「好き」が一番の原動力。その道のプロに聞く。 【レコード入門】好みの音を探求しよう。〜上級編・応用編〜 LEARN 2022.04.11

近年、アナログレコード人気が再熱しています。モノとして持つ喜び、自分好みの音を追求する楽しさ、手間をかけて音を聴くという行為そのものが多くの人を惹きつけているようです。アナログレコード愛好家、飯田貴志さんを先生に迎え、知識ゼロからでも始められるレコード入門、開講です。今回は上級編・応用編より、『好みの音を探求しよう。』です。

【上級編】レコードの魅力を引き出す、機材、部品選びの世界へ。

自分好みの音を追求しようと思えばいくらでもできます。プレイヤーの針やカートリッジ、アームを交換・調節するだけでも音をカスタムできます。アンプにもいろんな種類があり、優しい音色が特徴的な真空管アンプ、音の再現性が高くて大音量でも音割れせずに聴けるトランジスタアンプ、コンパクトなサイズが魅力のデジタルアンプなど。それぞれメリット・デメリットがあるので、好みに合わせて選んでみてください。

針も、繊細で高価だけど音質がいいオーディオ用の針と、丈夫な用の針があります。正直使ってみないと、どれが自分に合っているのかわからないので、もし「この店の音がすごくいいな」と思ったら、店の人に聞いてみるのも手ですよ。まったく同じものは手に入らなくても、同じシリーズのものであれば近しい音を再現できたりします。正解のない、奥深い世界。これこそがレコードの醍醐味だと思います。

【応用編】レコードの基礎知識を知ろう。

プレイヤーや周辺機材などは専門業者で買う方がいい、と飯田さん。「プレイヤーや周辺機器は中古品が多いので、保証付きのものを入手した方が安心です。〈ディスクユニオン〉〈HMV〉がおすすめ。個人業者や素人出品のものはきちんと検品されていない場合もあるので避けた方がいいでしょう」。レコードは意外な場所で見つけることも。「〈ハードオフ〉は希少な名盤が格安で手に入ることもある穴場。ぜひチェックしてみてください」

1.レコードの種類「シングルとアルバムがあります。」

レコード入門

レコードには回転数の違いがある。長時間収録したアルバム(LP盤)は33回転、ドーナツ盤と呼ばれるシングル(EP盤)は45回転。プレイヤーにセットする時は聴きたいレコードの回転数に合わせよう。

2.お手入れの方法「クリーニングでカビ、汚れを防ぐ。」

レコード入門

高温多湿の日本ではレコードにカビが発生しやすい。目に見えなくても、再生時にパチパチと音がしたらカビや埃が付着している疑いが。専用のクリーニング液と拭き取り用クロスを使って、定期的に盤面を磨く習慣を。

3.レコード店でのマナー「「ストンストン」しない。」

レコード入門

レコードを探す時、「ストンストン」と下に落とさないこと。ジャケットの底が抜けてレコードが割れる原因に。「下北沢の〈フラッシュ・ディスク・ランチ〉はストンストンによる傷防止の紙が入っていて、愛を感じます」

Teacher…板焼きマエストロ・飯田貴志鉄(いいだ・たかし)

レコード入門

精密機器のエンジニアである父の元で育つ。ジャズクラブの名門〈ブルーノート東京〉を経て、独立。2016年に、ソムリエールの松坂愛さんとともに、ナチュラルワインと鉄板焼きとアナログレコードの音が楽しめる店〈赤い部屋〉を東京・南青山にオープン。飯田さんは音楽のセレクトと料理を担当。

(Hanako1206号掲載/photo : MEGUMI illustration : Manako Kuroneko text : Mariko Uramoto, Satoru Kanai, Ami Murasakino edit : Kana Umehara)

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