日本とコラボした陶器も。 器ブームが到来!【台湾】歴史ある器の町「鶯歌」は、陶器好きなら一度は行きたいスポット。 LEARN 2021.03.21

台湾でも家で料理をする人が増えたこともあり、まさに今、器ブームが到来中。窯元として有名な鶯歌(イングー)は、昔も今も日本人が器作りに一役買っています。

陶器好きなら一度は行きたい町、「鶯歌」

歴史ある器の町は変化の時を迎えていた。

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台北の駅から30分ほど台湾鐡路に揺られれば、陶磁器の町「鶯歌」駅に到着だ。窯元と聞けば、ぜひ行ってみたい!と思う人は多いだろう。鶯歌は200年ほど前から陶磁器が作られている町で、かつて日本人が器の作り方を伝えた歴史もある。レンガ造りの古い建物に器のお店が連なって、時が止まったような雰囲気が漂う。この町は、台湾茶の道具作りに取り組む工房が多い一方、観光地として週末は多くの人がやってくるスポットでもある。

もともと台湾は自炊より外食文化が盛んで、毎日自宅で陶器を使う人が少ない。だからここ十数年はコーヒーチェーンのマグカップなどのOEMを作る工房が増え、ろくろなどを使用する人は少なくなってしまった。そんな鶯歌に変革が起こっている。2019年から、台湾のデザイン研究院と日本の〈中川政七商店〉がコンサルタントとして、〈メソッド〉の山田遊さんがクリエイティブディレクターとして、器作りの支援を始めたのだ。昨年12月には第一号のプロダクトが完成し、台湾でお披露目をした。「これからの鶯歌を支えるためには、台湾で新たな製品を作ることが近道だと思い、中川さん、山田さんに相談しました」とデザイン研究院の艾アイ副院長。

「若い職人さんの発想が素晴らしい。知識を吸収し商品に変えていくスピードが驚くほどでした。これから楽しみです」と山田さんは感心する。山田さんと組んだ工房〈新旺集瓷(シンワンシュウチー)〉4代目の許世鋼(シュースードン)さんは、「台湾の食卓に合った器をデザインしようと考えました」と言い、赤、黄、白、緑の4色の展開にしている。緑は、窯を大きくした祖父が日本人に教えてもらって生産した茶碗にちなんだ色だ。型を使うが、釉薬を塗ったり色付けをするのは手作業と、合理的な作陶方式を取り入れている。鶯歌から再び日本と台湾のコラボが始まったことは意味深い。

窯元での楽しみ。

新しい鶯歌を目指し始めた窯元に行ってみた。
1.〈新旺集瓷(シューズ・ポタリー)〉

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4代目の許世鋼(シュースードン)さん、吳佳樺(グージャーファー)さんは、過去にグッドデザイン賞やドイツのデザイン賞を受賞した実力者だ。今回、日本チームのアドバイスで発表したのは「KOGA 許家陶器品」。台湾の食卓を意識した品ぞろえだ。

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こちらは昔の台湾の器を復活したもの。ルーロウファンにぴったりのサイズ。色はグリーン1色。280元。

〈新旺集瓷(シューズ・ポタリー)〉
■新北市鶯歌區尖山埔路81號
■886-2-2678-9571
■10:00~18:00 月休

2.〈安達窯(アンタ・ポタリー)〉

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上品なお茶セット11,000元。

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もともとお茶にまつわる陶器を作っていた〈安達窯〉。青磁を得意とする工房で、ショップには青を使った茶器や茶杯が並んでいる。品物を見ていると、どうぞと勧められて、工房の茶器で台湾茶が振る舞われる。器を手に持った感触などが実感できる。「土物は香りがつきやすいので、お茶の種類ごとに茶器を替えてください」。

〈安達窯(アンタ・ポタリー)〉
■新北市鶯歌區建国路401號
■886-2-2679-8482
■8:00~17:00 不定休

※1元は約3.7円です(2021年2月現在)

デザインの力で、台湾から世界へと羽ばたく産業を。

台湾には22の県市がある。それぞれの地域の食、文化、産業を育成しようという試み「地域振興」で台湾は盛り上がっている。その一つに台湾デザイン研究院が行う「T22デザイン産業計画」があり、鶯歌のプロジェクトがまずスタートした。艾副院長は「台湾の家庭料理に合った器作りを考えました。日本と違って、台湾には独自の食文化に合った器を作る習慣がありませんでした。それを台湾人の手で作って産業として広げていければ」と語る。日本には器の産地がたくさんある。そこで、ノウハウがある〈中川政七商店〉に相談した。そして昨年末に無事お披露目となった、台湾人による器は、この7月に日本でも発売予定。タピオカをはじめ台湾の飲食が日本に進出し、器もこの後に続くか楽しみだ。

Navigator…艾 淑婷(アイシューティン)

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台湾でのデザインイベントのほか、デザインにまつわる産業振興などを推進する組織、台湾デザイン研究院で副院長を務める。

(Hanako1194号掲載/photo : Jimmy Yang coordination : Chen Tsuiwen model : Chunn Wang)

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