都心にそびえ立つ 山のような寺院。 有名建築家によるお寺の名作巡り。【東京】マウントフジアーキテクツスタジオが手がけるお寺〈松栄山 仙行寺〉 LEARN 2022.01.21

探してみると都内にも名作の寺院を発見! お寺に対するイメージが 覆されるような、斬新で印象的な名建築をお見逃しなく。今回は、マウントフジアーキテクツスタジオが手がけるお寺〈松栄山 仙行寺〉を訪れました。

建築の材料として木がふんだんに使われているので、建物から温かさを感じられる。奥に鎮座する池袋大仏の素材は全てヒノキで、手彫りで仕上げられている。
建築の材料として木がふんだんに使われているので、建物から温かさを感じられる。奥に鎮座する池袋大仏の素材は全てヒノキで、手彫りで仕上げられている。

ビルやマンションなどが立ち並ぶ池袋にあって、木々の温かさを感じさせる建物がある。一見、その佇まいからは寺院だと分かりづらいが、歴史を遡ると江戸時代から続く、仙行寺。由緒正しいお寺のひとつだった。2011年に東日本大震災で区内唯一の木造本堂が損傷し、2018年に再建された。

建て替えるにあたって、設計を担当したのはマウントフジアーキテクツスタジオの原田真宏。大学院で建設工学専攻を修了後、隈研吾の下で建築家としてスタートした。注目の若手建築家の一人だ。彼が仙行寺を再建した際のコンセプトは「都心の中の山寺」。寺院は山の名前をいただいていることから、山そのものが信仰の対象でもあるかのように、風景としても寺の背後には常に山が控えていて、それらは対をなしているのでは、と考えたのだとか。

立体的な寺や墓地は大ボリュームとなって都市景観の中に現れるということから、むしろその大きさを生かし、緑の山塊として「寺のような、山のような」存在としてしまおうと思い立ったという。 1階から屋上にまで植えられた木々からは四季の移ろいを感じられ、まさに緑豊かな山のよう。ビルに囲まれながらも、池袋という雑多な街の日常を、より豊かにさせてくれている存在だ。

温かいドリンクで心身ともに落ち着ける。

〈松栄山 仙行寺〉

本堂に隣接するカフェから出店されているキッチンカー。ホットコーヒーやカフェラテなどを注文でき、参拝で心を鎮めたまま、体もほっとひと息つくことができる。

懐かしさを感じさせる駄菓子屋台も。

〈松栄山 仙行寺〉

最奥部にある宙に浮かんでいるような大仏様に参拝をすると、隣には懐かしい駄菓子が所狭しと並んでいる。手作りの屋台がさらにほっこりとした気持ちにさせてくれる。

Profile…マウントフジアーキテクツスタジオ

建築家である原田真宏と原田麻魚(まお)らが 2004 年に設立した、日本のアトリエ系建築設計事務所。代表作である栃木県の「道の駅ましこ」は日本建築家協会日本建築大賞にも選ばれている。

〈松栄山 仙行寺〉

〈松栄山 仙行寺〉

善行院と仙應院という2つのお寺が1907年に合併し、松栄山仙行寺となった。2~6階は参拝施設、7階は法要を行う本堂。
■東京都豊島区南池袋2-20-4
■03-5928-3213

(Hanako1204号掲載/photo : Yoshinobu Kawaharazaki, Shinnosuke Yoshimori (P. 7 3) model : Yurie Akutsu (Gunn’s) text : Yuko Watari)

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