Tシャツ12,000円(Ground Y―ヨウジヤマモト プレスルーム 03-5463-1500)/その他スタイリスト私物
2021.03.17

復興のその先へ。 「みやぎ絆大使」でもある俳優・黒羽麻璃央がいま、思うこと。『震災の記憶を風化させないために発信し続ける。』

故郷の危機をきっかけに行動を起こした人、チャリティ活動をする人。全員に共通するのは、“ずっと続けていく”という気持ちでした。今回ご紹介するのは、俳優・黒羽麻璃央さん。宮城県出身で地元をこよなく愛する黒羽麻璃央さんは、自身も高校時代に東日本大震災を経験したひとり。現在、「みやぎ絆大使」として、積極的に地元のPRに努めています。

“歩み寄ろうとする気持ちだけで、うれしい”

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あの日は高校2年生の終業式でした。午前中で学校が終わって、友達の家で髪を染めていたタイミングでものすごい揺れがきて。たぶんあれが人生で初めて死を覚悟した瞬間でした。長い揺れがようやくおさまって外に出たら、地面が陥没していたり、地割れしていたり…。これはただごとじゃないなって、慌てて家に帰りました。幸い家に津波の被害はなかったのですが、テレビもつかないし携帯電話も圏外で情報が何も入ってこず、いろんな状況を把握したのは翌朝になってからのこと。
生活も、その日から一気にサバイバル。暖房がつかないから、ダウンを2枚着込み、毛布や家にあるありったけの布を集めて夜の寒さをしのいで。コンビニで家族3人分のカップラーメンを買うのに5時間並んだり、お風呂は車で1時間ちょっとの祖母の家まで入りに行って。2週間後くらいに家に電気がついた時は感動しましたね。あと携帯電話の着信音が鳴った時。ホッとしました。
その1年後に上京したのですが、当初は東京に対して勝手に壁を作っていて、震災のことを聞かれてもあんまり話したくなかったんです。「話して何がわかるんだよ」とも思ってましたし。変わってきたのは、東京に心を開き始めてから。心を許せる人たちができたのもあるし、大人になったのもある(笑)。

「みやぎ絆大使」に任命していただいたのは、そんなタイミングでした。絆大使は、芸能界に入ってからずっと目標のひとつでした。地元が大好きだったから、何か恩返しをしたいという気持ちもあったし、自分の仕事が宮城のためになったらうれしいなと思っていたんです。
それがより強くなったのは、2013年の東北楽天ゴールデンイーグルスの日本一です。東京のワンルームでテレビで観たんですが、決まった瞬間、球場にいる人もライブビューイング会場の人も、テレビの前の僕らも、東北の人たち全員が一丸になった気がして、魂が震えたし泣けました。そして同時に、自分も頑張ろうって思えたんです。人に感動や勇気を与えられる仕事って素敵だなってあらためて実感したし、いまも、落ち込んだ時とか頑張りたい時に、あの優勝の瞬間の映像を観ています。震災から10年。東北の人々は、ここまで充分頑張ってきたと思うんです。

いま僕が絆大使として考えているのは、もっと違う方向から支援ができないかなということ。一番は、風化させないってことですね。僕はそのために発信していかなきゃいけない立場だと思っています。たとえば、地震に限らず自然災害って、誰がいつどこで経験するかわからないもの。明日は我が身と思って、家に防災グッズを置いておくとか、水や食糧を備蓄しておくっていうこともひとつ。
あと、他県の方にも興味を持ってもらうとかね。震災を体験した身からすると、いま、こうやって取材していただいたりするだけでもありがたいし、歩み寄ろうとする気持ちがうれしかったりします。10年経ったいま、そろそろ復興じゃなく、その先を見ていかなきゃと思うんです。壊れる前に戻すんじゃなく、当時よりもっといい街づくりというか。そのための手助けをしていきたいですね。

Profile…黒羽麻璃央(くろば・まりお)

1993年生まれ。宮城県出身。2010年「ジュノン・スーパーボーイ・コンテスト」を経て、2012年にミュージカル『テニスの王子様』でデビュー。近年は、ミュージカル『刀剣乱舞』や『ロミオ&ジュリエット』などの舞台のほか、ドラマや映画、バラエティ等でも活躍中。

(Hanako1194号掲載/photo : MEGUMI styling : Kyu Hokari hair&make : Takashi Izuwaki(Lomalia)text : Lisa Mochizuki)

編集部
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