本読みのプロがおすすめする、食・料理にまつわるバラエティ豊かな本4選
2018.10.19

ただのグルメ本じゃない! 本読みのプロがおすすめする、食・料理にまつわるバラエティ豊かな本4選

グルメなHanako女子が手に取りたい本とは?本読みのプロがおすすめするのは、単なるグルメ本にあらず!食と酒と旅のエッセイからアルゼンチン文学まで、青野賢一さん、豊嵜由美さん、トミヤマユキコさんをナビゲーターにお迎えしてお届け!

編集部 / Hanako編集部

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1.平松洋子『サンドウィッチは銀座で』

ぴちぴちぴち、こりり、こっくり、ほくほく。文のそこかしこに登場するオノマトペ
を並べただけでもすこぶるお腹が空いてくる、おいしいもの三昧のエッセイ集。(谷口ジロー・画/文春文庫/550円)

食べものについて書かせたら&描かせたら、間違いなくいい仕事をする二人がタッグを組んでいる時点で、もう何も心配いらない! この安心感は本当にすごい! 高級料理からB級グルメ、果ては熊肉までを食べ尽くし、描写し尽くす。読んでいるだけで涎が出てきて、白飯が食べられちゃう、というレベル。食いしん坊のあなたは、絶対入手すべきです。(トミヤマユキコ)

2.谷崎潤一郎『美食倶楽部ー谷崎潤一郎 大正作品集』

《美食》と銘打ったアンソロジーの始まりは、歯痛に苦しむ男の話。7 編の終わりは、女優の体を巡る「青塚氏の話」。5 人の《美食主義》者が集う表題作も不気味に美しい。(種村季弘・編/ちくま文庫/1,000円)

一般的にグルメ本と呼ばれるものにはまったく興味がないので、変化球としてこちらを。美食を至上とし、飽食の果てに後戻りできない境地までたど着いてしまった《美食倶楽部》の面々が食す料理は、我々の想像の遥か上を行っていて、もはやおいしそうなどという概念が通用しないのだが、それでも味わってみたいと思わせる谷崎の粘膜質的描写がすさまじく官能的だ。(青野賢一)

3.椎名 誠『玉ねぎフライパン作戦』

大声を出す居酒屋店員の唾液、夜中のラーメン、《もやしいためさえ食えれば》という謎の安心感に、大好きなビールの話etc.。挟まれる4 コマ漫画やイラストもかわいい掌編がたっぷり。(角川文庫/590円)

椎名誠による食と酒と旅のエッセイ。これもいわゆるグルメ本とは程遠いが、チャチャッと作った料理が実に旨そうに思えるから面白い。また、北極などの極地で現地の人々に交じって現地の食べ方で現地のものをいただくという回もあって、こちらは壮絶さすら漂ってくる。適当にできない“食べること”とテキトーだから旨いもの、双方が平等に記されていて清々しいのだ。(青野賢一)

4.カルロス・バルマセーダ『ブエノスアイレス食堂』

《人間の肉をはじめて口にしたのは、生後七ヶ月のころ》という男の紹介から始まるアルゼンチン文学。伝説の食堂と料理指南書、激動の歴史が語られる。(柳原孝敦・訳/白水社エクス・リブリス/2,200円)

ある食堂を舞台に、垂涎のレシピの数々を紹介しながら、20世紀アルゼンチン史と移民史の光と闇まで描きこむという、盛り沢山にもほどがある内容。おまけに、美食という光の影にはカニバリズムという闇がある、というわけで、食堂を最後に引き継ぐ天才児が編み出す究極の料理というのが──(絶句)。香辛料がきつくても平気な、丈夫な胃腸の持ち主に熱烈推薦したい。(豊嵜由美)

青野賢一(あおの・けんいち)/〈ビームス創造研究所〉クリエイティブディレクターとして、主に社外のクライアントワークを行う。『ミセス』『CREA』などの女性誌でも連載を持つ。

豊嵜由美(とよざき・ゆみ)/書評家。文芸誌から女性誌まで多数の連載を持つ。著書に『ニッポンの書評』『まるでダメ男じゃん!「トホホ男子」で読む、百年ちょっとの名作23選』など。

トミヤマユキコ(とみやま・ゆきこ)/ライター、研究者。少女漫画、文芸、サブカルにまつわる執筆や連載を抱える。著書に『パンケーキ・ノート─ おいしいパンケーキ案内100』がある。

(Hanako1127号掲載/text:Hikari Torisawa)

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