日常に欠かせないものこそ、本当においしいものを。 蔵前・日本茶専門店〈NAKAMURA TEA LIFE STORE〉のオーガニック茶で癒しの時間を過ごす。 FOOD 2019.02.21

日常に欠かせないものこそ、本当においしいものを。今回は、静岡県藤枝市にあるオーガニック農法にこだわった中村家の茶園と、そこで栽培された香り豊かなお茶が楽しめる蔵前の日本茶専門店〈NAKAMURA TEA LIFE STORE〉をご紹介します。手土産にも喜ばれること間違いなし!

中村家のオーガニック農法にこだわった日本茶は、まさにおかわりしたくなる味。

藤枝市瀬戸谷にある、緑豊かな中村さんの茶園。「No.02」のほか、山の中腹に位置する「No.01」と、標高が高く寒さの厳しい場所にある「No.03」が。左・中村倫男さん、右・西形圭吾さん。
藤枝市瀬戸谷にある、緑豊かな中村さんの茶園。「No.02」のほか、山の中腹に位置する「No.01」と、標高が高く寒さの厳しい場所にある「No.03」が。左・中村倫男さん、右・西形圭吾さん。

お茶の産地として知られる静岡県藤枝市。山間部には、清流が作った水はけのいい肥沃な土壌があり、川の両岸の斜面に沿うよう、多くの茶畑が広がっている。そのひとつが、大正8年から続く中村家の茶園。いまは4代目の中村倫男さんが中心となってお茶づくりをしている。茶園は3カ所に点在しており、それぞれに違った味のお茶を楽しめるのがポイントのひとつ。今回、撮影をした茶園は「Garden No.02」。麓の沢から立ち上る霧が日差しを柔らかくし、さらに昼夜の寒暖差を大きくすることで、香りのいいお茶を作り出す。収穫は一年で一番いい茶葉ができる4月後半〜5月上旬だけだという。そんな中村家のお茶の一番の特徴は、無農薬で有機栽培を行っていることにある。

「約30年前、先代の父が体のことを考えた末にオーガニック農法を開発しました。害虫がつきやすい、木が病気になりやすいなど大変なことも多いですが、人の体に入れるものですから。それに、香りも全然、違うんです」(中村さん)
「深く蒸さないようにしている」という茶葉は、お湯を入れた瞬間、驚くほど豊かな香りが広がる。優しくホッとする口当たりながら旨味が強く、おかわりしたくなる味。

中村家の日本茶をていねいに淹れてくれる、蔵前の〈NAKAMURA TEA LIFE STORE〉。

DMA-_G4A9938

中村さんの隣にいるのは、幼なじみの西形圭吾さん。もっと多くの人に、中村家のお茶や緑茶に親しんでもらいたいと、蔵前に〈NAKAMURA TEA LIFE STORE〉をオープン。

DMA-_G4A0009

「静岡では当たり前の“急須でお茶を淹れて飲む”ことが都会では普通じゃないことに上京して気づき、逆に新鮮に感じたんです。でも、お茶文化が薄れているということは、売り上げも減っているということ。このままでは中村家のお茶がずっと飲めるかわからないと思い、中村くんと店を立ち上げました」(西形さん)

お店の人気ナンバー1は、「02_GARDEN No.02」(キャニスター付き)100g 2,000円。香りが豊かで、旨味と渋みのバランスがちょうどいい優しい味。
お店の人気ナンバー1は、「02_GARDEN No.02」(キャニスター付き)100g 2,000円。香りが豊かで、旨味と渋みのバランスがちょうどいい優しい味。

商品には、茶葉の収穫日や栽培担当者、栽培方法を記したラベルがついており、お店に行くと、西形さんから話を聞くこともできる。生産者と届ける人の距離が近いからこその、バックグラウンドを知って飲むお茶は、安心感があるのはもちろん、格別な味わい。二人の視線の先には、そんななつかしくも新しいクラフトメイドなお茶の姿が見えている。

西形圭吾/2013年からオンラインショップで中村家のお茶を販売している。2015年にお店をオープンした。場所に蔵前を選んだのは、物作りの文化が根付いた街に惹かれたから。

中村倫男/幼少期から実家の茶葉の収穫などを手伝い、一度は上京するも、家業を継ぐために静岡に戻った。栽培から、自宅に併設されている工場の作業まですべてを担当している。

〈NAKAMURA TEA LIFE STORE〉/蔵前

大きな紫ののれんをくぐると、ノスタルジックな空間に中村家のお茶がずらり。定番の銘柄8種を中心に扱い、茶葉はすべて試飲可能。店主の西形さんが、お湯を沸かし、時間を計り、ていねいに淹れてくれる。店内では茶畑の映像が流れていたり、急須や湯のみを販売するなど、“お茶を日常的に飲んでほしい”という思いが伝わってくる。

■東京都台東区蔵前4-20-4
■03-5843-8744
■12:00~19:00 月休 
■なし/禁煙

(Hanako1145号掲載/photo : Megumi Uchiyama text : Aya Shigenobu)

Videos

Pick Up