いまこそ読みたい名英文学作家の隠れた傑作も。 コラムニスト&ライターおすすめ古典・現代小説4冊!小説にどっぷり浸って気分転換を。 LEARN 2020.01.19

毎日忙しく過ごしていると、どうしてもアウトプットばかりになりがち。どっぷりとカルチャーを注入して、心ゆくまで知性の英気を養ってみては?今回は、それぞれの分野に精通した識者たちにオススメの小説を聞きました。

コラムニスト・山崎まどかさんおすすめ。『ヴィレット』

『ヴィレット』著・シャーロット・ブロンテ、訳・青山誠子(白水社/上下巻 各2,000円)
『ヴィレット』著・シャーロット・ブロンテ、訳・青山誠子(白水社/上下巻 各2,000円)

シャーロット・ブロンテの隠れた傑作。家族を失い、英国から国外の学校に働きに出る19世紀の女性の怒涛のドラマ。主人公が経験する自立の物語や先が読めない恋愛関係など内容が濃い!ボリュームもあるので、時間がある時にまとめて読みたい。

『ベル・カント』

『ベル・カント』著・アン・パチェット、訳・山本やよい(早川書房/1,240円)
『ベル・カント』著・アン・パチェット、訳・山本やよい(早川書房/1,240円)

南米の小国に招かれたホソカワ氏とその秘書。オペラ歌手を招き、副大統領邸で開かれた彼の誕生日パーティが武装ゲリラに占拠される。人質状態となった各国の要人とゲリラ、多彩な登場人物たちによるドラマが入り乱れる“濃い”一冊。ドキドキのロマンスも。

山崎まどかさん

コラムニスト・山崎まどか/女性文化全般、アメリカのユース・カルチャーなどをテーマに執筆。

ライター、編集者・鳥澤 光さんおすすめ。『トリニティ、トリニティ、トリニティ』

『トリニティ、トリニティ、トリニティ』著・小林エリカ(集英社/1,700円)
『トリニティ、トリニティ、トリニティ』著・小林エリカ(集英社/1,700円)

窓の外に冬を感じながら2020年の夏を想ってみる。描かれるのは、東京オリンピックを待つ人たち。《目に見えざるもの》の怒りと声。光に惹きつけられた人々の記録されてこなかった歴史。黒い石を持った老人が歩き回る奇病に始まり、いくつもの「トリニティ」が物語を動かし人々を振り回す。

『ギケイキ 千年の流転』

『ギケイキ 千年の流転』著・町田 康(河出書房新社/1,600円)
『ギケイキ 千年の流転』著・町田 康(河出書房新社/1,600円)

源義経を現代に蘇らせるのはパンクな天才作家・町田康。《かつてハルク・ホーガンという人気レスラーが居た》と始まるぶっ飛んだ文字列が、脳を刺し頬を緩ませ涙と汗を分泌させて、気づけば体もポカポカに。義経の生い立ちを、弁慶との出会いを、こんなに笑いながら読む日がくるなんて。

鳥澤光さん

ライター、編集者・鳥澤 光/本にまつわる取材、執筆などを行う。小誌で書評連載の編集を担当。

(Hanako1180号掲載/photo : Natusmi Kakuto (still) illustration : Takeshi Tomoda (profile) text : Mariko Uramoto)

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