明日のための料理。 そのまま冷蔵庫に入れてない?おいしく長持ちさせる食材の保存術。 LEARN 2021.07.15

買ってきた食材をそのまま冷蔵庫に入れっぱなしにしていませんか?意外と知られていない冷蔵庫の使い分けや食材の保存術をレクチャー。おいしく長持ちさせながら使い切って、食材の無駄を減らしましょう。

1.野菜は小さく切って、加熱してから冷凍保存

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冷凍保存した野菜を調理したらぐにゃぐにゃでおいしくない……。そんな失敗を防ぐには、小さくカットしてから冷凍すること。野菜は冷凍すると細胞が壊れるため、なるべく早く凍らせて食材へのダメージを軽減することが大事。あらかじめ繊維を切っておけば食感も気にならなくなる。また、冷凍すると野菜の酵素が影響して色が悪くなったり味が落ちたりするので、軽く火を通すブランチング処理をしてから冷凍を。ただし小松菜は生のまま切って冷凍するだけでOK。余りがちな大根の葉やかぶの葉は、さっと茹でて刻んで冷凍しておけば味噌汁の具として使える。

2.きのこは冷凍すれば旨味がアップ!

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水分量の多いきのこ類は、そのまま冷蔵庫に入れると自らの水分で傷んでしまいがち。キッチンペーパーに包んで袋に入れてから保存しよう。さらにおすすめなのが冷凍保存。野菜の場合は冷凍すると繊維が壊れるが、きのこは壊れないばかりか、冷凍することで栄養価や風味がアップ。これは冷凍と解凍で細胞が壊されることで、きのこの旨味成分のグアニル酸が出るから。火を通す必要はないので、小分けにしてから保存袋に入れて冷凍庫へ。使う時は凍ったままスープや炒め物に入れて加熱すればいい。数種類のきのこを混ぜてストックしておくと便利。

3.肉を長期保存したい時は砂糖水にくぐらせて

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肉を買ってきたトレーのまま冷蔵庫に入れるのは、早く傷んでしまうもと。肉から出る赤い液体・ドリップをキッチンペーパーで拭き取ってからチルド室へ。長めに冷凍保存したい場合は、1日冷凍した肉を0.5%濃度の砂糖水にくぐらせてから、もう一度ラップで包みなおして冷凍すると、砂糖が肉の水分を保持して長持ちする。これは魚にも使えるテクニックで、砂糖の濃度は低いので甘くはならない。ひき肉は解凍品の場合も多く、薄切り肉に比べると日持ちしない食材。冷凍したい場合は肉味噌やそぼろにしたりと、調理した方が長く保存できる。

4.魚は水洗いをしてから低い温度で保存する

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魚の冷蔵保存はチルド室が原則。冷たい水の中で過ごしてきた魚は冷蔵庫の中でも酵素が働いて分解されていくので、なるべく温度が低い場所で保存しよう。そして買ってきたら水洗いをして、キッチンペーパーで水気をしっかり拭き取ることで雑菌の繁殖が抑えられるので長持ちする。ラップで包むか、空気を抜いたポリ袋に入れて保存しよう。さらに新鮮さをキープしたい時は、ちょっと手間はかかるものの、バットなどに氷水を入れて、その中に沈めた状態にしておくといい。冷凍保存する場合は、一尾まるごと買ってきたとしても切り身にしてから。

5.野菜室には要注意!ブロッコリーはチルド室へ

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野菜はなんでも野菜室に入れておけば大丈夫と思っていませんか?冷蔵庫はメーカーによって異なるものの、「冷蔵室」(約2~6度)、「チルド室」(約0~2度)、「野菜室」(約3~8度)、「冷凍室」(約-20~-18度)と部屋によって温度が違うのでうまく使い分けを。ブロッコリーなど花のつぼみを食べる野菜は保存に適した温度が0度なので、野菜室よりもチルド室に入れた方が長持ちする。乾燥を防ぐためにキッチンペーパーでくるんでから袋に入れて保存しよう。野菜室が適しているのは、トマト、きゅうり、なす、ピーマン、じゃがいも、里芋、大根など。

6.葉物の野菜は冷蔵室に立てて保存

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寒さに強い玉ねぎ、にんにく、人参、ごぼうのほか、キャベツなどの葉物野菜は、キッチンペーパーに包んでから冷蔵室もしくはチルド室で保存すると長持ちする。水菜やほうれん草、小松菜などの葉野菜はそのまま冷蔵庫に入れるとすぐにしなびたり、どろっとして傷んだ状態になりがち。より長くもたせたい場合は、水を入れたコップに差して、袋をかぶせた状態にしてから冷蔵室のドアポケットに立てて保存を。すると野菜は休眠状態になって、1週間くらいシャキシャキとして生で食べられる状態を保てる。水はこまめに入れ替えよう。

7.白菜は内側から食べておいしさ長持ち!

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葉物野菜や根菜類は、収穫されて冷蔵庫に入れた後でも実はぐんぐんと成長中。そのためこれらの野菜は、成長点を取って保存するのが基本。成長点に栄養を送り続けるのを止めることで、長持ちさせるという理屈だ。冬に欠かせないカット白菜は外側から使いがちなものの、内側からが正解!生で食べてもおいしい内側の葉を食べて成長点を除去してから、外側へと食べていくのがもっとも日持ちする順番。野菜によって成長点は違うので、大根はすぐに葉を切り落とす、キャベツはまるごとの場合は芯をくり抜く、1/2カットの場合は芯を切り取ると長持ちする。

8.余ったご飯は冷蔵庫よりも冷凍庫へ

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米は精米したてが新鮮でおいしい状態。1カ月以内に食べ切るためにも、ひとり暮らしなら2kg入りのものを買って保存するのがいい。米の保存に最適なのは温度・湿気が低く、直射日光の当たらない場所。キッチンのシンク下に保管している人が多いが、冷蔵庫に保存するのがおすすめ。10度以下なら酸化するスピードを遅らせることができる。また、余ったご飯は冷蔵よりも冷凍を。炊きたてのご飯を冷凍すればおいしさも風味もキープ。一膳分のご飯をラップに四角く平らに包み、粗熱を取って冷凍庫へ。冷凍ムラになりにくく、ストックしやすい。

【Learn More!】冷凍保存しておけば調理時間も短縮できる。

「冷凍のコツをつかめば食材を無駄にするのも防げます。冷凍は保存期間を延ばすだけでなく、調理の一工程と考えるといい」と樋口直哉さん。冷凍とは食品を-18度以下にすること。凍らせると細胞が壊れて柔らかくなるので、原理としては加熱したのと同じ状態に。「生のまま切って冷凍した小松菜を解凍すれば、茹でたものと同じ状態。これにしょうゆをかければ、火を使わずに簡単お浸しになります」。かぼちゃや大根の煮物なども、冷凍した野菜を使えば、生の状態から作るよりも短時間で出来上がる。余った野菜は冷凍して、うまく活用してみよう。

Profile…樋口直哉(ひぐち・なおや)/服部栄養専門学校卒業後、料理教室助手、フレンチレストラン勤務を経て料理研究家になる。科学的な考え方から、料理の「当たり前」を深掘りし、おいしさを最大限に引き出すレシピを紹介している。

(Hanako1198号掲載/photo : Satoru Nakano styling : Ami Kanno cooking : Naoya Higuchi illustration : Yu Tokumaru text : Rie Ochi, Satoko Kanai edit : Yuko Watari)

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