女性をとりまく環境が進化。 婦人科の現在の治療法を知っておくことも大切。|働く女性のための転機の準備 HEALTH 2022.11.12

PMSを軽減するためのピルの処方、不妊治療など、婦人科の医療は変化している。治療や薬について、その現状を知っておくのも大切だ。

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PMSはピルで解決。迷わず婦人科に相談。
生理前になると色々な不調が起こるのがPMS(月経前症候群)。
「黄体期にたくさん分泌されるホルモンのエストロゲンとプロゲステロンの両方が原因。低用量ピルで排卵を抑えると、ホルモンが低め安定になるので、不快な症状が落ち着き、クオリティ・オブ・ライフが劇的に向上するんです」と宋美玄先生。低用量ピルは従来の中用量ピルに比べて副作用もほとんどなく、医師の指導のもとに服用すれば安全な薬。
「ホルモンの変動を抑えるだけでなく、ピルの中には生理周期を月1回よりずっと少なく抑えることができるものもあります。生理をコントロールして、周期という概念をなくしてしまうので、女性が生理に振り回されることがなくなります」

Doctor…丸の内の森レディースクリニック院長・宋 美玄さん

DMA-宋宣材

そん・みひょん/日々の診療にあたるかたわら、産婦人科医の視点から社会問題の解決、ヘルスリテラシーの向上を目的とし活動中。

K E Y W O R D # 1

卵巣予備能を知って出産への第一歩を。
発育過程の卵胞から分泌されるAMH(アンチミューラリアンホルモン)。血液検査でこの値を知ることができ、卵巣予備能(卵巣内に残っている卵子の数の目安)がわかる。個人差が大きいため基準値や正常値を示すことが難しく、高いか低いかを判断することしかできないが、値が1.0nナノグラムg/㎖以下だと標準的な体外治療がしにくくなり、4.0~5.0ng/㎖以上の場合は、月経異常や不妊の原因となる多た嚢のう胞ほう性せい卵らん巣そう症しょうこうぐん候群の疑いがある。AMH検査は今年4月から、不妊治療で体外受精を受ける際に保険診療が適用されている検査だ。日本人女性の初産は平均30歳。卵子の質や老化等は年齢に関わるため、将来出産を考えている30歳前後の女性はAMH検査を受け、ライフプランの指標に。

Doctor…浅田レディースクリニック院長・浅田義正さん

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あさだ・よしまさ/不妊治療の専門家として高度生殖医療を中心とした診療を行う。また、顕微授精に関して豊富な経験と実績を持つ。

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保険適用によって少しずつサポート体制が整ってきた。
「終わりの見えないトンネル」といわれる不妊治療。経済的・心身的・社会的問題を抱えていたが、今年4月からの保険適用で経済的負担が軽減された。不妊治療にはいくつかのステップがある。治療の初期段階であるタイミング療法でも、不妊というコンプレックスに向き合うことでナイーブになってしまう人は多い。特に女性はストレスによりホルモンバランスを乱すと無排卵や無月経を起こしてしまいがち。悩みをカウンセラーに話して少しでもストレスを減らすことが大事になってくる。こうしたサポート体制のある職場も増えているが、まだ少ないのが現実。ただ保険適用で追い風が吹いているため、多くのカップルが安心して不妊治療に向き合える世の中になるだろう。

Doctor…陣内ウィメンズクリニック院長・陣内彦良さん

DMA-不妊の先生HANAKO0088

じんない・ひこよし/心とカラダに優しい生殖医療を提案。カラダに負担を掛けないよう薬を使いすぎない、高度生殖医療を提供する。

photo : Kenya Abe illustration : Maori Sakai text : Yuko Watari,Riko Saito

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