気鋭グラシエが手掛ける人気店! 〈MAISON GIVRÉE〉の絶品アントルメグラッセとジェラート、そのおいしさの秘密とは? FOOD 2018.08.24

8月に1周年を迎えた、〈グラッシェル〉出身の気鋭グラシエが手掛ける人気店〈MAISON GIVRÉE〉。全国の新鮮な食材の旨みがぎゅっと詰まったアントルメグラッセとジェラート、そのおいしさの秘密をお届けします。

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静岡のクラウンメロンに北海道の銀龍苺、宮崎の柑橘、へベス……青果店顔負けの日本中の恵みがジェラートやガトーになっては飛ぶように売れていく。市場のような活気が〈メゾン ジブレー〉には満ちている。「果物はほぼ全て産地直送、全国100軒以上の農家からとれたてが届きます」。そう話す江森シェフは、ミラノ万博でのアイスとチョコレートの世界大会でチーム優勝を果たした気鋭のパティシエでありグラシエ(氷菓職人)。

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江森宏之/アントルメグラッセの草分け〈ベルグの4月〉を経て渡仏、〈パティスリー フレッソン〉で本場の技を吸収した。〈グラッシェル〉でシェフパティシエとして活躍後、2017年独立。

産地との絆は〈グラッシェル〉で働いていた頃からだが、その輪は年々広がり、自店を開いて1年経つ今では月4〜5回も産地を訪れる。「先週は北海道でハスカップを見てきました」。ショーケースに目をやればもうタルトになっていた。滅多に流通しない生ハスカップがこのタルトにはこぼれんばかりで、深紫にきらめいている。

ジェラートは今、夏野菜が元気。北海道美瑛のアスパラのジェラートは甘みがじわり。高知産とうもろこしはひんやり蕩け、たちまち旨味が炸裂する。

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「韓国のコーン茶でとうもろこしのコクを深めてみました。アスパラはじっくりソテーして低速ジューサーへ」。コールドプレスジュースでおなじみのジューサーも今春導入。繊維強めの素材も漉さずに本来の香りや色を楽しめるようになった。

こんな風に江森シェフは、アイスやお菓子に既製のフルーツピューレを使うのが当たり前の時代に、日本のとびきりの食材から作るようシフト中。手間はもちろん、各地からの配送料もかなりかかるが、「だからこそ手に入る特別な素材なんです。鮮度も香りの余韻もまるで違ってきます」と迷いはない。新作のアントルメグラッセ「コクシネル・ア・ヤマナシ」なら、山梨〈桃武屋〉の白桃が主役。

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山梨産白桃がフランボワーズとタイベリーでぐっと華やぐ。開店1周年記念アントルメグラッセ、「コクシネル・ア・ヤマナシ」3,800円。

一般的に流通する桃は早めに採って追熟させるが、こちらは直送で完熟もぎたてが翌日には届く。滴る果汁と瑞々しい香りにあふれる桃のソルベを、ピーチメルバのイメージでフランボワーズ入りのバニラアイスと。忍ばせたタイベリージュレのバラっぽい香りで、桃がより華やかだ。さらなる隠し味、福井「黄金の梅」の酸っぱさは桃の味の輪郭を際立たせるよう。彼にかかれば、食材の持ち味は引き出されるだけでなく、果てしなく広がりだす。志の高い生産者とグラシエとの化学反応から生まれる、大地のジェラートがここにあった。

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〈MAISON GIVRÉE〉

8月に1周年を迎えオンラインショップも始動。生産者を招いたマルシェも定期開催。
■神奈川県大和市中央林間4-27-18
■046-283-0296
■10:00~19:00 月休、火不定休 
■8席/禁煙

(Hanako1163号掲載/photo : MEGUMI (DOUBLE ONE) text : chico)

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