちに刷り込まれてきたという部分も大きい。でも、コロナ禍で世界的に貨幣価値が下がり、日本の銀行の金利も年間0・001%となったいまは、自分のお金を銀行に預けておけば万事安心という時代でなくなったのは事実です。2022年からは高校の家庭科で、裁縫や調理実習に加えて投資が授業項目に入ることが決まっており、ただ貯蓄をするよりも投資で賢くお金を増やすという動きが若い世代で活発になるでしょう」

「目標や学ぶ姿勢があれば誰でも投資家になれます」

これからは貯金以外の選択肢も持つことが世の中のスタンダードに。学生や専業主婦など、自分で得た収入で生活をしていない場合でも、お金と上手に付き合っていく方法は?「自分のお金ではなくてもなにかしらの消費をしていれば、それは社会経済への貢献につながっています。お金をなんとなく使う、なんとなく貯めるのではなく、自分や社会の未来を考えて行動することが大切。

投資に関しても日本人はどうしてもギャンブルのようなイメージで身構えてしまいがちですが、いまは少額からスタートできる株式投資やプロに資産運用をまかせられる投資信託など、初心者でも取り組みやすいものも増えています。20歳以上であれば、国から投資の節税補助などが受けられるNISA(ニーサ)やiDeCo(イデコ)といった制度を活用してみるのもいいでしょう。お金としっかり向き合うことで、自分や社会の未来がより良く、豊かなものになるはずです」

Profile…藤野英人(ふじの・ひでと)

〈レオス・キャピタルワークス〉代表取締役会長兼社長。主に日本の成長企業に投資する株式投資信託「ひふみ投信」シリーズを運用。著書も多数。

(Hanako1199号掲載/photo : Miyu Yasuda text : Keiko Kodera)

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