京都とパンの愛おしい関係。 人気レストランのシェフたちも愛用。京都人が愛する〈𠮷田パン〉の魅力とは? FOOD 2018.07.13

日本一パンの消費量が多い京都で、人気レストランのシェフたちが愛用する〈𠮷田パン〉のパン。これまで卸先でしか食べられなかったパンが、2018年3月から、販売所で購入できることに。京都人が愛する𠮷田パンの魅力を徹底分析しました。

連日人気。京都の〈𠮷田パン〉とは?

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レストランで〈𠮷田パン〉を使っていると聞けば、まずそこで期待が膨らむ。京都のみならず人気店のシェフたちに愛され、主張し過ぎることなく食事を豊かにしてくれる𠮷田さんのパンは、おのずと料理やワインへの信頼感も高めてくれるものとして、食好きの間で評判に。食べ手も料理人も魅了するパンを作るのは、パン職人・𠮷田祐治さんだ。

「ふと行ってみたパン教室で意外と発酵は難しいと知って。やってみたらおもしろいんじゃないかと」そう感じたのがパンの世界への入り口だという。そこから修業を重ね、自分のパンへとたどり着く。「といっても僕は体を動かすための食事は米だと思ってます。パンはいらない文化じゃないか、なくても困らないんじゃないかと思ったこともあるけれど、それでもやりたいのはパン作りが好きだし、僕に合っているからなんです」。

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𠮷田さんの代名詞でもあるカンパーニュは、石臼挽きのライ麦をブレンドした小麦粉を使い、オーガニックレーズンから培養した自家製の酵母をたっぷりと使用することで、深い味わいを作り出す。噛むごとに豊かな風味が口に広がり、相乗効果で料理とワインを進ませる。

写真は、中央上がカンパーニュ660円。時計回りにメロンパン420円、ベーコンとネギなど内容が変わるベーコンエピ各280円、パンドミ330円、ハルユタカを使ったアンパン各170円(各税込)

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この手から多くの人を惹きつけるパンが生み出される。「僕はパンにだけは優しいんです(笑)。だからミキシングし過ぎると生地がかわいそうで、いいとされている寸前で止めてしまう。修業時代はよく怒られました。けれど、ミキシングが弱いのは今も変わりません」。食べたときに感じる優しい味わいの理由はそんなところにあった。独立後はイベントやマーケットに出店してパン販売をするうちに料理人から注目されはじめ、長らくレストラン卸としてパンを焼き続けてきた𠮷田さん。

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「食べることが好きだし、レストランに行くのも好き。自分で行くからこそ思うのは、お金を払って食事をするレストランでは料理と共においしいパンがあってほしいということ」。これまではレストランでしか食べられなかったものが、直接買える販売所ができるという知らせを耳にしたのは2年以上前。以来開店はいつかと心待ちにする人も多かったが、ついに誕生した。「レストランのパンは料理人の意向も入りますが、うちで売るパンは作りたいようにできる。だからうちで売るパンの方が絶対おいしい(笑)。自分で説明しながら売る楽しみもある」。

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カンパーニュのほか、パンドミやエピ、これまでにはなかったアンパンやブリオッシュ生地のメロンパンなども登場するが、種類は10種もない。「生地が発酵したベストのタイミングでパンに仕上げるには、種類を絞って発酵をきちんと見極めることが大切だから仕事のひとつひとつに明確な理由があり、とても合理的でもあるパン作りが𠮷田パンの味を作り上げている。

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独立から10年を経て、あえて街中から少し離れた松ヶ崎で幕を開けた〈𠮷田パン〉。家具職人にオーダーしたという風格ある棚に並ぶパンを、対面販売で𠮷田さんから直接買う喜びがここにはある。それは食卓に幸せを運ぶ、情熱と理論が作り上げる結晶だ。

〈𠮷田パン〉

2018年3月17日オープン。現在は開店前から行列ができる状況に。地下鉄烏丸線松ヶ崎駅から歩いて10分ほど。

■京都府京都市左京区松ヶ崎雲路町2-2
■電話番号は非掲載
■9:00~17:00(売り切れ次第終了)
■月~金休

(Hanako1154号掲載:photo : Kunihiro Fukumori text : Mako Yamato)

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