秋葉原の本社に潜入! 大ヒット商品はどうやって誕生したの?家電〈THANKO〉の開発者にインタビュー。 LEARN 2021.12.23

「面白くて役に立つ」を掲げ、紹介した「おひとりさま用超高速弁当箱炊飯器」などのニッチな家電を量産する〈 サンコー 〉。商品づくりの秘密はどこに?秋葉原の本社に潜入!

Q.1 最近の大ヒット商品はどうやって誕生したの?

右が2019年のモデル、左がバッテリー付きの最新モデル(5,980円)。ヘッドホンのようなデザインも好評。「冷却プレートを使ったネッククーラーの元祖です」
右が2019年のモデル、左がバッテリー付きの最新モデル(5,980円)。ヘッドホンのようなデザインも好評。「冷却プレートを使ったネッククーラーの元祖です」

「週に1回、全社員がひとつずつ、生活の中の悩みを社内の掲示板に書き込むのがルール。そこから商品化できるものを探ります。弁当箱型の炊飯器なら『少量で早く炊ける炊飯器がない』という声がスタートでした。個人的な悩みから出発した商品はおのずとニッチになり、市場の“すき間”をつけるのです。ヒット作の『ネッククーラー』は『暑い夏の屋外でも快適に過ごしたい』という声から開発。温度調節の機能を省いて価格を下げ、静音性を高めコードレスに。お客様からの意見を加味して改良を重ね、シリーズ累計80万台を突破しました」(開発・新村孝司さん)

Q.2 この冬の注目アイテムは何ですか?

はいて腰ベルトを留めて使う。温度は45℃までの6段階。コードを外せばこのまま歩くことも。9,800円。「ポケット付きで手もぬくぬく。気持ちよすぎて眠くなる〜」
はいて腰ベルトを留めて使う。温度は45℃までの6段階。コードを外せばこのまま歩くことも。9,800円。「ポケット付きで手もぬくぬく。気持ちよすぎて眠くなる〜」

「おひとりさま用“着る”こたつ『こたんぽ』です。先日発売してすぐに完売し、現在増産中です。これは『こたつは欲しいけど置き場所がない』という悩みを解消するべく生まれた、ヒーター付きの寝袋のようなもの。足を入れて、はいて使います。くつろぐ時やテレワークする時にぴったりですよ」(広報・﨏晋介さん)「前のモデルでテカテカのアウトドアっぽい生地だったのを肌触りのいい生地に変え、要望に応えて足を出せる穴を開けて歩けるように改良しました。下半身が温かいと体全体が温まる。エアコンの約1/20の電気代で済むので節約にもなります!」(新村さん)

Q.3 ここだけの話、大失敗したアイテムは?

うちわであおぐ動きをギアで再現したシンプル構造。そよそよと風を送っる健気な姿に、一同ほっこり。「売れるはずでしたが(笑)。ある意味、幻の商品です」
うちわであおぐ動きをギアで再現したシンプル構造。そよそよと風を送っる健気な姿に、一同ほっこり。「売れるはずでしたが(笑)。ある意味、幻の商品です」

「2016年に発売した『電動うちわ』ですね。扇風機の風が苦手な人をターゲットに、うちわであおいで自然な風を送る商品です。機能やコンセプトは良かったものの、外観をアルミの削り出しにこだわったために、同ジャンルの価格帯より高い5,980円になってしまって。しかもパワーはどうしても扇風機に劣るので、そのあたりが敗因かと…。でも生産した約2,000台は自社ショップで売り切りました。うちは小さいロットから作れて直販ができるため、売れるか未知数のニッチな商品にも挑戦しやすい。これは強みだと思います」(﨏さん)

COMPANY DATA

2003年に設立され、「面白くて役に立つ」商品を扱うネット通販「サンコーレアモノショップ」を開設。2016年から家電を展開し、ほかにはない商品で話題に。昨年度の売り上げは前年比250%を達成した。

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◆広報部長・﨏 晋介(えき・しんすけ)/自社製品を楽しく紹介するキャラ「ekky(エッキー)」としても活躍。トレードマークのオーバーオールは妻の手作り。

◆商品企画部マイスター・新村孝司(にいむら・こうじ)/玩具メーカーを経て2018年入社。「ネッククーラー」「エレクトリックナイフSlim」など数々のヒット作を手がける。

(Hanako1203号掲載/photo : Kenya Abe text : Asami Kumasaka)

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